MEMORANDUM

  ものを運ぶ

◆ 気仙沼の「廣野新聞店」のハナシを書きながら、そういえば、と思い出した。ワタシも中高6年間、朝刊だけだが、新聞配達をしていたのだった。京都新聞の販売店で、ほかに、デイリースポーツと滋賀日日新聞なんてのも配達してたな。あと、紙名は忘れたが、専門業界の新聞。なんとか工業新聞だったか、なんとか繊維新聞だったか、そんなの。

◆ よく考えると、それ以降も、モノを運ぶ仕事ばっかりしてる。好きなんだろうか? よくわからない。

◆ 吉田修一の小説『東京湾景』の主人公、和田亮介は品川埠頭の倉庫でフォークリフトを動かしている。

◇ 亮介と同じ息子がいるらしい高階さんは、仕分表を持って事務所から倉庫へ降りてくるたびに、「和田くんは、ほんと、いっつも楽しそうに仕事してるわねぇ」と声をかけてくる。亮介自身、特に楽しんでいるつもりはないのだが、高階さんの目には、世界各地から海を渡って届けられるこれら貨物を、まるで自分へのプレゼントのように亮介が扱っているように見えるらしい。
吉田修一 『東京湾景』(新潮文庫,p.61)

◆ まるで自分へのプレゼントのように。あるいは、まるで自分からのプレゼントのように。そんな気分になるときもあるが、いつもではない。

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