◆ 砂のない砂場、水のないプール、金魚のいない金魚鉢(金魚)。それから、なんだろう? 子どものいない母親、花嫁のいない花婿、出す宛てのない手紙。それから、なんだろう? とっくに去っていったひとへの「さよなら」、もう会うこともないひとへの「じゃあまたね」。それから、なんだろう? 不幸せな幸子(「幸」住むと人のいふ)。 ◆ そういえば、井上陽水に「招待状のないショー」という曲もあった。 ♪ 誰ひとり見てない 僕だけのこのショー 好きな歌を 思いのままに ◆ と、この歌でこの記事を締めくくれば、哀しみもちょっとは中和されて、そんなにハナシが暗くなくなるだろうと思ったのだが、いや、もうひとつ思い出してしまったから、しようがない。「招待状のないショー」が収録されている同名のアルバム『招待状のないショー』のなかのべつな曲、「今年は」にはこんな歌詞。 ♪ 指切りが出来ない指 やさしさを抱けない腕 ◆ この歌、ちょっと凝ったつくりになっていて、この歌詞に答えるようにだれかの声で「それはさみしかろう?」とささやくのである。いや、まったく。さみしい、さみしい。さみしくって、たまらない。あ~あ。 |
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