◆ 嫌いなことを書くよりは好きなことを書いていたいと思う。つい嫌いな 「レンガ風タイル」 のことを書いてしまったので、今度は好きなもののことを書いて帳尻を合わせておきたい。 ◆ レンガ風タイルのことを書いていて、ふと気になったのは、 ◇ 日本では、セラミックのレンガ風タイルを外壁に貼っているのをよく見かける。レンガ造りといっても本当は薄いレンガタイルを貼っているだけだと思われている。 ◆ のではないかということで、もしかしたら、赤レンガで知られる東京駅の丸ノ内駅舎や北海道庁の旧本庁舎なんかも、外壁にレンガを貼っただけのものだと思われていたりするのかもしれない。そんなことがふと気になったので、念のため。東京駅も北海道庁も(規模はケタ外れに大きいにせよ)、『三匹の子豚』 の3番目のブタがレンガをひとつずつ積み上げて家を造ったのと同じように、レンガを積み上げて造られたものだ。上海の高層ビルなんかは、いまでもレンガ造りのものがあるそうで、 ◇ 先日、ある道を歩いていていたんです。建設中のビルがありました。20階建てくらいでしょうか。ここでも建ててるんだ、と何気なくそのビルを見たんです。すると‥‥ え?壁が、レンガ? 本当に、レンガを積み重ねて、壁を作っていくんですねぇ。 ◇ 実は現在建設中の多くのビルも、基本的にレンガを積み上げて建設されています。 ◆ とはいえ、上海には行ったことがないので、真偽のほどはわからない。たぶんホントだろうけど。ともかく、レンガ造りといえば、文字通りレンガで造られているので、鉄筋コンクリートで造って、レンガを貼りつけたわけではない。で、その気になれば、レンガで高層ビルでも建ててしまえるわけだけれど、そこまでいくと、高所恐怖症のワタシにはちょっと目がくらむので、たとえばレンガ塀(これくらいだと安心して語れる)。 ◆ 11月17日、港区虎ノ門。ホテルオークラの近くで見かけたレンガ塀。この塀はレンガ造りだが、その上に補強のために塗られたモルタルが一部剥がれて、赤レンガが露出している。 ◆ あるいは、11月12日、中野区上高田。このあたりは寺町で、ちいさなお寺が立ち並ぶ。そのうちのひとつ、浄土真宗の願正寺。この本堂の基礎部分がレンガ造り。これもまたその上に塗られたモルタルが剥がれて、赤レンガが露出。 ◆ コンクリートの表面に化粧として貼られたレンガ風タイルと、表面に塗られたモルタルの下から露出した骨組み(躯体)としての本物のレンガ。内と外の関係がまったく正反対。レンガは生き物ではないから、その気持ちを斟酌するというのも変なハナシだが、もしワタシがレンガなら、高級マンションに見てくれのために薄く貼られるよりも、とるに足らない建造物でもその基礎となってモルタルに覆われていたいと思うのだ。 ◆ ちなみに、レンガ造りの建物でも、レンガをそのまま露出させているのがふつうというわけでもない。 ◇ ヨーロッパでは煉瓦は多くの建物に用いられているが、本格的な建物の場合、構造が煉瓦造でも表面を漆喰や石で仕上げることが多い。赤煉瓦のままの建物はよほど古風なものか、工場、倉庫など簡素なものである。しかし、イギリスなどで中世趣味のため、あえて赤煉瓦のままとすることがある。 ◆ レンガがそのまま露出しているレンガ建築も見ごたえがあるものだが、剥がれたモルタルから垣間見えるレンガというのも、奥ゆかしい気がして悪くはない。そうしてワタシはそういうものが好きなのだ。 |
このページの URL : | |
Trackback URL : |