MEMORANDUM

  地上の星

〔朝日新聞:天声人語(2009/06/01)〕 名前の響きで損をしているが、ドクダミはかれんな花である。毒々しい「ドク」から、だみ声の「ダミ」と続く。だが花(実際は苞(ほう))は白い十字形をし、木(こ)の下闇(したやみ)などに星を散らしたように咲く。
www.asahi.com/paper/column20090601.html

◆ この「天声人語」の文章、「名前の響き」について書こうと思って用意したのだが、そのまえにべつなことを書いておきたくなった。「星を散らしたように咲く」ドクダミの花(実際は苞)。薄暗がりに白く光るドクダミの星座。そんな風にドクダミを見たことがなかったので、それからしばらくのあいだ、あちこちに群生するドクダミを見かけては、昼間の地上に星を見ようと努力してみたのだけれど、ワタシの目はふしあななのか、いかなる星座も映りはしないのだった。星に喩えるには、ドクダミの花(実際は苞)は、少々大きすぎるのではないだろうか。

◆ ドクダミのつぎにはテントウムシ。さいきんテントウムシがやたらに目につく。そういう時期でもあるのだろうし、これまで目にはいらなかったのが、なにかのきっかけで目にはいるようになったのかもしれない。そういえば、テントウムシにも星がある(のがいる)のだった。テントウムシの星、あれは地上の星と呼んでもいいだろうか? 羽があって飛ぶこともできるものにたいして、「地上の」という形容は失礼ではないだろうか? そう思いもしたが、飛んでいるときには、その星は見えないわけで、われわれがテントウムシに星を見るのは、きまって地上においてなのだから、やっぱり「地上の星」でいいんだろう。それから、「地上の星」といえば、やっぱり中島みゆきでいいんだろう。

♪ 風の中のすばる 砂の中の銀河
  〔中略〕
  草原のペガサス 街角のヴィーナス
  〔中略〕
  崖の上のジュピター 水底のシリウス

  中島みゆき 「地上の星」(作詞:中島みゆき)

◆ ヴィーナスとジュピターがあって、サターンがないのがちょっと残念。糸井重里が、とりあえずはといった調子で、「たしかに、ぼくもこの歌、この詩はすごいなぁと思う」と書き、つづけて、

〔ほぼ日刊イトイ新聞:ダーリンコラム〕 風のなかにすばるという星座を、砂の中に銀河を、草原にペガサス座を、街角にヴィーナスという火星を見る視線。
www.1101.com/darling_column/archive/2005-04-04.html

◆ と書いているが、ヴィーナスは火星じゃないよ。もうひとつ、さいきん出会った地上の星があって、それは『欲望という名の電車』の登場人物ステラ(Stella)。ステラはラテン語で星。そういえば、6月7日(日曜日)、引越の仕事で行った調布駅そばのアパートの名前が「メゾン・ステラ」だったが、写真を撮り忘れた。

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