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◆ 実は、このカルメ焼きなるもの、ワタシは食べたことがない。さだまさしの「木根川橋」という歌で、その名前を聞いたことがあるだけだ。 ♪ もんじゃ焼きのコツ 忘れちゃいませんよ ◆ ついでに、もんじゃ焼きの方も東京に来るまでは食べたことなかったし、そのコツもいまだに会得していない。で、このカルメ焼きは地方によってはカルメラ焼きともいうらしい。 ◇ 戦後の物資欠乏のおり、なぜかキザラ(ザラメの砂糖)が配給になっていました。台所にあるお玉杓子にキザラを入れ少しの水を差します。炭火の七輪にかけてよくかき混ぜて飴状になったら火から下ろし、割り箸に重曹を少しつけすばやくかき混ぜます。うまく膨らんだらもう一度軽く火にかけお玉を裏返しにしてポンとはずします。うまく行くと大きく膨らみ甘くてさくさくした食感のおいしいカルメラ焼きが出来あがります。先日、人形町(東京)水天宮門前の駄菓子屋さんできれいに焼きあがったカルメラ焼を見つけました。子供の頃カルメラ作りの名人と褒められていたことを思い出しながらカルメラ焼に挑戦してみましたが一個もうまく膨らみませんでした。 ◆ なるほど、きれいに作るにはかなりの熟練が必要なようだ。また、宮沢賢治はカルメ焼きのことを「カリメラ」と書いている。 ◇ ひとりの子供が、赤い毛布(けつと)にくるまつて、しきりにカリメラのことを考へながら、大きな象の頭のかたちをした、雪丘の裾(すそ)を、せかせかうちの方へ急いで居りました。 ◆ そうそう、買って帰ったカルメ焼き、けっきょく食べることができませんでした。なぜって、Kさんが食べたそうにしてたから。その代わり、Kさんのカルメ焼きの思い出話をたくさん・・・。 |
◇ T字路(ティーじろ)は、道がアルファベットのTの形のように枝分かれしている交差点である。本来の名前は 「丁字路(ていじろ)」 であり、法律用語としてもこちらが正しいが、「丁」 の字の発音、字形ともにアルファベットのTに似ているため混同され、現在 「T字路」 の方が一般的である。道路標示はT字型の白線で描かれる。似たものに、Y字路がある。
◇ 横尾 〔・・・〕 ただ、Y字路そのものを好きっていう人は、会ったことがなかったなぁ。ぼくの作品を見て、興味を持ってくれる人はいるとしても、Y字路そのものを好きな人って、いるのかねぇ……。タモリさんみたいに、Y字が好きな人なんて、初めて聞いた。 ◆ 「居心地の悪い気持ちよさ」、か。そんな気もする。 |
◇ 前にも書いたと思うけれど、私の調子の悪さのバロメーターは、改札口またはバスの乗降でマンションの鍵を取り出し、反対にマンションのドアの前でウイズユーカードを取り出すこと。今朝も、バスの中で鍵を取り出し、「これはまずいぞ!」 と気づいた。ともあれ、昨日は自宅で日本ハムの試合を観戦。首尾よく勝ったのだからご機嫌なのだけれど…。 ◆ ちょっと前に、玄関のカギを閉めようとして、財布からなぜだか120円を出してしまったハナシを書いた(「としをとるのは」)。そのときは、その間違いを歳のせいだということにしたのだけれど、ほんとうは、こんな間違いは若いころからよくしでかしていたのだった。ただ、それをひとにいうのは、たんなるおバカさんだと思われそうで、遠慮していただけのこと。同じような間違いをするひとがほかにもいるとはゆめにも思わなかった。「調子の悪さのバロメーター」 か、これはまったくいい表現だな。 ◆ 冒頭の文章を引用したのは、似たような間違いをするひとがいることを知ってただうれしかったからだが、それだけで終わるのもなんなので、べつなハナシにして続ける。 ◆ たいていの場合、ネット上での出会いは自己紹介もなく唐突に始まる(出会い系のハナシではない)。ある個人の日記を、性別も年齢も住所も知ることなしに、いきなり読み始める。 ◆ 冒頭の引用に戻って、「マンションのドアの前でウイズユーカードを取り出すこと」。「ウイズユーカード」 を知らないひとは、気にもとめないだろうけれど、知っているひとは、この文章を書いたひとは、札幌在住なのかと思う。「日本ハムの試合を観戦」 ということろで、間違いないぞと思う。この 「ウイズユーカード」、正式には 「共通ウィズユーカード」 というらしい(もともとあった 「ウィズユーカード」 と 「共通乗車カード」 を統合したため、さらに 「イ」 ではなく 「ィ」 )。 ◇ ウィズユーカードとは、北海道札幌市内の複数の交通機関で利用できるプリペイドカードである。 ◆ つぎは、ある病院ののサイトから。MRI検査を受けるときには、以下のものを 「身につけたり持ち込んだりできません」。 ◇ 磁気カード:キャシュカード・テレホンカード・クレジットカード・ウイズユーカード・診療カードなど ◆ これも 「ウイズユーカード」 と記載されていることから、この病院が札幌のあることがわかる(札幌鉄道病院)。
◇ 関東の私鉄各社で共通に使えるプリペイドカードです。発行元の鉄道会社によって名称が異なりますが共通に使えます。1,000円・3,000円・5,000円の各カードがありますが、おまけはびた一文ついていません。〔下線筆者〕 ◆ ああ、そうそう。冒頭の文章を書いたのは、札幌の出版社 《亜璃西社》 の代表、和田由美さんでした。 |
◇ <META name="GENERATOR" content="IBM WebSphere Studio Homepage Builder Version 8.0.0.0 for Windows"> ◆ おそらくパソコン好きの職員でもつかまえて、「おまえ、ウチのホームページを作れ」とでも言ったのだろう。「ただし、金はあんまり出せん」。これでは、 ◇ 開学以来定員割れが常態化しており、入試の倍率が1倍に満たない低倍率に悩む。 ◆ のも、無理はない。ついでに、愛国高等学校のサイトのソースものそくと、 ◇ <META content="Microsoft FrontPage 4.0" name=GENERATOR> ◆ こちらは、Microsoft FrontPage 4.0。これまた、おそらくパソコン好きの職員をつかまえて・・・
◇ 法、秩序を重んじ、礼儀正しく、公衆道徳を守り、人に迷惑をかけず自分の仕事に精を出し、進んで社会に奉仕する。このような愛と真を発露し、この美しい自分の国を更に一層美しくしてゆくことを生活の信条とする。私達はこれを正しい愛国心ととなえる。 ◆ 「正しい愛国心」もいいけれど、もう少しホームページにお金をかけたほうがいいのでは、とよけいなおせっかい。 〔追記:2010/01/31 10:18〕◆ ホームページを久しぶりに訪問したら、ずいぶんと洗練されたデザインのサイトになっていた。 |
◇ あの瀬戸物はどこで出来るんだと博物の教師に聞いたら、あれは瀬戸物じゃありません、伊万里ですと云った。伊万里だって瀬戸物じゃないかと、云ったら、博物はえへへへへと笑っていた。あとで聞いてみたら、瀬戸で出来る焼物だから、瀬戸と云うのだそうだ。おれは江戸っ子だから、陶器の事を瀬戸物というのかと思っていた。 ◆ 瀬戸といっても、瀬戸内海の瀬戸じゃないよ。念のため。 ◇ 一般的には 「せともの」 や 「やきもの」 は 「陶磁器」 と同じ使われ方をする総称です。特に東日本では代表的な産地である愛知県瀬戸市の地名により古来から 「せともの」 と呼ばれています。西日本では同じ理由で 「からつもの」 と呼ばれることもあります。 ◆ 瀬戸物と唐津物。ワタシが以前から疑問に思っていることがある。愛知の瀬戸のひとはセトモノのことをなんと呼び、佐賀県唐津のひとはカラツモノのことをなんと呼んでいるのか? たとえば、ラーメン。札幌でラーメン屋に入り、ラーメンを注文すれば、出てくるのが、ほかならぬ札幌ラーメンなので、それをわざわざ 「札幌ラーメン」 と注文するバカはいない。あるいは、日本酒。日本にいて、居酒屋に入り、酒と注文すれば、間違いなく(ビールやワインではなく)日本酒が出てくる。いや、これには例外があって、九州では焼酎が出てくるわけだが・・・ ◇ 四十数年前、博多で酒を注文して、出された徳利の中身はなんと焼酎。友人の 「九州で酒と言えば、前日から水と馴染ませた焼酎を燗して出す。日本酒と注文すればお望みの酒が出てくる。」 との解説が懐かしいが、今では全国商品だ。 ◇ 九州で酒といえば、通常は焼酎のこと。「酒」 を注文して、あつかんを日本酒のつもりでグイッとあおってのけぞった経験がある。 ◆ (直前の引用は 『岩手日報』 のコラム 「風土計」 から。これまでにも、あれこれ検索していて、この地方紙のコラムに行き着くことが何度かあった。「グイッとあおってのけぞった」 などとコラムに書ける新聞も悪くはない。) とにかく、九州で酒を注文するときには注意が必要で、それを怠ると、 ◇ 『お客さん、“酒をくれ”って言ったじゃないですか。清酒が飲みたいのならきちんと“清酒をくれ”って言ってくれなきゃ、あたしにゃわかりませんよ。』 ◆ てなコトになる。セトモノのハナシに戻ろうと思ったが、もう戻れない。九州ついでに、サツマイモのハナシに移る。やはり気になるのが、薩摩(鹿児島)ではサツマイモのことをなんと呼んでいるのか? これは鹿児島出身の友人に聞いてみたことがあるので知っている。カライモと呼ぶのだそうだ。 ◇ サツマイモといえば、名前の通り 「薩摩」 (鹿児島)のお芋ですよね? しかし、私が子供の頃、鹿児島ではサツマイモとは呼んでいませんでした。当時(30年以上前)の呼び方はカライモ(唐芋)です。唐から来た芋の意味だったのでしょう。 ◇ サツマイモといっても何となく馴染みがない。やはり、私にとってはカライモである。子どもの頃いやという程カライモを食べた。おやつといえばカライモだったのである。学校から帰ると、水屋にふかしたカライモがある。どんぶりに山盛り。それを幾つも食べていたらしい。母がそういうので間違いあるまい。 ◆ そういえば、サツマアゲというものあった。 ◇ この 「さつま揚げ」、地元鹿児島では 「つけあげ」 って言うんですよ。サツマイモのことを鹿児島では 「唐いも(カライモ)」 って言うのと同じようなものですね(サツマイモは中国の唐から渡って来たので・・・)。でも最近は、鹿児島でも 「さつま揚げ」、「サツマイモ」 っていいますけどね。 ◆ なんだかあちこち旅した気分だが、けっきょく瀬戸でセトモノのことをなんと呼ぶかはわからずじまい。 |
◆ 《テレビる毎日》 というサイトに 「直訳ネーム!」 というコーナーがある。 ◇ 有名人や番組名などの名前を無理やり直訳しよう! ◆ という趣旨らしい。どんなのかというと、こんなのだ。「赤井英和 → レッド・イングリッシュディクショナリー」 「五輪真弓 → Olympic True Archery」 「平井堅 → Flat Well Hard」 「水戸黄門 → Water Door Yellow Gate 」 「座頭市 → Sit-down Head City」 ・・・。 ◆ 街を歩けば、おもしろいかどうかは別にして、アパート・マンションの名前にも似たようなのがゴロゴロしている。たいていは英語風だが、ときにフランス語も混じる。最近の採取例を3つ。
◇ 「渋谷」 を1文字ずつ英語に訳した "bitter valley" と情報量の単位の 「ビット」 からアメリカのシリコンバレーになぞらえて 「ビットバレー」 と呼ばれることがある。 ◆ 「ビットバレー」 など一度も聞いたことは一度もなかったけれども、そんな時代もあったらしい。
◆ タイのバンコクを流れるチャオプラヤ川は 「王の川」 と称されているらしい。「Royal River」 というホテルもある。 ◇ The Royal River Hotel is an International first class hotel, located right on the western bank of the Chao Phraya River, or the "River of Kings". ◆ また、ロンドンを流れるテムズ川も 「王の川(The Royal River)」 と称される。以下、スイスのサイトより(フランス語、ドイツ語、イタリア語の順)。 ◇ La Tamise, surnommée la "rivière Royale", est l'une des vallées les plus représentatives de toute l'Angleterre: les noms de Windsor, Hampton Court, Oxford ou Marlow figurent sur tous les livres d'histoire. La concentration de monuments historiques y est telle que l'on pourrait facilement prétendre que la Tamise est le berceau de l'Angleterre. ◇ Die Themse, "The Royal River" fliesst durch ein Tal das aus der englischen Geschichte nicht wegzudenken ist. Windsor, Hampton Court, Oxford und Marlow sind Namen, die in jedem Gesichtsbuch stehen. Die zahlreichen, geschichtlichen Monumente lassen uns annehmen, dass die Themse die Wiege Englands ist. ◇ Il Tamigi, soprannominato "il fiume Reale", è una delle valli più rappresentative di tutta l'Inghilterra: i nomi di Windsor, Hampton Court, Oxford o Marlow figurano su tutti i libri di storia. La concentrazione dei monumenti storici è talmente importante che si potrebbe facilmente affermare che il Tamigi è la culla dell'Inghilterra. ◆ テムズ川は、英語で the (River) Thames、仏語で la Tamise、独語で die Themse、伊語で il Tamigi、というのであるらしい。ひまつぶしのネタは尽きない。 |
◆ はずかしながら、亀田の試合結果が知りたくて、《2ちゃんねる》 のニュース速報を見ていたら、「丸善が札幌大通に再出店計画」 というヘッドラインに目がいった。 ◇札幌市大通地区から昨秋に撤退した書店大手の丸善(東京)は、同地区に売り場面積3千平方メートルを超える大型書店を再出店させる方針を決めた。 ◆ 気になって、《2ちゃんねる》 の当該スレッドをのぞくと、こんなレスが・・・、 ◇京都にも復活してくれ ◆ えっ? 京都の丸善、いつなくなったの? 初耳でちょっとびっくり。で、丸善のサイトものぞいてみると、 ◇京都河原町店は、2005年10月10日を持ちまして閉店いたしました。長年のご愛顧ありがとうございました。 ◆ いやいや、まったく知らなかった。京都の丸善といえば、国語の教科書で(多分)おなじみの 『檸檬』 (梶井基次郎)の主人公がレモンを爆弾のように置いて立ち去った書店(閉店になった店舗とは場所が違うらしいけれども)。 ◇ 何故だかその頃私は見すぼらしくて美しいものに強くひきつけられたのを覚えている。風景にしても壊れかかった街だとか、その街にしてもよそよそしい表通りよりもどこか親しみのある、汚い洗濯物が干してあったりがらくたが転がしてあったりむさくるしい部屋が覗いていたりする裏通りが好きであった。雨や風が蝕(むしば)んでやがて土に帰ってしまう、と言ったような趣きのある街で、土塀(どべい)が崩れていたり家並が傾きかかっていたり――勢いのいいのは植物だけで、時とするとびっくりさせるような向日葵(ひまわり)があったりカンナが咲いていたりする。 ◆ てっとりばやく、《青空文庫》 で読み返して、抜き書きしたくなったのが上の文章。ワタシはいまでもそんな気分だ。いったいいくつになったら、人並みに、新築の小奇麗なタワーマンションの部屋、バカラのグラスとかウェッジウッドのティーカップといった舶来のこれまた小奇麗な食器、あるいは・・・(きりがないので、以下省略)といったものを嫌悪せずにすむ日が来るのだろうか? そういえば、京都の丸善の一階には、バーバリーの売り場があったっけ。 ◆ 以前 ◆ かつて PSY・S (サイズ)という音楽ユニットがあって、「Lemon の勇気」 という曲があった。 ♪忘れてしまおう Gray な季節 ◇Lemon の勇気・・・ずっと 「~忘れてしまおう無礼な季節~」 と思って聞いてた・・・つい最近カラオケで違うことに気づいた。そんな37歳の春。 ◆ 青春と呼ばれるような時期が、無礼な季節であることは確かなことだろう。 |
◆ 最近、歳のせいだか、目の調子がよくない。パソコンに向かっているとすぐ疲れる。医者に行くほどでもないと勝手に思っているので、目薬をしょっちゅうさしては、はやくよくならんかなあ、とあとは神頼み。
◇ 当神社は以前、瑞光山医王院常蓮寺という寺であったが、明治維新の折、薬師神社となった。明治二十六年、川越大火により時の鐘と共に消失。翌年再建された。御本尊は薬師如来の立像で、高さ六十糎行基菩薩の作という。五穀豊穣・家運降昌・特に病気平癒のご利益があり、眼病には著しい効果がある。〔句読点を適宜補った。〕 ◆ この薬師堂、現在は神社と呼ばれているにせよ、そのご本尊の薬師如来は古くから病気平癒に霊験あらたかな仏として広く民衆の信仰を集めてきた。 ◇ 薬師如来さまは東方浄瑠璃世界の仏さまで、現世において私たちの病苦を救う医薬の仏さまとして、古くから信仰されてきました有り難い仏さまです。 ◇ 全国には薬師堂と呼ばれる建造物が数多くありますが、その数だけ人々に信仰されていたのではないでしょうか。又、病気や難病に対しての恐れが多くの薬師信仰に結びついたとも言えますね。 / 薬師如来に祈るときは、「おん ころころ せんだりまとうぎ そわか」 と真言を唱えてください。
◇ 薬師如来は病気平癒を司る仏であるが、この如来より啓示を受けた第五世玄鏡が元和3年(1617)に作り上げたという小児薬 「夢想丸」 がこどものあらゆる病気に効くと評判になり、子育て薬師として知られるようになった。その後、二代将軍秀忠の第五子和子が眼病を患ったときもこの薬は効能を発揮し、以来、「目のお薬師さん」 として信仰を集めてきた。 ◆ あるいは、つくば市の照明院。 ◇ ここの薬師様は、目の病気に効き目があるので知られていました。目を治してくださいとお願いする者は、小さな魚を薬師様の池に放しました。すると、目はたちまち治ったそうです。しかし、祈願者に放たれた魚はその人に代わって失明したと言い伝えられています。 ◆ またあるいは、横浜市戸塚区の専念寺。 ◇ 深谷町の専念寺には、景政が心を込めて祈ったところ、合戦で受けた目の傷が癒えたという伝説のある 「深谷目薬師」 と呼ばれる薬師如来があり、目の病気に霊験あらたかな仏様とされています。 ◆ その他、全国の眼病に効くとされる寺社の一覧が、健康アイマスクを製造する 《名和里商事》 のサイト内 「目にまつわるお寺・神社の情報」 というページにある。 ◆ また、《新紀元社》 の戸部民夫 『日本の神々』 によると、薬師如来とは別に、日本には雨夜尊(あまよのみこと) という目の神さまがいたらしい。 ◇ 雨夜尊は、そもそも琵琶法師などの盲人の守護神であり、そこから目の病気に悩む人々に霊験ありとして信仰されている神さまである。雨夜という変わった名前の由来は定かではないが、おそらく目の不自由なことと “雨の夜の闇” との連想からきたものであろう。盲人関係の伝書などによると、雨夜尊というのは仁明天皇(833~85O)の第四皇子で第五十八代光明天皇の弟の仁康親王であるという。親王は生来、両目が不自由だったため、42歳で亡くなるまで京都の盲人たちがそばに仕えて身の回りの世話をした。 ◆ もう少し引用を続けると、 ◇ 歴史的にみると雨夜尊は、目の神としてはもっとも古くから力を発揮してきた神さまだったといえそうである。ただ、その後、薬師如来や不動尊、地蔵尊などが目の守り神として庶民の信仰を集めるようになると、その役割を譲った形になった。実際に、今日でも全国に目の神さまは数多く祀られているが、そのなかでも眼病平癒祈願の代表的な存在は薬師如来である。 / ついでに眼病平癒祈願の方法についてみてみると、薬師如来を祀る寺や薬師堂などでよくみかけるのが 「め」 の字を書いて奉納する習慣だ。たとえば 「め」 の字2つを目に模して(左が逆さ字、右が正字)書いた絵馬や願掛けの半紙を本納するのも1つの例。 ◆ ちょっと目が疲れてきたので、ここで終わり。 |
♪螢の光 窓の雪 ◆ の 「螢雪の功」 だが、より直接的に旺文社の受験雑誌 「螢雪時代」 を思い出される方も多いのではないかと思う。まさにその通り。 ◇ 江戸中期、学問の神として崇められている菅原道真公を祀り、(新宿区)横寺町に鎮座して 「北野神社・朝日天満宮」 と称されていたが、明治9年3月、赤城神社境内に遷座。その後、昭和20年の戦災により焼失したものを、平成17年10月、横寺町にある旺文社より、全国の受験生への合格祈願の守護神 「螢雪天神」 として、赤城神社内に復興したものである。 / 「螢雪天神」 の 『螢雪』 は、旺文社の発行する受験雑誌 「螢雪時代」 の名称にちなんで名づけられたものである。 ◆ この 「螢雪時代」、本屋でもとんと見かけないので、とっくに廃刊になったものと思っていたが、まだあるらしい。 ◇ 本屋で雑誌を眺めていたら 「螢雪時代」 という名前の本が目に付いた。なんと、懐かしい響きの名前だ。昔、学生時代に目にふれた大学受験用雑誌だった。今でも現役として残っていたのだ。さすがに、内容は現代化しているが、よくぞ旺文社は残してくれたものだ。 ◆ 旺文社の大学受験サイト 《パスナビ》 に螢雪天神を紹介したページがあって、 ◇ ●『螢雪天神』 (「赤城神社」 内に併設)にお参りすると、全国の大学はもちろん、特に近隣の大学の合格への御利益(ごりやく)がありそう… ◆ と記されているが、この 「~はもちろん」 の使い方、入試の小論文で減点されないだろうか? ちょっと心配。
◆ 余談だが、赤城神社には最近カフェバーもできたらしい。神社とカフェのコラボだそうだ。 ◇ 神楽坂の赤城神社のなかにカフェバーができました! 昼はランチのできるカフェ、夜はライブもやっているおしゃれなバーです。 それにしても、カフェと神社のコラボレーションがすごい。さすが神楽坂です。 ◆ いささか節操がないように思う。とはいえ、駐車場よりはまし。 |
◆ 嫌いなことを書くよりは好きなことを書いていたいと思う。つい嫌いな 「レンガ風タイル」 のことを書いてしまったので、今度は好きなもののことを書いて帳尻を合わせておきたい。 ◆ レンガ風タイルのことを書いていて、ふと気になったのは、 ◇ 日本では、セラミックのレンガ風タイルを外壁に貼っているのをよく見かける。レンガ造りといっても本当は薄いレンガタイルを貼っているだけだと思われている。 ◆ のではないかということで、もしかしたら、赤レンガで知られる東京駅の丸ノ内駅舎や北海道庁の旧本庁舎なんかも、外壁にレンガを貼っただけのものだと思われていたりするのかもしれない。そんなことがふと気になったので、念のため。東京駅も北海道庁も(規模はケタ外れに大きいにせよ)、『三匹の子豚』 の3番目のブタがレンガをひとつずつ積み上げて家を造ったのと同じように、レンガを積み上げて造られたものだ。上海の高層ビルなんかは、いまでもレンガ造りのものがあるそうで、 ◇ 先日、ある道を歩いていていたんです。建設中のビルがありました。20階建てくらいでしょうか。ここでも建ててるんだ、と何気なくそのビルを見たんです。すると‥‥ え?壁が、レンガ? 本当に、レンガを積み重ねて、壁を作っていくんですねぇ。 ◇ 実は現在建設中の多くのビルも、基本的にレンガを積み上げて建設されています。 ◆ とはいえ、上海には行ったことがないので、真偽のほどはわからない。たぶんホントだろうけど。ともかく、レンガ造りといえば、文字通りレンガで造られているので、鉄筋コンクリートで造って、レンガを貼りつけたわけではない。で、その気になれば、レンガで高層ビルでも建ててしまえるわけだけれど、そこまでいくと、高所恐怖症のワタシにはちょっと目がくらむので、たとえばレンガ塀(これくらいだと安心して語れる)。
◆ コンクリートの表面に化粧として貼られたレンガ風タイルと、表面に塗られたモルタルの下から露出した骨組み(躯体)としての本物のレンガ。内と外の関係がまったく正反対。レンガは生き物ではないから、その気持ちを斟酌するというのも変なハナシだが、もしワタシがレンガなら、高級マンションに見てくれのために薄く貼られるよりも、とるに足らない建造物でもその基礎となってモルタルに覆われていたいと思うのだ。 ◆ ちなみに、レンガ造りの建物でも、レンガをそのまま露出させているのがふつうというわけでもない。 ◇ ヨーロッパでは煉瓦は多くの建物に用いられているが、本格的な建物の場合、構造が煉瓦造でも表面を漆喰や石で仕上げることが多い。赤煉瓦のままの建物はよほど古風なものか、工場、倉庫など簡素なものである。しかし、イギリスなどで中世趣味のため、あえて赤煉瓦のままとすることがある。 ◆ レンガがそのまま露出しているレンガ建築も見ごたえがあるものだが、剥がれたモルタルから垣間見えるレンガというのも、奥ゆかしい気がして悪くはない。そうしてワタシはそういうものが好きなのだ。 |