◆ 同居していた彼と別れることになって引越をする。キャンディーズの「微笑がえし」は引越の歌だ。日通の引越のCMにも使われていたこともある(らしい)。 ♪ 春一番が掃除したてのサッシの窓に ほこりの渦を踊らせてます ◆ 引越屋としても、あじわい深い。机に本箱、タンスがないのは若いカップルだからだろう。そして、おそらく正式には結婚していなかったのだろう。家具が軽やかだ。離婚の引越は重い。気分も重いが、荷物も重い。「婚礼ダンス」はでかくて重いが、捨てるわけにはいかないので、ひとり暮らしの狭いアパートに無理やりいれる。その後は知らない。そういえば、離婚の引越の場合、家財道具をあらかた持っていくのは、(経験上)きまって女性のほうだ。 ◆ さいきんはクローゼット付きのマンション・アパートも増えてきたので、さいしょから婚礼ダンスを買わない(買ってもらわない)ひとも多い。引越屋としては、大助かりだ。でも、ちょっと物足りない気もする。戸建の建て替えのときには、ずいぶんと長くその場に鎮座していた婚礼ダンスを動かすと、うしろにはみごとに積み重なった綿ボコリ! 思わず、「これ、何年ものですか?」と尋ねてしまう。奥さんが笑う。黒い綿ボコリの家もあるが、白い綿ボコリの家もあって、それが数センチもの厚みになっているのを見ると、ちょっとした芸術品のようにきれいだ。つまむと、壊れずにつながったまま取れる。 ◆ ほとんど窓を閉め切ったままで暮らしているひとがいる。若いひとり暮らしの男に多い。狭い部屋で荷物が多いから、しかたがないのかもしれない。引越に行っても、薄暗く空気がよどんでいる。そんなときには、いのいちばんに、カーテンを開き、窓を開ける。風がさっと吹き込んで、「ほこりの渦」が踊る。気持ちがいい。 ◆ 「畳の色がそこだけ若いわ」というフレーズがいい。和室のある家もずいぶんと減った。この意味のわからない若いひとも増えているだろう。「畳の色がそこだけ青いわ」ならわかるだろうか? 《ガッツとトラ吉》という猫好きな方のブログに、「25年もの」のタンスの跡のついた畳の写真があった。そこだけ若くて青い。 ◆ 歌詞に戻って、「お引っ越しのお祝い返し」をする間もないくらいの短い期間で、畳ははたして変色するものだろうか? ◇ お引っ越しのお祝い返しも済まないうちに・・・なのに、机 本箱 運び出された荷物のあとは畳の色がそこだけ若いわ・・・って、ありえないでしょ? 何年も住んでいなくっちゃ、畳は変色しないですよね? それとも、お祝い返しを何年も忘れていたのかなぁ・・・?? ◆ 疑問に思うのも当然な気がするが、 ◇ ベッドとタンスを移動したら、畳にしっかりと日焼けの跡がついていました。引っ越して2ヶ月ちょっとでこんなにも跡が残るもんなんだなぁと、変に感心するやら驚くやら。 ◆ まあ、日当たりの問題なんだろう。 |
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