MEMORANDUM

  露の花

◇ つゆ草を花と思うは誤りである。花では無い、あれは色に出た露の精である。
徳冨健次郎 『みみずのたはこと』(青空文庫

◆ ツユクサのつづき。ツユクサの「つゆ」は「露」で「梅雨」ではないと書いたが(【→ MEMORANDUM : 梅雨草)、では、どうして「露」草なのだろうということが、さらに気になった。というのも、ことさらツユクサの露の意味について考えをめぐらしたことがあるわけではないが、漠然と、

◇ 朝早くに露に濡れながら花を咲かせるところから、この名がついたのだろう。
田中修 『雑草のはなし』(中公新書,p.92)

◆ くらいに思っていたのだが、

◇ The Japanese name means "dewy herb". Life time of the flower is a half of day. Dew disappears in midday, so the plants are call TSUYU(dewy) KUSA(herb
(日本語で、ツユクサとは「露の草」の意。その花の寿命は半日。露も昼には消えてしまう。だから、「露草」と呼ばれる。)

davesgarden.com/community/journals/viewentry/7185/

◆ という英文を(ミスタイプを頭で修正しながら)読んで、なるほど、露と草は別物ではなくて、露=草(花)ということなのかもしれないと思った。

◇ 朝咲いた花が昼しぼむことが朝露を連想させることから「露草」と名付けられたという説がある。英名の Dayflower も「その日のうちにしぼむ花」という意味を持つ。
ja.wikipedia.org/wiki/ツユクサ

◆ 早朝に咲くので朝露が似合う花という意味合いを越えて、その花自体が露なのだ、と考えると、より詩的な感じがしてくる。

◆ ツユクサは「露の精」だと書いた徳富蘆花(健次郎)のコトバのとおり、

◇ 寿命も短くて、本当に露の間である。然も金粉を浮べた花蕊(かずい)の黄に映発して惜気もなく咲き出でた花の透き徹る様な鮮やかな純碧色は、何ものも比ぶべきものがないかと思うまでに美しい。
徳冨健次郎 『みみずのたはこと』

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