MEMORANDUM

◆ 「ひらめのさしみ」を調べていたら、刺身の語源も気になった。そういえば私の生まれ育った京都では「お作り」というのだった・・・。

◇ 一説に「切る」を忌み詞としたため、「指身」「差身」という名称になったという。『和漢三才図絵』「正徳3-1713」では、「魚肉薄ク切ルヲツクルトイフ」とも述べる。現代でも京阪地方では「刺身」と言わず、「お作り」と称している。
www.tokai.or.jp/uotakesusi/edosyokubunka3.htm

◇ <刺身>という言葉は関東でよく使われ、昔、刺身を盛りつける時にその魚の鰭(ひれ)を刺して飾った事から<刺身>と言うようになったようです。関西のほうではその「刺す」の意味を嫌い、<造り>という言葉を使うと言われているそうです。
mukafish.hp.infoseek.co.jp/log-gogen3.htm

◇ ゆたか『刺身ってのが初めて文章に登場した日。室町時代後期ってことになってますね、この1448年は。鯛なら鯛だって解るように魚の切り身にヒレを刺しておくんだって。「これは鯛の刺身なんだよ」って解るように刺しとくから、そこから「刺身」って名前が付いたんだって』
www.3quarter.net/radio/r0815-2.html

◇ 刺身の書き方の由来は二説あります。 一つは魚の種類がわかるように、 その魚のひれにの部分を料理に刺しておく習慣があったので、刺身という書き方がうまれたという説です。 もう一つの説は、 切身という言い方だったのが、武士支配時代、 切腹を忌み嫌ったため刺身に書きなおさせたというものです。
www.nichibun.ac.jp/text/fn68.html

◇ 花柳界などでは、接吻を『おさしみ』と呼びます。 / 本物のお刺し身のほうは、キッスと混乱しないように『お造り』とか『相惚れ』と呼ぶわけです。
w2242.nsk.ne.jp/~ajam/in_9ra.htm

◆ この最後の引用は「エッチ・おもしろ用語辞典」というサイトからだが、これがなかなかおもいろいのでもうひとつ。なんでも「呂の字」という隠語があるそうで・・・

◇ 呂の字は、口と口を寄せ合った形をしてるから、キッスなんですネ。
w2242.nsk.ne.jp/~ajam/in_9ra.htm

◆ 興津要『食辞林』(ふたばらいふ新書)で見つけた江戸古川柳。

ひらめのさしみ薄雪の瓦屋根(『柳多留121』)

なんだか蕪村の俳句のような美しい情景。

◆ 最近(東京にいるので)使っていない食べ物の言葉あれこれ。その2、「ザンギ」。これは北海道時代の懐かしい言葉。

◇ 東京から札幌に移ってきて、居酒屋で「ザンギ」という名のメニューに出合い、驚きました。なんと鶏の唐揚げのことではありませんか。スーパーの惣菜にも「ザンギ」と書かれています。これって方言?実に変な響きの言葉です。なぜ北海道では鶏の唐揚げが「ザンギ」なのですか。
www.ne.jp/asahi/ys/namaramuchyo/nanda/honbun/zangi.html

◇ 北海道では鳥の唐揚のことを ”ザンギ”と言います。生まれた時から ”ザンギ”なので誰も疑問に思いません。何で、”ザンギ”なの?ちなみに、たこの唐揚は ”たこザンギ”です!
homepage2.nifty.com/osiete/s571.htm

◇ ちなみにつぼ八にザンギというメニューがありますが、つぼ八の本店が北海道にあることからメニューに組み込まれているようです。
www.gimlay.org/~sawara/enq/enq00001.htm

◇ 「ザンギの語源は知りませんが、一般的にいう唐揚げとザンギでは調理法が違うようです。唐揚げは塩、こしょうと片栗粉をまぶして揚げますが、ザンギは、ショウガやニンニク、醤油を加える。調理人たちはそう習ってきたようですよ」

www.ne.jp/asahi/ys/namaramuchyo/nanda/honbun/zangi.html

◆ で、語源ですが、いろいろあって結局のところはよくわからないようで・・・。

◇ 中国語の「炸鶏」(ザーチー)がなまったもの
同じく中国語の「炸子鶏」(ザーツゥチー)がなまったもの
またまた同じく中国語の「揚鳥」(ジャージー)がなまったもの
(ジャージーは鳥をザンギリにして揚げたもの)
ザンギリにするからザンギになったとも考えられる。

www.gimlay.org/~sawara/enq/enq00001.htm

◆ 私の疑問は、なぜ「ザンギ」をカタカナで書いてしまうのかというコト。

◆ 「刺身とお作り」の話で思い出したのだが、最近(東京にいるので)使っていない食べ物の言葉あれこれ。その1、「にぬき」。

◇ 他にも「にぬき」ってご存知でしょうか? / 関西の人なら「にぬき」=「ゆで卵」なんですが、他の地域では通用しないみたいです。 / でも、国語辞典にも載ってるですけどね。煮抜き卵の略って…。
www.lares.dti.ne.jp/~denjin/text/lesson13.html

◆ で、オンライン辞書(「大辞林 第二版」)で調べると、《「煮抜き玉子」の略》ということなので、「煮抜き玉子」を引くと、「かたゆでのたまご。にぬき。主に関西でいう」とあった。

◇ 「にぬき」はまだ比較的ポピュラーで、今でも使っている人が多いです。私の親世代までは、「ゆでたまご」という人の方が少ないです。
www.hi-ho.ne.jp/hi_chan/kansai020801.htm

◇ 今週の京ことばレッスン/にぬき 標準語訳:ゆで卵
allabout.co.jp/travel/travelkyoto/nlbn/NL000196/vl_61.htm

◇ >奈良県民です。うちの亡くなったおばあちゃんが、「にぬき」って言ってましたよ。懐かしいな・・・。ああ、おばあちゃんに会いたくなっちゃった。(T-T)
weekly.freeml.com/chousa/ninuki.html

◆ キスにかんして。石井研堂『明治事物起源』 (ちくま学芸文庫)に「口吸の風俗」という項目があり、後の宰相西園寺公望の留学時代の話が出ている。

◇ 西園寺望一郎〔欧羅巴紀遊抜書〕明治四年正月十六日、新約克より英國へ航する條に、『船中乗合の中に一小児あり、歳四歳許、賞に愛らしき者にて、望一郎に之を弄し、彼よりも頗る慕へり。偖上陸の期に望んで、望一の處に走せ来り、別離の挨拶し、抱かれ乍ら、望一のロを吸はんとす、望一大に驚き且大笑せり。侭て彼小児大に怒り、恨んで梯泣す、蓋し其無情を怒るなり。元来西洋の風俗にて、男女少長に不限極めて知己になれば、互に口吸す、日本人より見れば、堪へざる事なれども、一種の禧となりて、 情の篤きを彰すなり、奇と云ふべし。蓋し夷狄の悪風、興に厭ふべし』/ 風流宰相陶庵公も、始めて洋行する時代には、ロ吸の悪風を、斯くも厭ひしなりき。

◆ 仕事帰り、東急田園都市船の梶が谷駅に、東急沿線生活情報誌 『SALUS』(5月号) というのが置いてあったので、電車の中で読んだ。特集には氷川丸。

◇ 氷川丸の名は、埼玉県大宮市にある氷川神社に由来する。氷川神社といえば古くは武蔵国一の宮で、武運の守護神を祭る大社だが、氷川丸のたぐいまれな強運は、この守護神のなせる業であったかもしれない。

◆ 大宮市との表記は最近の記事としてはご愛嬌だが、姉妹船に 「平安丸・日枝丸・浅間丸・龍田丸・秩父丸」 の名が挙げられているのを見て合点がいった。そう、どれもみな神社の名前。

◆ で、氷川神社。関西生まれの私にはあまり馴染みのない神社だけれど・・・

◇ 東京に来てからちょっと疑問に思ってたのが、あちこちに氷川神社があるということ。
www.emiko.com/Tokyo/hikawa.htm

◇ 氷川神社は全国に200社ほどありますが、そのほとんどが関東の地に集まっており、その中心がここ大宮の氷川神社です。そして、そもそもこの「大宮」という名前はここに氷川神社の本宮があったために起きた地名です。
www.ffortune.net/calen/maturi/08/hikawa-oomiya.htm

◇ 御祭神は須佐之男命(スサノオノミコト)、稲田姫命(イナダヒメノミコト)大己貴命(オオナムチノミコト)で、夫婦とその子供にあたります。(大己貴命は大国主命とも呼ばれます。)
www.citydo.com/prf/saitama/area_saitama/kenbun/rekishi/saitama089.html

◆ で、この氷川神社を有名にしたのが、セーラームーン。

◇ うちの近くの神社で新年を迎え、うちに帰って寝てから、麻布の氷川神社と赤坂の氷川神社に行きました。 / 麻布の氷川神社は、元麻布のはずれの方にあって、かのセーラームーンの原作における火川神社のモデルとされています。もちろん麻布十番街のすぐ目の前です。 (もちろん、御存知だとは思いますけど、 火川神社はセーラーマーズこと火野レイの家です。) // 赤坂の氷川神社はアニメの方のセーラームーンの火川神社のモデルといわれています。
www.t3.rim.or.jp/~yutopia/diary2.html

◆ で、こんな意見も出てくるわけで・・・

◇ メンバーの一人は氷川神社の聖職者、年齢から言って彼女の祖父は国家神道に荷担してきた戦犯であろう。
◇ http://www5c.biglobe.ne.jp/~beam/log/wh05.htm

◆ さらには氷川きよしも。

◇ 宮司さんの話によると、氷川きよしの「氷川」は、ここの赤坂の氷川神社からとったものだそうで、氷川きよし自身も毎年ヒット祈願をしているのだそうだ。
suto-w.hp.infoseek.co.jp/collection/collection49.html

◆ マンガ喫茶のことを略して「マンキツ」と呼ぶらしいが、いささか耳障りなことばだ。すくなくともわたしには。マンキツにいながらそう思った。

◆ 高校のころ、昼食用にパン屋が注文販売をしていたのだが、その注文用紙のことを同級生の多くは「パンガミ(パン紙)」と読んでいた。この音もわたしには不快だった。そんなことを思い出した。

◆ 東京に「西葛西」という地名があって、これじゃあ「山本山」だなと、わかる人にしかわからない感慨を抱きつつ、そのうち西葛西西とか西西葛西という地名もできてしまうのだろうかと、つい余計な心配までしてしまう。さらには西西葛西西なんてのも・・・

◆ なるほど、そうやって「おみおつけ(御御御付)」もできたんだなあ、とはたと気がついた。

◆ 葛西は西葛西に東葛西に中葛西に北葛西に南葛西。
荻窪は南荻窪に西荻南に西荻北に上荻。
小岩は東小岩に西小岩に北小岩に南小岩でこれは江戸川区。葛飾区に新小岩というもあって、これは西新小岩に東新小岩。

◆ リスカ、こんな言葉があるなんて昨日まで知らなかった。あるホームページの日記で初めて目にした。あまりに普通に書かれていたので、その意味がしばらくはわからなかった。検索するとヒットする数のなんと多いこと!

◇ 皆さん初めまして今日和♪リスカやってる中学二年生の****です★★★★

◇ リスカを卒業する今、少し切ない。ある意味、リスカも自分の個性になっていたから。

◇ 私がリスカを初めてしたのは、高校時代でした。

◇ 今なお、リスカをするわけは / 正直言うと、あれですね。 / 【傷が消えるのがどうしようもなく寂しい】からです。

◆ 正直なところ、よくわからないコトだらけだ。

◆ 『日刊スポーツ』に連載中のコラム「高田文夫の 娯楽 極楽 お道楽」から。

◇ ちなみに元恋人いわく、山拓の一番好きな歌は「白いブランコ」だそうな。「白いブランク」にならぬよう祈るばかり。(04/28)

◆ まったく笑うに笑えぬ文章だけれど、それはさておき、この「白いブランク」が完璧な冗語法になっている。ブランクといえば、そもそも語源からして白いものなので、たとえば黒いブランクなんてのはありようがない。いったい高田文夫はブランクという言葉にどのような意味を見ているのか?

◆ 引越屋の仕事にまつわる話を何度か書きましたが、ふと「閻魔帳」という言葉が浮かんだので、これから引越関係の話題は「引越閻魔帳」と題して書くことにします。

◆ と書いたあとで、「閻魔帳」を GOOGLING してみると、結構あるんですね、サイト名やらコーナー名にしているページが。もうすっかり死語かと思ってました。

◆ goo 辞書の『大辞林 第二版』では、

(1)閻魔大王が、亡者の生前の名前や行動を記しておくという帳簿。
(2)教師が生徒の出欠・成績などを書いておく手帳の俗称。正式には教務手帳という。
(3)警察官が携帯している手帳の俗称。

◆ とあります。先生はいまでも閻魔帳片手にがんばっているんだろうか? それとも?

◆ 先日のお客の話。引越先の部屋の片隅に、一合枡が置かれていてその中にちょうど合う大きさの球 (セラミック製らしい) が入っていた。風水の一種かと思いつつ、ちょっと気になったので、尋ねてみると、「これは空気をキレイにするんです。宇宙からアルファー波を集めて・・・」。ややこしくなりそうな気配がしたので、あわてて話を打ち切った。とりあえず、スカラー波とは関係がないようだが・・・。

◆ 『週刊文春』(5月22日号)からもうひとつ。書評欄のところに「著者と60分」というコーナーがあって、今回は「メディア・アクティビスト」なる肩書きをもつ「辛酸なめこ」という人物が登場している。最近出版された『ほとばしる副作用』というエッセイ集(もちろん文藝春秋社刊)には・・・

◇ 日本中のいじめグループ主犯格の女子の顔の平均値を出したら倉木麻衣になる。

◆ なんてことが書かれているそうで・・・

◆ 先に掲げた謝罪広告の載っているページの反対側(p.107)に俳句のコーナーがあったので目を通してみた。選者は草間時彦で、入選作は松本真麻さんの「車窓より犬が顔出し春うらら」。で、その選評はというと・・・

◇ (評) 人間より犬がいばっている風景。犬の得意そうな顔を見て下さい。窓から首を出していて、向こうから来る車とよく衝突しないものだ。

◆ なんだろね、この「感想文」みたいな文章は。当の俳句とまるで関係がないんじゃないか?

◆ 『週刊文春』(5月22日号) に掲載されていた謝罪文。




     ● 謹 告 ●

「マチス」権利継承者日本担当代表
         ジョルジュ・マチス殿

本誌平成14年4月4日号掲載の「ソ
ニー・ビットプレイ」の商品案内に関
する記事の中で、同商品を撮影した
写真の背景に著作権者の承諾なく
「マチス」の絵が掲載されたことによ
り、「マチス」作品の広告的利用を
完全に排除するとの著作権者の方
針に反してその著作権を侵害し、著
作権者並びにその関係者に多大な
ご迷惑をおかけいたしました。ここに
謹んでお詫びいたします。
平成15年5月15日

         株式会社 文藝春秋

◆ こんなのはだれも読まないだろうから、メモしておく。「作品の広告的利用を完全に排除する」 か、えらいぞマチス。

◆ 先日の客の部屋の汚さといったら、わが引越史上でのベスト (ワースト?) 3にランクインするのは確実なほどであったのだけれど、その三十代前半とおぼしき独身男性が言うには、「仕事ですか? 経営コンサルトみたいなことなんですが、昨年ヘッドハントされましてね、ついに1000万円プレイヤーの仲間入りです」。こちらは年収まで尋ねた憶えはないんだけどね。「1000万プレイヤー」 か、こんな言葉がビジネスの世界にはあるんだなあ、とつくづく感心した次第。スポーツ選手じゃあるまいに。

◆ どうしてみんなこれを英語で書くんだろう? アメリカ人にわかるようにかしら?

◆ SMAP の 「世界に一つだけの花」 は、なにやら反戦歌らしくて、「もし、世界中のすべての人が、ありのままの自分を好きになれたら、戦争なんてなくなると思う」 とは、だれが語った台詞かよく知らないけれども、(ついでに、「世界中のすべての人が、ありのままの自分を好きにな」 ったりするなんてことがあるとしたら、戦争もなくなるかもしれないけれど、同時に地球もなくなってしまうんじゃないか?などと余計な心配をしたりもするのだけれど)、「夜空のムコウ」 に比べれば、なんともつまらない曲だというのが正直な感想で、どうしてこんなのがヒットしたりするのかなあ・・・。

◆ 英語で「ひまをつぶす」ことを kill time といい、フランス語では tuer le temps という (あとは知らない)。いずれも直訳すれば 「時間を殺す」 という意味。それで 『時間殺人』 というタイトルを思いついて、大学時代に 「ひまつぶし」 のエッセイ (のようなもの) を書いていたことがある。そんなことを風呂屋でふと思い出した。

◆ 映画『WATARIDORI』を観てきました。とにかく人生ってのはいろいろあれこれタイヘンだな。トリもヒトも! すなおに感動。

◆ 鳥は飛行機に似ている、そう思った。ホントは飛行機が鳥に似ているんだけど・・・。

◆ 今日仕事で行った、さる高名な、というかテレビで有名な (そうらしい)、ある女医のマンションの玄関のドアの内側に、紙切れが一枚。そこには 「No War. No Evil. Love and Peace」 と書いてあった。さもありなん。

◆ ちなみに本人は札幌で講演会のため不在。自分ンチの引越だというのに。「お宅拝見」とかいう TV (そんな番組ありますか?) にはしっかり出るらしいけど。

◇ その1、大好きだった先輩との初デート、待ち合わせ時間を間違えてそれっきりになったこと。
  その2、ほとんど編みあがっていたセーターを駅のホームに忘れて無くしたこと。
  その3、ドッジボールで好きな男の子に思いっきりボールをぶつけられたこと。

◆ これは、ある個人のホームページでみつけた 「今まで生きてきて痛かったことベスト3」。
だれにでもありそうなことだけど、そのひとつひとつがとってもキレイなイメージで、こんな風に思い出を語れる人は幸せだと思う。で、私はというと、しばらく考えても答えが出ない。イカンな、こんなんじゃ!

◆ 下に引用した本はアラーキーこと荒木経惟 (あらき のぶよし) の写真も満載で見ごたえがあるのだが、このアラーキーの「惟」の字を入力するのに手間取った。検索サイトで 「荒木経」 を検索して、その結果からコピペすれば早いかと思い、Googling したところ、最初の4件を見てみて驚いた。なんとまあ、そのすべての漢字が異なっているのだった! で、おもしろがって、そのそれぞれの漢字で検索し直すと、

 荒木経「推」:54件
 荒木経「帷」:18件
 荒木経「維」:79件
 荒木経「惟」:9220件

◆ という結果で、結局は間違い派は少数であることが分かって、ほっとした次第。

◇ 芸人アパートの下を流れていた渋谷川は、暗渠になっている。これも、東京オリンピックにともなう町殺しの犠牲の一つであり、現在は索漠とした遊歩道になっている。
小林信彦・荒木経惟 『私説東京繁昌記』(ちくま文庫,p.47)

◆ 東京に来た当時、川がいたるところで暗渠になっていることに随分驚いた記憶がある。橋の欄干が遺されているので、以前はそこが川であったのだろうと察することはできるのだけれど、そうして暗渠の下には相も変わらず水が流れているのだろうけれど、それはなんとも奇妙な光景だった。蓋をされた川は、それでもなお川なのだろうか? 小林信彦は続けてこう書いている。

◇ ジャングルジムがあったり、人間をこわがらない猫がいたりするこの遊歩道に立って、表参道の人通りを眺めるのは異様なものである。遊歩道の両側の家並みはさほど変わっていないので、自分が昭和三十年代にいながら、現代の繁栄を眺めている気分になる。遊歩道の上に小さな参道橋がかかっており、橋の上を行く現代風の服装の通行人しか見えないのが、時間の裂け目のようでもある。

◆ 先日、さいたま市立浦和博物館の広報誌を手にする機会があった。で、そのタイトルが「あかんさす」。

◇ 「アカンサス」とは,古代ギリシャ・ロ-マに由来し,金沢大学の校章にも使われている植物の名称(和名「ハアザミ」)である。
www.kanazawa-u.ac.jp/news/acun.htm

◇ 『アカンサスニュース』は,写真をふんだんに使用した金沢大学月刊広報誌です。
www.ad.kanazawa-u.ac.jp/ad_koho/acanthus/acanthus/default.htm

アカンサス 南欧などに分布する大型多年草。建築工芸の分野ではノコギリ型の葉をあしらったレリーフをこう呼ぶ。古典主義建築に多用され、県庁舎本館にも正面の柱や正庁の天井、壁、階段周りなど随所に見られる。
www.shimotsuke.co.jp/hensyu/kikaku01/kentyousya/kentyousya1.html

◇ acanth-とは、「とげのような」という意味 / パルテノン神殿の大理石の柱に,この葉がモチーフとなって彫刻されています。
www2u.biglobe.ne.jp/~happym/essay/garden/helen/acanthus.html

◆ 『週刊文春』(4月10日号)を読んでいたら、『50羽から5000羽へ』(どうぶつ社)というアホウドリの研究者が書いた本の書評(著者へのインタヴュー構成)が載っていた。で著者の長谷川博曰く、

◇ (アホウドリを英語では)「アルバトロスですよね。ゴルフだと、バーディ(小鳥)、イーグル(鷲)の上。それだけよく飛ぶんです。」(p.137)

◆ まったく目からウロコ。鳥つながりだったとは。考えたこともなかった。

◇ だれもがその名を知るアホウドリは特別天然記念物に指定され絶滅危惧種となっています。// 東邦大学の長谷川博先生は1976年よりアホウドリの調査と保護の研究をつづけ伊豆諸島の鳥島で、繁殖率を増加させることに成功しました。
www.aurora.dti.ne.jp/~nature/dr_albatross.html

◇ <羽毛製品のために乱獲され、1949年にアメリカの鳥類学者オースチン博士が鳥島や小笠原諸島を調査した際には一羽も発見できず地球上から絶滅したと発表されました。ところがそれから2年後に鳥島の南東端にある燕崎で、10羽ほどのアホウドリが繁殖しているのを発見されました。そしてようやく島にある気象観測所の人々により保護活動が始められたのです。/ アホウドリは1956年に天然記念物、'62年には特別天然記念物に指定されました。
www.aurora.dti.ne.jp/~nature/what%27s_albatross.html

◆ 『アホウドリ復活への軌跡』(東邦大学メディアネットセンター)というサイトがあった。

◇ 標準和名はアホウドリ、学名は Phoebastria albatrus 1769 (またはDiomedea albatrus )です。/ かつては、いろいろな地方名がありました。日本列島の近海には3種のアホウドリ類が生息し、繁殖していました。昔は、それらの個々の種を区別しないで、アホウドリ類を総称して、伊豆諸島の八丈島や小笠原諸島では「ばかどり」(馬鹿鳥)、京都北部沿岸地方や沖縄では「あほうどり」(信天翁、阿房鳥)と呼んでいました。/ これらの名前は、アホウドリ類が陸上ではのろまで、人間によって容易に捕まえられたことから名付けられました。九州北部沿岸地方では、鯨といっしょによく近海に来ることから、「らい」あるいは「らいのとり」と呼ばれ、山口県日本海沿岸地方では、沖にすむ大きく美しい鳥という意味で「おきのたゆう」(沖の大夫)と呼ばれました。また、沖にすむ立派な鳥という意味の「おきのじょう」(沖の尉)という呼び名もありました。さらに、北海道ではアイヌの言葉で「しかべ」、高知県では「とうくろう」、関東では「だいなんかもめ」と呼ばれ、そのほかに、漢語的表現の「おおとり」(大鳥、巨鳥)とか「かいが」(海鵝)などの名前もありました。八丈島や小笠原諸島では、アホウドリという特定の種を示すときには、「しろぶ」とか「しらぶ」と呼ばれ、また「白海鵝」と書かれ、クロアシアホウドリは「くろぶ」と呼ばれ、「黒海鵝」と書かれました。/ 英名は、Short-tailed albatross Steller's albatross または Coastal Albatross と呼ばれています。Steller's albatross は、カムチャツカ沖の海でこの鳥を採集したベーリング探検隊の博物学者 G. シュテラー( Georg Wilhelm Steller )にちなみます。この名前は短くて便利なのですが、生物の種が個人の所有物のような印象を与えるのでふさわしくなく、その生物の特徴によって名前をつけるという考え方から、のちに Short-tailed albatross が一般的に使われるようになりました。この名前は、シーボルトが日本で採集した、この種の幼鳥の標本にもとづき、テミンク(Coenraad Jacob Temminck )が『日本動物誌( Fauna Japonica )』(1835)で記載した種名 Diomedea brachiura (のちに albatrus のシノニムと判明した)にちなんでいると思われます。すなわち、種小名の brachiura は、brachi = brachy = short、ura = tail で、「短い尾をもつ」という意味です。ただし、この種がアホウドリ類の他の種に比べて特別に尾が短いというわけではなく、生物学的特徴にもとづく命名という考えかたからすれば誤解を与え、本来はこれも不適当な名前といえます。
www.mnc.toho-u.ac.jp/v-lab/ahoudori/Text/Qamp;A.html#Chap1

◇ ゴルフに「鳥」が現われたのは1903年。それまで誰も破ることができなかったロングホールのパー(標準打数)を、米国のアマチュア選手が破ったのがはじめてです。打ったボールはまるで小鳥が飛んでいるように見えたのでしょう、一緒にいた仲間は思わず「ザッツ・ア・バード!」と叫び、この「鳥のように」飛んだ話がひろまり、やがてパーより1つ少ないスコアを「バーディー」と呼ぶようになりました。/ さらにパーより2つ少ないスコアが出て、これは小鳥(バーディー)より強いという意味で「イーグル(鷲)」となり、ついに1921年、英米アマチュア国際対抗試合で、ボビー・ジョーンズ(米)が、パーより3つ少ない、前代未聞のスコアを出したのです。そして、栄光ある鳥の名前は「アルバトロス」。名付け親はそのときの敗者側のシリル・トレイ(英)。(摂津茂和コレクション第2巻「ゴルフ千夜一夜」・ベースボールマガジン社) / さて、アルバトロスは属名ディオメディア。ギリシャ伝説の英雄の名に由来します。死後、南イタリアの沖の小島に葬られ、海鳥になったと信じられました。
www.suntory.co.jp/culture/birds/ahoudori/golf.html

◇ サントリー愛鳥キャンペーンは1973年にスタートして以来、一番身近なところで環境の悪化を知らせる野鳥の保護を通じて、自然環境の保護を訴えてきました。 / 様々な啓蒙活動を行う一方で、具体的に保護活動に協力するため、1992年から「サントリー・アルバトロス募金」を設置し、みなさまからいただいた募金を鳥島でのアホウドリ保護活動に役立てています。
www.suntory.co.jp/culture/birds/ahoudori/

◆ ボードレールの有名な詩に L'Albatros というのがあって、それを検索しているうちに見つけたサイトふたつ。
* http://home.carolina.rr.com/alienfamily/flowers.htm
* LES POETES DU XIXe SIECLE (http://www.poetes.com/)

◆ フランス語原文(最初の一節のみ)

Souvent, pour s'amuser, les hommes d'équipage
Prennent des albatros, vastes oiseaux des mers,
Qui suivent, indolents compagnons de voyage,
Le navire glissant sur les gouffres amers.

◆ 英訳も無数に見つかるけれども…

◇ Often to pass the time on board the crew
will catch an albatross one of those big birds
which nonchalantly chaperone a ship
across the bitter fathoms of the sea.
(Richard Howard )

www.geocities.com/diwakerr/baulbat.html

◇ Often for fun crewmen catch albatrosses
great ones of the ocean that follow
casual companions of the voyage
as the ship glides over the deathly deep
(Fred Beake)

www.bath.ac.uk/~exxdgdc/lynx/lynx59.html

◇ At times the mariners afar from hankered ports
Catch for a senseless fun impaling ocean roads
A dainty albatross a leaden-footed bird
That follows alongside the quest-aspired boats.
(Boris Leyvi)

www.vladivostok.com/Speaking_In_Tongues/Baudelaire-eng.html

◇ Often to amuse themselves members of the crew
Will trap albatross those gigantic birds of the sea
Who follow them leisurely companions on their voyage
While the ship glides over the briny deep.
(Barry Tobin)

www.geocities.com/Athens/Forum/1719/albatros.html

◇ Often to amuse themselves the crew of the ship
Would fell an albatross the largest of sea birds
Indolent companions of their trip
As they slide across the deep sea's bitters.
(?)

home.carolina.rr.com/alienfamily/2.htm

◆ 漢字で「信天翁」と書いて、アホウドリと読ませたりもするのだが…

◇ この機関誌【富山商船高専学生会機関誌】『信天翁』のタイトルが読めない人が多い。 // 中国で「信天翁」としたのは、この鳥が魚を餌とするにもかかわらず、魚を取る能力がなく、魚鷹(ミサゴ)がたまたま捕えた魚を落とすのを待ち構えていて、これを拾って食べるとされたからである。調べてみると、確かにアホウドリは潜りが不得意で、海面に浮いてきたイカや魚やプランクトンを食べる。しかし、他の鳥の餅を横取りするのは同じ大型の海鳥で海におりることができない軍艦鳥の習性である。
www.toyama-cmt.ac.jp/~kanagawa/ahodori.html

◆ アルバトロス(アホウドリ)の語源は、アルカトラズ(ペリカン)。

◇ probably alteration [probably influenced by Latin albus (white)] of alcatras from Portuguese or Spanish alcatraz (pelican) probably from Arabic alghattas (the white-tailed sea eagle) (Haliaeetus albicilla) from al- (the) + ghattas (white-tailed sea eagle)
www.spellingbee.com/activity.htm

◆ 概ね辞書の記述は一致しているようだ。すなわち、albatross はスペイン語またはポルトガル語の alcatraz (ペリカン) に由来する。この alcatraz は本来、アラビア語の alghattas に由来(al は the に相当、ghattas はオジロワシ)するのだが、ラテン語 alb- に「白い」という意味があり、それに引きづられて alca- が alba- になった。

◇ アルバトロスは、主に南太平洋に生息するアホウドリ科の総称で、信天翁 と名付けられた白い大型の海鳥である。アルバトロスの語源は、ポルトガル語のアルカトラズ(鵜の総称)アルカトラズの語頭Allayがc→g→b と転化し、黒い鵜が白い海鳥を意味するようになった。
www1.ocn.ne.jp/~hirogsni/gogen.htm

◆ 上の後半部分は意味がよくわからないが。

◆ アルカトラズの語源。

◇ When the Moors invaded and conquered Spain and Portugal in the 8th century AD they brought with them more than just superb architecture. Most of the Spanish words that begin with al- Alhambra Almaden Alameda alcohol algebra for example - are Arabic in origin. Al is the article the. To the Moors a bucket on an irrigation wheel that scoops up water was called an al catraz. The Moors thought that pelicans scooped up water in their large bill to carry to their young in the desert. So they named the pelican - the alcatraz. They don't actually do that. To the Spanish seafarers the word eventually came to mean not just pelicans but any seabird. The word was further corrupted into albatross.
www.footlooseforays.iohome.net/cgi-bin/Topic.pl?topic=31public

◇ Alcatrazの語源はスペイン語で「シロカツオドリ」という意味。1775年にスペイン人に発見されたときに島にいたペリカンをそう呼んだからだそうです。私が行ったときはカモメの巣と化していました。
www.tanitani.com/content/alca.html

◆ それもそのはず、このアルカトラズ島にはもともとペリカンなどいなかったのです(いたかもしれないけど)。そもそもアルカトラズとは別の島に与えられた名前だったそうで…

◇ When the first European Juan Manuel de Ayala sailed into San Francisco Bay in 1775 the local Costanoan Indians met him. Of course these native peoples already had names for all the geographic features of the area but that didn't stop ole Juan. His first morning in the Bay he was anchored near a tiny dense patch of trees so he named that place Saucelito which means a small thicket of willows. The first island that he visited he called Isla de Los Angeles or Angel Island after the Spanish tradition of naming places after the Catholic Feast days closest to the discovery date. A nearby island he christened Alcatraz after the thousands of pelicans and other seabirds wheeling around it. However the island he named Alcatraz was actually the one we now call Yerba Buena. How did this happen? Well an Englishmen sailing into the Bay made a typographical error in 1826. Captain FW Beechey accidentally transcribed the name Alcatraz onto a much smaller island thereby cementing the mistake into the Royal Navy's nautical charts. Yerba Buena Island was perhaps named for a common native mint. So two mistakes - one a typo and the other an observational mistake resulted in the name of the most popular tourist attraction in the Bay.
www.footlooseforays.iohome.net/cgi-bin/Topic.pl?topic=31public

◆ 以下、おまけ。

◇ 総合SMサイト アルカトラズ / このサイトはSMを愛好する方々のために出会いや交流、情報を提供するものです。 / 公序良俗に反するものの掲載はしておりませんが、中には性的表現も含まれておりますので18歳未満の方の閲覧を禁止します。
www.sm-alcatraz.com/

◇ アルカトラズ A.D.(監獄レストラン) / 現代社会に復活した監獄「アルカトラズA・D」扉を開けるとそこには現実とは隔離された異空間が…。鉄格子に囲まれて、囚人になった気分で食事を楽しむ一風変わった店だ。フード、ドリンク共にきわどいネーミングのものばかり。囚人の脱獄ショーも必見。
gourmet.yahoo.co.jp/gourmet/restaurant/Kanto/Tokyo/guide/0101/P018853.html

◆ 「現実離れしたい人、逮捕されたい人ぜひ当店に遊びに来て下さい」とは上記のレストランの店長のことば。「アルカトラズBC」もあるとか。なんだかな。

◆ 『BE-PAL』(5月号) を読んでいたら、フランス映画 『WATARIDORI』 関連の記事があった。で、この映画にも 「シロカツオドリ」 が登場しているらしい。

◇ Alcatrazはスペイン語で 「シロカツオドリ」 の意。当時、スペイン人がこの島のまわりのペリカンを 「シロカツオドリ」 と呼んだことが、この島名の起源となった。
www.haga-j.haga.ed.jp/kaigai/shiryo.htm

◆ なんでペリカンを 「シロカツオドリ」 と呼ぶのか? 似てるのか?

◇ ゴルフでは基準打数以下の成績に「-1」は「birdie(バーディー=小鳥)」、「-2」は「eagle(イーグル=鷹)」などと鳥の名前を付けていますが、「-3」に当たるのが「albatross(アルバトロス=アホウドリ)」。「鷹」よりも良い成績のはずなのに何だか不名誉な名前ですね。これはアホウドリが海鳥の中でも最大級で、鷹よりも大きいことから付けられたものです。因みに日本語名「アホウドリ」は陸上での身のこなしが鈍いことからそう呼ばれていますが、英語で言えば「ブービー賞」の名のもとにもなっている「booby(=カツオドリ)」が同じ立場の鳥と言えるかもしれません ^_^;。
wedder.net/kotoba/booby.html

◆ ちょっと鳥の名前が多すぎる。そのうち整理しなければ。

◆まだインターネットカフェにいます。で、私は左利きで、マウスを左側で操作しているんですが、こういうところではすべて右側にマウスがあるので、えらく不便です(苦労しながら左に移動しましたが)。それでいろいろ思い出しました。小学校のころ、ハサミが上手く使えなかったことや、体育の時間に左利き用のグローブがなかったことやなんか。そうして今、ほんの少し人とずれているなあと感じるときには、その原因は少なからず自分が左利きであることによるのでは、と考えたりします。でもでも左利きのプライドは、いつまでも大切にしていたい・・・。

◆仕事が早く終ったので、只今インターネットカフェに来ています。実は初めてです。なかなかよいです。

◆初島(熱海市)の海底送電ケーブルが切断された事件では、どうも「水中バーナー」なるものが使用されたらしいのだけれど、いったいどんなものなのだろう、水中バーナーって。海底で青白く燃える炎、そんなイメージが浮かんでくるのですが・・・。実際はいかに?

◆ きのう久しぶりに虹を見た。

17:56 高戸橋交差点 東京都新宿区