MEMORANDUM

  純喫茶

◆ 『週刊文春』の今週号、JT提供の「喫煙室」に、落語家の立川談四楼が「純喫茶」というタイトルでコラムを書いている。

◇ 純喫茶という名の喫茶店が見当たらない。新宿や池袋などターミナル駅周辺にはあったものだが、一様に小ジャレたカフェやゲーセンに様変わりしている。純喫茶という割にはコーヒーの味は大したことなかったが、前座仲間とよく入り浸った。そう、そこで青くさい芸論を戦わせたのだ。〔下線は筆者〕
『週刊文春』12月16日号,p.45

◆ 純喫茶が必ずしもコーヒー専門店というわけではないのだから、「コーヒーの味は大したことなかった」としても、それはしかたのないことだろう。もちろん、うまいに越したことはないが。

〔Wikipedia:純喫茶〕 純喫茶(じゅんきっさ)とは、酒類を扱わない、純粋な喫茶店のこと。酒類を扱い、女給(ホステス)による接客を伴う「特殊喫茶」に対しての呼称。〔中略〕 1955年(昭和30年)頃~1975年(昭和50年)頃までは、「純喫茶」と名乗る喫茶店が各地に多数あったが、現在は死語に近い。
ja.wikipedia.org/wiki/純喫茶

◆ そういえば、中野重治のドッペリ小説『歌のわかれ』に出てくる「ブラジル」。名前からするとコーヒー専門店であるように思われるかもしれないが、この「カッフェー」は純喫茶ではない。登場人物のなかでコーヒーを飲んでいるものなどだれもいない。みな酒を飲んでいる。

◇ 「よせ、よせ、落第の話なんか……」
 さっきから兵隊といっしょにちょびちょび飲んでいた金之助と同級の森下がこっちへ顔を向けてひやかした。
「落第の話をしてるんじゃない。単に試験の話をしてるんだ。」

中野重治『歌のわかれ』(『村の家・おじさんの話・歌のわかれ』所収,講談社文芸文庫,p.175-176)

◆ もちろん、ちょびちょび「コーヒーを」飲むひともいないとはかぎらないが……。

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