◆ 『週刊文春』(4月10日号)を読んでいたら、『50羽から5000羽へ』(どうぶつ社)というアホウドリの研究者が書いた本の書評(著者へのインタヴュー構成)が載っていた。で著者の長谷川博曰く、 ◇ (アホウドリを英語では)「アルバトロスですよね。ゴルフだと、バーディ(小鳥)、イーグル(鷲)の上。それだけよく飛ぶんです。」(p.137) ◆ まったく目からウロコ。鳥つながりだったとは。考えたこともなかった。 ◇ だれもがその名を知るアホウドリは特別天然記念物に指定され絶滅危惧種となっています。// 東邦大学の長谷川博先生は1976年よりアホウドリの調査と保護の研究をつづけ伊豆諸島の鳥島で、繁殖率を増加させることに成功しました。 ◇ <羽毛製品のために乱獲され、1949年にアメリカの鳥類学者オースチン博士が鳥島や小笠原諸島を調査した際には一羽も発見できず地球上から絶滅したと発表されました。ところがそれから2年後に鳥島の南東端にある燕崎で、10羽ほどのアホウドリが繁殖しているのを発見されました。そしてようやく島にある気象観測所の人々により保護活動が始められたのです。/ アホウドリは1956年に天然記念物、'62年には特別天然記念物に指定されました。 ◆ 『アホウドリ復活への軌跡』(東邦大学メディアネットセンター)というサイトがあった。 ◇ 標準和名はアホウドリ、学名は Phoebastria albatrus 1769 (またはDiomedea albatrus )です。/ かつては、いろいろな地方名がありました。日本列島の近海には3種のアホウドリ類が生息し、繁殖していました。昔は、それらの個々の種を区別しないで、アホウドリ類を総称して、伊豆諸島の八丈島や小笠原諸島では「ばかどり」(馬鹿鳥)、京都北部沿岸地方や沖縄では「あほうどり」(信天翁、阿房鳥)と呼んでいました。/ これらの名前は、アホウドリ類が陸上ではのろまで、人間によって容易に捕まえられたことから名付けられました。九州北部沿岸地方では、鯨といっしょによく近海に来ることから、「らい」あるいは「らいのとり」と呼ばれ、山口県日本海沿岸地方では、沖にすむ大きく美しい鳥という意味で「おきのたゆう」(沖の大夫)と呼ばれました。また、沖にすむ立派な鳥という意味の「おきのじょう」(沖の尉)という呼び名もありました。さらに、北海道ではアイヌの言葉で「しかべ」、高知県では「とうくろう」、関東では「だいなんかもめ」と呼ばれ、そのほかに、漢語的表現の「おおとり」(大鳥、巨鳥)とか「かいが」(海鵝)などの名前もありました。八丈島や小笠原諸島では、アホウドリという特定の種を示すときには、「しろぶ」とか「しらぶ」と呼ばれ、また「白海鵝」と書かれ、クロアシアホウドリは「くろぶ」と呼ばれ、「黒海鵝」と書かれました。/ 英名は、Short-tailed albatross Steller's albatross または Coastal Albatross と呼ばれています。Steller's albatross は、カムチャツカ沖の海でこの鳥を採集したベーリング探検隊の博物学者 G. シュテラー( Georg Wilhelm Steller )にちなみます。この名前は短くて便利なのですが、生物の種が個人の所有物のような印象を与えるのでふさわしくなく、その生物の特徴によって名前をつけるという考え方から、のちに Short-tailed albatross が一般的に使われるようになりました。この名前は、シーボルトが日本で採集した、この種の幼鳥の標本にもとづき、テミンク(Coenraad Jacob Temminck )が『日本動物誌( Fauna Japonica )』(1835)で記載した種名 Diomedea brachiura (のちに albatrus のシノニムと判明した)にちなんでいると思われます。すなわち、種小名の brachiura は、brachi = brachy = short、ura = tail で、「短い尾をもつ」という意味です。ただし、この種がアホウドリ類の他の種に比べて特別に尾が短いというわけではなく、生物学的特徴にもとづく命名という考えかたからすれば誤解を与え、本来はこれも不適当な名前といえます。 ◇ ゴルフに「鳥」が現われたのは1903年。それまで誰も破ることができなかったロングホールのパー(標準打数)を、米国のアマチュア選手が破ったのがはじめてです。打ったボールはまるで小鳥が飛んでいるように見えたのでしょう、一緒にいた仲間は思わず「ザッツ・ア・バード!」と叫び、この「鳥のように」飛んだ話がひろまり、やがてパーより1つ少ないスコアを「バーディー」と呼ぶようになりました。/ さらにパーより2つ少ないスコアが出て、これは小鳥(バーディー)より強いという意味で「イーグル(鷲)」となり、ついに1921年、英米アマチュア国際対抗試合で、ボビー・ジョーンズ(米)が、パーより3つ少ない、前代未聞のスコアを出したのです。そして、栄光ある鳥の名前は「アルバトロス」。名付け親はそのときの敗者側のシリル・トレイ(英)。(摂津茂和コレクション第2巻「ゴルフ千夜一夜」・ベースボールマガジン社) / さて、アルバトロスは属名ディオメディア。ギリシャ伝説の英雄の名に由来します。死後、南イタリアの沖の小島に葬られ、海鳥になったと信じられました。 ◇ サントリー愛鳥キャンペーンは1973年にスタートして以来、一番身近なところで環境の悪化を知らせる野鳥の保護を通じて、自然環境の保護を訴えてきました。 / 様々な啓蒙活動を行う一方で、具体的に保護活動に協力するため、1992年から「サントリー・アルバトロス募金」を設置し、みなさまからいただいた募金を鳥島でのアホウドリ保護活動に役立てています。 |