MEMORANDUM

◆ おかめそば。

◆ 同じ蕎麦屋のサンプル模型。左:2006年10月2日。右:2010年12月22日。見比べると、700円から750円に値上げ。それから、具材の配置がちょっと違っている。いいかえれば、「おかめ」の顔が少々変わった。

〔NHK放送文化研究所〕 「おかめそば」の名前の由来は比較的はっきりしています。幕末に、今の台東区根岸で開業したおそば屋さんが考え出したことがわかっています。
 上に並べる具の配置が、おかめ・ひょっとこの面の顔を連想させるからという理由です。
 湯葉を真ん中で結んでリボンのようにしたものを丼の上の方(奥の方)に置きます、これは髪に見立てたという説と両目だという説があります。
 そして、真ん中には松茸(たけ)の塩漬けを鼻に見立てて置きます。かまぼこ二枚を松茸の両側に下膨れの顔になるように置いて、三つ葉などの青みや卵焼きで口や襟元を作る店もあります。
 この湯葉が一番上にあるのが江戸の決まりだったようです。戦前までは湯葉の下に海苔を置いて、黒髪を強調した店もあったそうです。
 手のかかった、そして、福を呼び込む顔に見立てるという本当にしゃれた名前の付け方だと思います。

www.nhk.or.jp/bunken/research/kotoba/ura/kotoba_ura_08060101.html

◆ 先日、蕎麦屋で「おかめ」を注文したところ、ホンモノのおかめが出てきて驚いた。こんなものは食べられない。蕎麦屋だからと油断して「そば」を端折ったのがいけなかった。すいません、間違えました。申し訳ありませんが、「おかめそば」にしてください。しばらくして、今度はちゃんと食べられる「おかめ」が出てきてほっとした。

◆ ゲゲゲの鬼太郎、レレレのおじさん。それから、メメメにハハハ。

◇ “薬師へめめめ戸隠へはははは”(柳多留一五二編11)と古川柳にあるように、眼病には薬師さまへ、歯痛には戸隠さまへ祈願するのが江戸庶民の民俗信仰だった。
日本医史学会編『図録日本医事文化史料集成 第4巻』(三一書房,p.70)

◆ 新井薬師が近いので「薬師へめめめ」というのは馴染みがあるが、「戸隠へはははは」というのは初めて聞いた。その代わりといってはなんだが、先日訪れた東寺の夜叉神も歯痛に霊験あらたかであるそうで、「夜叉神キシリトール」なるものも販売されているとか。ハハハ。

◇ 食堂南にお祀りされている夜叉神は、お大師様作と伝えられ、歯を守って下さる神様として昔より信仰を集めています。この度、虫歯予防・口内衛生に効果があるキシリトールを白いラムネ菓子状にして作製した『夜叉神キシリトール』を販売する運びとなりました。食べて歯の健康を守る、“食べるお守り”としてぜひお買い求めください。
東寺『光の日日』(第四十七集[2009年新春号])

◆ メメメの新井薬師でも「めぐすりの木」なる眼病平癒茶を販売しているらしい。

〔辛酸なめ子の目ヂカラ修行:vol.01 目に効くお寺~新井薬師(前編)~〕 昔は目薬も売っていたのですが、たまたま保健所の人がお参りに来て、薬事法的に売れなくなってしまいました……。でも、漢方の「めぐすりの木」のお茶は売っています。『肝気は眼に通ず』と言われているように、肝機能を高めて目を癒すお茶です。
www.eyecity.jp/hitomiplan/shugyo/2010/05/post.html

◆ メメメにハハハ、で思い出した。メハマラ。あるいは、ハメマラ。目に歯に魔羅(摩羅)。ひとによっては、歯に目に魔羅。老化により機能の衰えていくとされる順番。もちろん、魔羅は男性にしかない。さてマラマラマラはいったいどこへ行けばよいのだろう?

◇ 目はめがね歯は入歯にて間にあへど(柳多留三八・15)

◆ 「うみのこ」という船の前に、カモメが二羽。ああ、なるほど、ウミネコにウミネコか、と思われた方は早合点。船の名は「うみねこ」ではないし、カモメはユリカモメでウミネコではない。念のため。

◆ さらには、ここは琵琶湖で、「うみのこ」は「海の子」ではなく「湖の子」。歌でいえば、「♪ われは海の子 白浪の」(文部省唱歌)ではなく「♪ われは湖(うみ)の子 さすらいの」(琵琶湖周航の歌)の方。かさねて念のため。

◆ この「うみねこ」号、《滋賀県立びわ湖フローティングスクール》の学習船だそうだ。

◆ ちょっと前にカマキリのことを調べていて、宇宙飛行士の毛利衛さんがカマキリ嫌いだということを知ったのだったが、その理由についてはよくわからなかった(「カマキリ怖い」)。先日、ブックオフの105円本に毛利さんの文庫本があったので、買って読んでみた。

◇  とくに嫌いなのはカマキリだった。北海道ではあまり見かけないのだが、のちに大学院生になって神奈川県の横須賀で研究生活を送っていたころ、研究室の窓からカマキリが入ってくるのが怖くて仕方がなかった。窓ぎわに液体窒素をばらまいて殺していたほどだ。
 最近知ったのだが、一緒にヒューストンで訓練生活を送っている女性飛行士の向井千秋さんもカマキリが大嫌いなのだそうだ。向井さんの場合は子どものころ遊びでカマキリを殺しすぎたせいで怖くなったらしい。もしカマキリの宇宙実験が提案されたら、こればかりは土井さんにやってもらうしかない。

毛利衛『毛利衛、ふわっと宇宙へ』(朝日文庫,p.47)

◆ 嫌いなことはよくわかったが、その理由についてはやはりよくわからない。とはいえ、その理由をとくに知りたい理由もないので、つづきを読む。宇宙飛行士の候補に選ばれて、札幌から松戸に引越してきた毛利さん。

◇ いちばんのカルチャーショックは、常磐線の殺人的なラッシュだった。最初のうちは、すでに超満員でホームに入ってくる電車にどうやって乗ったらいいのかわからず、何本も列車を見送っていた。あの混雑にはいまだに慣れることができない。いや、あれに慣れてしまったら、人間の根源的な活力とでもいおうか、とても大切なものが失われてしまうような気がする。
Ibid., p.96

◆ ワタシもほぼ同感。むかしはそんなことをよく考えた。いまでも「あれに慣れてしまったら、とても大切なものが失われてしまうような気が」どこかでしている。とはいえ、失われてしまうだろう「とても大切なもの」が「人間の根源的な活力」といったものであるのかどうか。少なくとも、「人間の」という限定は大げさに過ぎるだろう。せいぜい「日本人の」か、あるいは「北海道人の」ぐらいが適当ではないだろうか。たとえば、「乗車率300パーセント」の満員列車を作り出すインドの人々が「人間の根源的な活力」に欠けているとは、とてもじゃないけど、思えない(「電車はディーゼル車」)。ところで、インドの満員列車に痴漢はいるのだろうか?

◆ 水木しげるの自伝マンガ『私はゲゲゲ』を読んでいたら、万字の「お菊人形」。

◇ 怪異といえばその頃、北海道の山奥の万字という所に、髪の毛がひとりでに伸びる「お菊人形」を見に行った帰り……
水木しげる『私はゲゲゲ 神秘家水木しげる伝』(角川文庫,p.249)

◆ その帰り……、岩見沢のうらぶれた旅館に泊まったところ、そこで「小豆はかり」という妖怪に出くわしたそうな。さすがである。水木しげるがお菊人形を見に万念寺を訪れたのは、昭和51年12月23日。

◆ 先日の家族の引越。新居に着いて、おばあちゃんが嘆息した。

◇ ああ、オモトを最初に持って来ようと思ってたのに、忘れちゃったわね。

◆ ながねん引越屋をやっているが、オモトが引越の縁起物だというハナシを聞いたのは、これが初めてだった。

◇ ここのところ毎日引っ越しのことばかり考えてます。私は方角とか結構気にする方なのでネットや本とにらめっこの毎日の末、やっと日取りも候補が2,3日決まり、どの日に万年青(おもとと読みます。)を持って行くのがいいか旦那様と相談中です。そもそも万年青も叔母に教えて貰ったんですが、引っ越しをする際、自分たちが入る前に下着やいつも身に着けているものを置いてくる作業ありますよね? その時に、一番最初に家に入れるといいと言われている木なんです。かの徳川家康も江戸城に一番先に入れたと伝えられている木で、縁起のいいものみたいです。私は今までの引っ越しでは下着だけ置いてきていたんですが、叔母の勧めもあり今回は万年青を持って行こうと考えています。
homio.blog50.fc2.com/?mode=m&no=8

◇ 先日、若い20代のお客様で「お引越前日におもとを入れていいですか?」と行ってこられた方がいます。ご存じでしょうか?昨今はあまり聞かれなくなりましたが、引越の荷物として最初におもとを入れるといいと言われています。徳川家康が江戸に入る時、おもとを持ってきたそうで、一家繁栄・家内安全を願って今でもその風習が伝えられているそうです。おもとは「万年青」と書きますが、字の通り、1年中青々しているところも縁起のよいとされる由縁かもしれません。
www.avail-home.com/blog_38.php

◇ ちなみに引越の初めに「万年青(オモト)」を家に入れると福を呼ぶ、という良い迷信があるそうです。うちにも万年青あるので、一番初めに運び込もうと思います。
blogs.dion.ne.jp/koiro/archives/3009464.html

〔教えて!goo〕 近々引越しが決まりました。結婚などではなく単に居住地が変わるだけなのですが、祖父母に育てられたためか妙に縁起を気にしてしまう性質です。引越しが大安で無い場合、その直前の大安に運び込むと良いとされている物ってありますよね。醤油、味噌、塩、寝具、鏡、普段使っている物、万年青…私は万年青、鏡、枕、ぬいぐるみを運び込むつもりです。(言われているものを何でも運べば良いってものでも無いのでしょうが…笑)
oshiete.goo.ne.jp/qa/4372429.html

◆ なるほど。しかし、オモトは引越の当日以前に前もって運び入れておくのが吉とされているらしいので、引越屋には直接関係のないハナシということにもなって、そうであるなら、そういった余分な情報は、できるかぎり、聞かなかったことにするほうががなにかと気が楽だろうと思う。とりあえずは、「万(萬)年青」がオモトと読めれば、それでいい。

◆ イギリスはトーマス、日本はやえもん。

◇ 私、子供が出来るまで「トーマス」の日本語訳が「やえもん」だと思っていて、トーマス見ると「やえもん」って言ってました(^_^;)
plaza.rakuten.co.jp/hiiragimochi/diary/200908060000/#comment

◇ 先日、20代のお子さんを持つ、日本人の年輩の奥様がうちに来たとき、トーマスを見て、「あら~懐かしい。機関車やえもん」といいました。「これはトーマスというんですよ」といっても、「だって、どう見てもやえもんよ」といい張っていました。
www.noumaru.com/chiaki/0104.htm

◇ 先週の話だけれど。若い女性スタッフたちが楽しくランチしている昼下がり、機関車トーマスのランチボックスに目を留めて「お、きかんしゃやえもんか」などとつぶやいてその場を去っていく上司、残される軽い混乱。そういうの、僕は結構好きです。
favotter.net/status.php?id=3838755261

◇ ずっと勘違いをしていました。「きかんしゃやえもん」という名前が頭の片隅に記憶として残っていて、私はもうずっと「機関車トーマス」のことを昔は「やえもん」と呼んでいたのだと思っていました。昔は和風な名前に変えて呼んでいたものを、それではだんだん時代に合わなくなってきて「トーマス」に直したのだとばかり。前の職場のバイト君に「昔はね~ トーマスのことをやえもんって言ったんだよ。」って嘘おしえちゃいました。彼、「え~知りませんでしたよ~ トリビアだなぁ」と言ってましたが、ガセビアでした。ごめん。
blogs.dion.ne.jp/sweet_pea/archives/1267047.html