◆ たまたま 「だぼはぜ」 という店の前を通りかかって、「だぼはぜ」 とはなんだろうと思った。「だぼはぜ」 というコトバを知らないわけではない。かといって、「だぼはぜ」 について明確に何かを知っているわけでもない。
◇ ―― ダボハゼってなんだ?どっかの方言?
―― 「だぼはぜ」 は勝鬨橋のそばにある立飲み屋の名店。
music.2ch.net/classical/kako/1018/10188/1018850180.html
◆ でも、勝鬨橋そばの立飲み屋 「だぼはぜ」 にはもう入れない。
◇ そのだぼはぜ、もうすぐ閉店してしまうのだそうだ。とにかく値段がリーズナブルでうまいのになぁ。さかな系はめっちゃ新鮮で、そのへんのすし屋行くよりずっとすばらしい。いいお店だなあ。閉店したら、マスターの奥さんの故郷、新潟に戻ってお店を開くのだそうだ。新潟のみなさん、だぼはぜをよろしく!!
blog.sotokoto.net/sotokoto/2004/12/post_1e33.html
◆ なるほど。それなら一度くらい入ってみたかった、とも思ったが、この店の存在を知ったときにはもう店をたたんでいたのだから、どうしようもない。勝鬨橋の立飲み屋はさておき、「だぼはぜ」 とは何か?
◇ だぼはぜ 【だぼ鯊】 小形のハゼ類の俗称。関東・東海地方では、河口付近にすむチチブをさすことが多いが、ドロメ・アゴハゼ・ヨシノボリなどをいうこともある。地方により、ゴリまたはドンコとも呼ぶ。簡単にいくらでも釣れる下らない小魚というほどの意で、軽んじて呼ばれる。佃煮(つくだに)にして食用とする。
三省堂 『大辞林 第二版』
◆ 「簡単にいくらでも釣れる下らない小魚というほどの意」とは、辞書の定義としてはかなり手を抜いた表現ではないだろうか? 「いうほどの」 なんてコトバを安易に使用してもらっては困る。そもそも 「だぼ」 とは何なのか?
◇ だぼハゼは、辞書にのっていますが、だぼはのっていません。だぼって方言ですか?
chiebukuro.yahoo.co.jp/service/question_detail.php?queId=7152458
◆ こんな質問があって、こんな回答がある。
◇ だぼハゼ=(何でも食いついて、誰にでも釣れる魚です。小さいハゼ類を軽んじた呼び方。だぼ・あほ、ばか、の意味ですね。方言のようです。
Ibid.
◆ 回答者もよくわかっているようには思えない。
◇ だぼ 「アホ」 の意味。主に神戸・播磨地方で使われる。
www2g.biglobe.ne.jp/~gomma/ajiten.html
◇ 私は、神戸生まれなので、小さい時は 「だぼ」 である。ところが、大阪の祖父がこれを聞いて 「なんと汚い言葉か」 と憤慨していたと母から聞いた。「だぼ」 はおそらく 「どあほ」 のなまったもので、耳に汚く響くのだろうなどと勝手に解釈していた。
www.kyoto-su.ac.jp/~nadamoto/work/199406.htm
◇ 播磨の方言が嫌な感じを与えることはありませんでした。「だぼ」 など汚い言葉は使いませんが、播州弁を使うことにためらった事は一度もありません。
www.kobe-np.co.jp/chiiki/rensai/200401talk/09.html
◆ 神戸・播磨地方には 「だぼ」 という方言があって、「アホ」 「バカ」 といった意味であることは確かなようだけれども、それが 「だぼはぜ」 の 「だぼ」 なのかどうかはワタシにはわからない。一地方の方言が全国的に普及したのだとすれば、その理由は何なのか? まあ、こんなことは詳しい辞典を参照すればすぐ解明できるのかもしれないが、あいにく手元にない。
◆ 語源など知らなくても、「だぼはぜ」 は元気にあちこちのサイトを泳ぎ回っている。
◇ 前日、「だばはぜの会」 に参加しました。いろんな業種のかたの交流会です。だぼはぜとは、魚の名前で、針を食らえ付いたら、はなさいそうです。経営にも、この 「くらい付いて離さない・・・」、これが大事と先輩の社長が離されていました。
kawashima-y.cocolog-nifty.com/blog/2006/11/__a481.html
◇ その日、石井先生は、喫茶店のルオー(現在は画廊になっている)の前で足を止め、「夕食の時間だし、カレーを食べませんか」 とおっしゃった。どんな餌でも食らいついてくる 「だぼはぜ」 状態だった僕は、少し遠慮しつつも、お言葉に甘えることになった。
www-h.yamagata-u.ac.jp/~kmatsuo/curry.htm
◇ 【だぼはぜ】 何にでも喰いつく雑食性の、技科大生を指す(句点の位置に注意)。ゲテモノ好みという言いかたもある。技科大生は、女性に対する耐性が低いため、びっくりするような女性とつきあていたりする。
cclub.cc.tut.ac.jp/lib/gikajiten/
◇ 東浦町は年の歴史の中で、国・県のさまざまな制度を利活用して 「町づくり」 を進めてきました。町職員のある人は、私のことを 「だぼはぜ」 だと県の人が言っていると聞かされました。何でも飛びつく男という意味だそうです。多くの方々のおかげで東浦町ができ、そして淡路市に引き継がれるわけです。心から感謝申し上げ、すばらしい市になることを願って筆を置きます。
www.city.awaji.hyogo.jp/higashiura/tyoutyou_memo/16nendo/memo1703.htm
◇ 武部の次男がやばい事業に手を出して会社をこかしてしまい、武部が必死に尻ぬぐいしていたのは事実である。その弱みにつけ込んで堀江は自民党にラブコールを送った、それが衆議院選挙出馬である。武部堀江が提示し金に目がくらんでだぼはぜのように食らいついたのかもしれない。
blogs.yahoo.co.jp/warabidani/27263544.html
◇ 【ダボハゼ投資家】 材料などに無節操に飛びつき、いつも損をするダメな投資家のこと。魚のダボハゼはなんにでも食らいつき、ときには釣り針にエサがなくても食らいつくといわれる。ダボハゼは 「主体性がなく」 「判断が場当たり的」 という意味の蔑称として使われるが、株式市場では極めてまともな常識を持った人までがそういう行動を取る。それだけ値動きというものは激しく、錯覚に陥ることが普通の心理であることが理解できる。
www.h-iro.co.jp/yougo/yougo.cgi?cmd=show&id=286
◆ こう並べてみると、「だぼはぜ」 というコトバを使うひとの文章には(ワタシを含めて)どれも、心なしか、やや妙なところがあるような気がする。やはり 「だぼはぜ」 だからだろうか?