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◆ おしゃべりなひとはいつもおしゃべりだが、無口なひとが無口であるのは時と場合によることが多い。『欲望という名の電車』のブランチとステラの姉妹。姉ブランチがしゃべり通しなので、妹ステラは口をはさむ機会がない。そんなことはお構いなしに、姉は「どうしてひとこともしゃべらないの?」と妹に質問しさえする。 ◇ ブランチ そう? ――私、忘れていたんだわ、あんたが無口だってこと。 ◆ 親子でもそんな関係になることがある。 ◇ 私は無口だったので、母は私が「知恵遅れ」だと本気で思ったらしい。小学校に入る前に、専門家の知能検査に連れて行かれた覚えがある。とくに「知恵遅れ」ではなかったが、口をきかなかったのはたしかである。それは母がしゃべりすぎるからで、私の代わりにしゃべってしまうのだから、本人は黙っているしかなかったのである。 ◆ もちろん、そんな関係は、親子兄弟にかぎらず、世の中のどこにでも転がっている。夫婦でも友人でも同僚でも。ただ、適当な例文がみつからない。 |
◇ 五月のはじめの、たそがれどき。ほの白いこの建物の周辺に見える空は、異様なまでにやわらかな青色であり、ほとんどトルコ玉の青緑色と言ってよく、それがこの情景に一種のリリシズムを与え、荒廃の雰囲気に優雅なやわらぎを与えている。 ◆ トルコ玉、トルコ石、ターコイズ。先の記事で「なぜだかトルコ石が好きだった」と書いたが、それ以降、ぼんやりとその理由を考えている。色だろうか? 不透明で青から緑に移り変わるその色は、saturnian 色といってもいいが(笑)、たしかに好みだ。あるいは、名前だろうか? トルコだま。トルコいし。ターコイズ(コトバの引力で、先日ふらっとトルコ料理店に入り、最後に、Tea or coffee? と聞かれ、トルココーヒーが飲みたかったワタシは迷うことなく coffee と答えたのだが、出てきたコーヒーはふつうのコーヒーだった)。あるいは、12月生まれのひとを、かつて好きだった、ことがあった、りしたのだろうか? というわけで、「なぜだか」トルコ石が気になっているうちに、もう6月だ。 |
◆ そういえば、井上陽水に「招待状のないショー」という曲もあった。 ♪ 誰ひとり見てない 僕だけのこのショー 好きな歌を 思いのままに ◆ と、この歌でこの記事を締めくくれば、哀しみもちょっとは中和されて、そんなにハナシが暗くなくなるだろうと思ったのだが、いや、もうひとつ思い出してしまったから、しようがない。「招待状のないショー」が収録されている同名のアルバム『招待状のないショー』のなかのべつな曲、「今年は」にはこんな歌詞。 ♪ 指切りが出来ない指 やさしさを抱けない腕 ◆ この歌、ちょっと凝ったつくりになっていて、この歌詞に答えるようにだれかの声で「それはさみしかろう?」とささやくのである。いや、まったく。さみしい、さみしい。さみしくって、たまらない。あ~あ。 |
◆ あいかわらずトルコ石のことを考えている。トルコ石のことを英語風にターコイズと呼ぶひとも最近では多いのだろう。で、英語の turquoise。 ◇ 〔The Turquoise Guide〕 Ask any random person why turquoise is so named. Most will look at you like you are a fool and inform you that turquoise (the gem) is named after turquoise (the color)! Most individuals seem to believe that the color name came first and was applied to the stone. ◆ なるほど。ホントかどうかはしらないが、そういうこともあるだろう。オレンジがオレンジ色なのはどうして? スミレがスミレ色なのはどうして?
◆ 女性の下着と宝石。どちらも同じく身に着けるものとしての共通点を考慮すれば、またべつの、さまざまな考察が可能になるだろうけれども、そのためには、「シフォンに縦柄刺繍のふんわり水色ブラ&ショーツ」だとか「女の子のためのお泊りアイテム4点セット/ピンク」だとか「ラベンダー色の美しい丸胸メイクブラ&ショーツ」とかいったコトバにこめられた意味を、じっくりと検討する必要があるような気もするので、とりあえず、試しに「花とレースのハーモニーが涼しげなブラ&ショーツ ¥3,129(税込)~」でもネットで購入してみようかと……は思わなかったが、気がつくと、数十分が経過していたりもするのだった。 |
◆ さいきん、お寺の門前にある掲示板が気になって、見つけると写真に撮っている。
◇ 菅原 信海 すがわら しんかい ◇ 菅原信海(すがはら・しんかい) 三十三間堂本坊妙法院門跡門主 ◆ 「すがわら」なのか「すがはら」なのか、それともどっちでもいいのか、よくわからないが、やっぱり偉いひとのようだ。とここまで調べて満足し、もういちど写真を見てみると、書のしたにカレンダーのようなものが写っているのに気がついた。拡大したら、このカレンダーのようなものはやっぱりカレンダーだった。うん? そうなのだ、この信海の書はカレンダーの一部で、掲示板にはその6月のページ(と右には7月のページ)がそのまま貼られていたのだった。現物を見たときに、印刷物であったことに気がつかなかったとは、いくらなんでも情けない。ついでに、このカレンダーも検索してみると、すぐに見つかった。《楽天市場》に「高級掛軸風カレンダー(大判)2009年版【一隅を照らそう染筆日暦】」、税込2,415円。 ◇ 書が和紙に印刷されているので使用後も和紙を台紙からはずして、掛軸にしたり額にはめて楽しめる人気商品です。年末年始のご挨拶や和風インテリアに、また外国のお友達へのプレゼントに最適です。
◇ 「一隅を照らそう」 染筆 日暦 ◆ 買おうかしらん。 |
◆ 消えてなくなったもの。「平成の大合併」にともなって、多くの市町村名も消えてなくなった。たとえば、2003年3月17日の写真を昨日編集し直したのだが、その日に訪れた茨城県の撮影地の住所がすべて、撮影当時と現在とでは変わってしまっている。 ・筑波郡谷和原村小絹 → つくばみらい市小絹(2006年3月27日) ◆ カッコ内の日付で、つくばみらい市、常総市、筑西市が誕生し、谷和原村、石下町、下館市が消滅した。 ![]() ![]() ◆ 左のお城の天守閣みたいな建物は、かつては石下町地域交流センター、いまでは石下町がとれてただの地域交流センター。右の「下館第三児童公園」は、筑西市になったいまでもそのままの名称であるようだ。6年も前の写真の整理をするのも楽ではない。 ◆ 以前、「筑西市」というタイトルで似たようなことを書いた。 |