MEMORANDUM

  瀬戸から薩摩

◇ あの瀬戸物はどこで出来るんだと博物の教師に聞いたら、あれは瀬戸物じゃありません、伊万里ですと云った。伊万里だって瀬戸物じゃないかと、云ったら、博物はえへへへへと笑っていた。あとで聞いてみたら、瀬戸で出来る焼物だから、瀬戸と云うのだそうだ。おれは江戸っ子だから、陶器の事を瀬戸物というのかと思っていた。
夏目漱石 『坊っちゃん』 (青空文庫

◆ 瀬戸といっても、瀬戸内海の瀬戸じゃないよ。念のため。

◇ 一般的には 「せともの」 や 「やきもの」 は 「陶磁器」 と同じ使われ方をする総称です。特に東日本では代表的な産地である愛知県瀬戸市の地名により古来から 「せともの」 と呼ばれています。西日本では同じ理由で 「からつもの」 と呼ばれることもあります。
www.mpstpc.pref.mie.jp/mag/back/14/020501.htm

◆ 瀬戸物と唐津物。ワタシが以前から疑問に思っていることがある。愛知の瀬戸のひとはセトモノのことをなんと呼び、佐賀県唐津のひとはカラツモノのことをなんと呼んでいるのか? たとえば、ラーメン。札幌でラーメン屋に入り、ラーメンを注文すれば、出てくるのが、ほかならぬ札幌ラーメンなので、それをわざわざ 「札幌ラーメン」 と注文するバカはいない。あるいは、日本酒。日本にいて、居酒屋に入り、酒と注文すれば、間違いなく(ビールやワインではなく)日本酒が出てくる。いや、これには例外があって、九州では焼酎が出てくるわけだが・・・

◇ 四十数年前、博多で酒を注文して、出された徳利の中身はなんと焼酎。友人の 「九州で酒と言えば、前日から水と馴染ませた焼酎を燗して出す。日本酒と注文すればお望みの酒が出てくる。」 との解説が懐かしいが、今では全国商品だ。
www.aikeikyo.com/employer/0409emp.html

◇ 九州で酒といえば、通常は焼酎のこと。「酒」 を注文して、あつかんを日本酒のつもりでグイッとあおってのけぞった経験がある。
www.iwate-np.co.jp/fudokei/f200604.htm

◆ (直前の引用は 『岩手日報』 のコラム 「風土計」 から。これまでにも、あれこれ検索していて、この地方紙のコラムに行き着くことが何度かあった。「グイッとあおってのけぞった」 などとコラムに書ける新聞も悪くはない。) とにかく、九州で酒を注文するときには注意が必要で、それを怠ると、

◇ 『お客さん、“酒をくれ”って言ったじゃないですか。清酒が飲みたいのならきちんと“清酒をくれ”って言ってくれなきゃ、あたしにゃわかりませんよ。』
home.att.ne.jp/zeta/marti/e_shouchuu.htm

◆ てなコトになる。セトモノのハナシに戻ろうと思ったが、もう戻れない。九州ついでに、サツマイモのハナシに移る。やはり気になるのが、薩摩(鹿児島)ではサツマイモのことをなんと呼んでいるのか? これは鹿児島出身の友人に聞いてみたことがあるので知っている。カライモと呼ぶのだそうだ。

◇ サツマイモといえば、名前の通り 「薩摩」 (鹿児島)のお芋ですよね? しかし、私が子供の頃、鹿児島ではサツマイモとは呼んでいませんでした。当時(30年以上前)の呼び方はカライモ(唐芋)です。唐から来た芋の意味だったのでしょう。
okinawa.blog.anahotels.com/archives/article/1403.html

◇ サツマイモといっても何となく馴染みがない。やはり、私にとってはカライモである。子どもの頃いやという程カライモを食べた。おやつといえばカライモだったのである。学校から帰ると、水屋にふかしたカライモがある。どんぶりに山盛り。それを幾つも食べていたらしい。母がそういうので間違いあるまい。
keishintei.exblog.jp/4607933/

◆ そういえば、サツマアゲというものあった。

◇ この 「さつま揚げ」、地元鹿児島では 「つけあげ」 って言うんですよ。サツマイモのことを鹿児島では 「唐いも(カライモ)」 って言うのと同じようなものですね(サツマイモは中国の唐から渡って来たので・・・)。でも最近は、鹿児島でも 「さつま揚げ」、「サツマイモ」 っていいますけどね。
www.chance2.ne.jp/tour-pc/sugoi/s-55.htm

◆ なんだかあちこち旅した気分だが、けっきょく瀬戸でセトモノのことをなんと呼ぶかはわからずじまい。

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