◆ またまた『西の魔女が死んだ』から。「真っ赤なルビーのような野いちご」があたり一面に群生しているのをはじめて目にした主人公まいは、 ◇ 何だか本当に宝石のようだった。みずみずしく柔らかな、傷つきやすい宝石。 ◆ と思う。宝石にはこれまであまり関心がなかったので、「ルビー」と聞いても、寺尾聰の「ルビーの指環」を思い出すくらいで、 ♪ そうね誕生石ならルビーなの そんな言葉が頭にうずまくよ ◆ それで、ルビーは8月の誕生石かと思ったら、7月の誕生石だった。なにしろ誕生石の指輪をプレゼントした経験など一度もないので、まったくわからない。小学生のころには、たしか図鑑を見て誕生石を覚えたような記憶もあるが、すぐに忘れてしまったらしい。憶えているのは、自分の誕生石のエメラルドのほかには、4月のダイアモンドに12月のトルコ石くらいか。なぜだかトルコ石が好きだった。 ◇ 今日の誕生石は1912年に米国宝石商組合で定められたものを基にして、1952年にアメリカ宝石小売商組合など複数の団体によって改訂されたものが基準となっている。誕生石の種類は国によって若干の違いがある。日本では1958年に全国宝石卸商協同組合が制定した誕生石が古く、サンゴ(3月)・ヒスイ(5月)が追加されている。 ◆ 日本では5月の誕生石として、エメラルドにくわえてヒスイ。これは知らなかった。ヒスイといえば、富山県朝日町の宮崎・境海岸は「ヒスイ海岸」と呼ばれていて、ここで何度か遊んだことがある。 ◇ 〔富山県朝日町〕 ここヒスイ海岸には砂がありません。日本でも珍しい小石の海岸です。しかし、ブルーやグリーン、そしてコバルト色に輝く五色の小石が海岸にちりばめられ、海岸の小石が全て宝石と言っても過言ではありません。でも、何と言っても青緑色に輝く翡翠(ヒスイ)の原石があるのがうれしいのです。そのためか、海水までエメラルドグリーンに輝いて見えるのです。 ◆ 宝石ということでもうひとつ思い出すのは、おともだちのめめさんの書いた「小石とランドセル」という小文。以下に一部を引用するが、できれば全文を読んでほしい。 ◇ ある日、学校帰りに、すばらしい拾い物をした。歩道に面したマンションの、コンクリートの階段の隅に、数個の小石が転がっていた。見た瞬間に、きゅうっと胸が痛くなった。それまでもわたしの「ポケット博物館」には、たくさんの石がしまわれては母の怒りを誘ってきたのだが、いままでの石を全部あわせてもかなわないほど、この数個の小石は特別だった。半透明のピンク、金色と茶色の縞々、深い緑、うすい紫色。わたしは息を詰めてしゃがみこみ、小石たちを見つめた。ほんとうに石? ほんとうに拾っていいの? 意を決して拾ってみると、つまらないプラスチックのかけらなんかじゃなくて、紛れもなく、ほんとうの石だった。汗ばんだ手のひらに小石をにぎりしめ、ときどきそうっと開いてまじまじと見つめながら、家まで帰った。ポケットの中にしまうのが惜しかった。たからもの。ほうせき。 ◆ たからもの。ほうせき。文章全体がまるで無数の宝石のようで、ワタシには梨木香歩のルビーより輝いてみえる。 |
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北海道の礼文島には瑪瑙(めのう)海岸があります。小学校1年生のときに観光で訪れ、夢中になって拾った記憶があります。3年前の夏に再び行く機会があったのですが、瑪瑙を売るお土産やさんが何軒かあるだけで、探しても探しても瑪瑙は見つけられず、とても残念でした・・・。
自転車女さん、
メノウ海岸は知りませんでした。ヒスイ海岸にメノウ海岸か。ほかにもあるのかな?