|
◆ 個人の記憶というものは、いったいどのようなかたちでどのような場所に保管されているのだろうか? そのようなことを考えると、ワタシはいつも木の年輪のイメージを思い浮かべる。 ◇ TCK 「東京ダービー」 とJRA 「日本ダービー」 への参加型イベント 『ダブルダービー』 で、ご応募をいただいていた、ダービーにまつわる川柳の受賞作品が、本日、決定しましたのでお知らせします。 ◆ このダービー川柳で、友人がJRA賞を受賞したそうである。
◇ 想い出の ダービー馬聞き あきらめた Miss四十路 ◆ 「選評」 はこう。 ◇ 好きな馬で年代がばれるのは競馬ファンならでは。雅号が郷愁を誘います。 ◆ 郷愁は哀愁の間違いではないかと思うのだが、それはいいとして、この川柳コンテストの受賞作にもうひとつ似たような趣向のものがあって、 ◇ その年の 記憶の鍵は ダービー馬 モノ忘れお父さん |
|
◇ たとえば、九州の島津薩摩守様は、この川崎宿にお入りになると決まって熱発なさる…… ◆ 発熱ではなく熱発(ねっぱつ)。ワタシはこれを競馬用語だと思っていた。たとえば、 ◇ 〔日刊スポーツ〕 今週日曜の「第68回オークス」(G1、芝2400メートル、20日=東京)の1番人気候補だったダイワスカーレット(牝3、松田国)が17日に、熱発が発覚。出走を回避することが決定した。管理する松田国師は「前日の体温は37度8分~37度9分を維持していたのに、17日の朝は39度を超えていた。輸送もしなくてはならないし、これでは全能力を発揮できない。だから競馬を使わないことに決めて、獣医に速やかに処置をしてもらった」と明かした。[2007年5月17日11時35分] ◆「競馬を使う」(レースに出走する)なんてのもビミョウに競馬用語であろうけれど、「熱発」もまた同じ。 ◇ 〔競馬用語辞典〕 熱発【ねっぱつ】 風邪などの原因で馬が発熱すること。 ◆ けれども、この「熱発」、競馬用語にとどまらず、医学用語でもあるらしい。 ◇ 昼間まで元気だった妹が熱出してます(’・ω・) 熱発ですねー(医療用語だと、「発熱」じゃなくて「熱発」なんですよねー) ◇「熱発」という言葉、懐かしいです。友達が看護士してるんですが、昔よく「ねっぱつ」と言っていたのを思い出しました。医療系に携わる方は大体そうおっしゃいますよね。 ◇ 普通の人は「発熱」って言うんでしょうが、こういう医療的・介護的な仕事してると、熱が出ること「熱発」って言います。とは言え、ここのところ私の熱発は正直珍しいことではありません。 ◆ また、軍隊(自衛隊)用語でもあるらしい。 ◇ 軍隊では発熱することを「発熱」とはいわずに、「熱発」(ねっぱつ)という。 ◇ ちなみに・・・戦中派の父は、“洗面器” を “面洗器”、“発熱” を “熱発(ねっぱつ)”・・・ ◇ パラオ仮入隊中悪寒戦慄し四十度近い熱発ありマラリアではないかと心配したが検査の結果マラリアではなくデング熱らしいとの事であった。 ◇ 〔自衛隊用語集〕 熱発就寝(ねっぱつしゅうしん) 読んで字のごとく、熱出して寝込んでること。点呼のときなど、欠席者の内訳を報告するときに「○○一士熱発就寝!」などと報告する。一般の看護婦さんとかも使う言葉である。 ◆ また、沖縄方言でもあるらしい。 ◇ あとさ、沖縄の人は熱が出たら、熱発っていうさ~。本土は発熱。。。。最初、熱発っていってたら、みんな、はぁ~~?状態。。。。でも、この前、医者のカルテみたら、熱発ってかきよった!!! 沖縄の人かね~~~??? ◇ ちなみに熱が出ることを沖縄では、熱発(ねっぱつ)と言います。「今日、熱発なので、会社を休ませてください。」 こんな風に使います。 ◇ ネイティブ沖縄の皆さん 「熱発」は標準語ではないよ 方言です 正しくは「発熱」ですからね ◆ というわけで、だれかの日記に、たとえば「ちょっと前から熱発して、呼吸もだんだん苦しくなってきた」とあるのを読んだ場合に、その作者が、なにゆえに「熱発」というコトバを用いているのかを知るのはそう簡単なことではない。競馬好きなのかもしれないし、医者なのかもしれないし、自衛隊員であるかもしれないし、沖縄出身者であるかもしれないし、あるいは? ◇ 午後四時半体温を験す、卅八度六分。しかも両手なほ冷、この頃は卅八度の低熱にも苦しむに六分とありては後刻の苦さこそと思はれ、今の内にと急ぎてこの稿を認む。さしあたり書くべき事もなく今日の日記をでたらめに書く。仰臥のまま書き終る時六時、先刻より熱発してはや苦しき息なり。今夜の地獄思ふだに苦し。雨は今朝よりふりしきりてやまず。 |
|
◆ 職業に貴賎はないが、好き嫌いはある。 ◆ 永六輔の 『大語録』 という本をせっかく図書館から借りてきたので、パラパラとページをめくっていると、 ◇ 「広告代理店にも、いい人はいます。でも、いい広告代理店はありませんよ」 ◆ この文章をヒナガタとして、広告代理店をほかのコトバに置き換えてみるのもおもしろい。社会保険庁とか。緑資源機構とか。特殊法人とか。マスコミとか。いや団体であれば、業種を問わず、ほどんどの団体にマッチするヒナガタであるかもしれない。組織とはそういうものかもしれない。 ◆ 内田樹がブログでこんなことを書いていた。 ◇ 〔内田樹の研究室〕 代理店がらみの仕事は前に一度だけやったことがある。そのときに 「今後二度と広告代理店がらみの仕事はしない」 と堅く心に誓ったのである。別に代理店でお働きになっている個々の方々に怨みがあるわけではない。業界の風儀が私の肌には合わなかったというだけである。別に一般論として 「広告業界はよくない」 などという非道なことを申し上げる気はない。私はそちら方面の仕事は性に合わないのでやらないというだけのことである。したい方はどんどんなされればよい。私はそういうこととには不案内な人間なので、そちら方面には足を向けない。東は東、西は西。 ◆ 広告代理店はいまでも人気の業種であるのだろう。こんな就職希望者がいる。 ◇ 〔毎日就職ナビ:エントリーシート添削講座〕 また広告のターゲットは人の心であり、そこにダイレクトにアプローチできるので、それを見た人とも繋がりがもてることも広告業界ならではだと思います。実際、私も朝日新聞のジャーナリスト宣言の広告を見たとき、言葉の儚さや葛藤から抜け出し、前向きに言葉と付き合おうと思ったことを覚えています。私も、ただ商品を宣伝するだけでなく、人生が少しだけ楽しくなるような広告がつくりたいです。
◆ べつな広告のことも思い出した。これについては、以前 「不気味な広告」 で書いた。
◆ いま見直しても不気味だ。こんな言葉のチカラなどワタシにはとてもじゃないが信じられない。
◆ 毎日新聞にこんなニュース。《クールビズ:キャンペーン日当、1人当たり7万6300円》 ◇ クールビズなど地球温暖化防止を訴えるキャンペーンのため、環境省が大手広告代理店 「博報堂」 に支払う日当(1日7時間)が最大で1人当たり7万6300円に上ることが分かった。時給なら1万円を超える計算だ。19日の参院文教科学委員会で、民主党の蓮舫委員が、環境省の資料を分析した結果として明らかにした。契約は05年度から3年連続で結ばれており、今年度の総費用は約27億円、3年間では80億円を超える見通し。 ◆ この金額、大手広告代理店に支払う費用としては妥当であるのかもしれないが、それが 「無駄遣い」 でないかどうかはまた別な問題だろう。このキャンペーン費用に見合った効果が得られなかった場合の責任はいったい誰がとるのだろう? ◆ 学生のころ、一度だけ広告代理店の仕事をしたことがある。数時間でデタラメなフランス語の翻訳をして、10万円の報酬。生まれ変わったら、そのときはぜひ広告代理店に就職したいものだ。 |
|
◆ 犬の糞のつづき。 ◇ 犬の糞(くそ) きたないもの、軽蔑すべきもの、数多くあるものなどをいうたとえ。 ◆ ありふれた名字も犬の糞に例えられることがある。 ◇ 鈴木、佐藤、高橋、田中、木村、山田、渡辺など、どこにもころがっているので、そんな苗字は 「犬の糞」 とかいわれてるとか、私もその犬の糞です。悲しい。 ◇ 「鈴木・佐藤は犬の糞」 ってあったなあ。どこにでもいる名字って事。今、犬の糞も見なくなったけどね。 ◇ 日本では 「佐藤斉藤犬の糞」、中国では 「張三李四」 (=張家の三男、李家の四男)というね。 ◇ クラスで唯一の 「佐藤」 を名乗った覚えはあまり無い。「佐藤後藤犬のクソ」 といって、佐藤と後藤は何処に行っても転がっているのだそうだ。くそ。この言葉には地方によって 「佐藤山田」 だとか 「佐藤斉藤」 だとかのバリエーションがある様なのだが、何にしても佐藤は必ず入っている様である。すなわち佐藤は後藤より山田より斉藤より、より犬のクソに近いという訳か。くそ。 ◆ たしかに 「佐藤さんがいっぱい」 だったりすることもあるなあ。 ◇ 渡辺という姓はかなり日本国内でも(当たり前か)ポピュラーな姓で,特に新潟には多いとされているのでした。そんなわけで 「佐藤渡辺犬の糞」 などという格言(ちがう)もあったりするわけなのでした。 ◇ 〔臼杵の姓〕 ずいぶん前 「さとうごとうは、いんのくそ」 などと長老が語っていたが、佐藤姓はダントツ。 ◆ 臼杵市は大分県。佐藤が入っていないヴァージョンもある。 ◇ 〔長崎でよくみる名字〕 あと、松尾はどこにでもおるやろ 松尾、山口、犬の糞(いんのくそ)って言うやん ◇ 宮崎県に住んでいるのですが、県北、特に高千穂を含む西臼杵郡では、「甲斐・興梠犬の糞」 と言われるほど、この二つの姓を持つ方が多いです。 ◆ 興梠は 「こうろぎ(こうろき)」 と読む。興梠木の木がいつのまにか脱落したらしい。 ◇ とにかく北勢地域は伊藤、加藤が多く、「伊藤、加藤は犬のクソ」 なんていいます。(笑) どこでもころがっていると言う意味でしょうね。 ◆ 北勢地域は三重県。四日市市を含む。 ◇ 〔Wikipedia〕 白洲が理事を務めるゴルフクラブに、ある日秘書らしき若者から 「これから田中がプレイしますのでよろしく」 と挨拶があった。応対した彼が 「田中という名前は犬の糞ほどたくさんあるが、どこの田中だ」 と返したところ、「総理の田中です」 と返答があった。 ◆ 白洲は白洲次郎、田中は田中角栄。つぎは犬ではなくて馬の糞。 ◇ 私の名字でもある「佐藤」は日本全国で最も多い姓である。秋田県内においてもしかり。私の母が日頃から話している 「佐藤、高橋、馬の糞」 という言葉からも 「佐藤=日本一多い姓」 である、というのは般常識化しているのだろう。 ◇ 〔言葉の世界・伝言板〕 私の名字は 「佐藤」 です。「佐藤」 は全国でも多い名字ですが、これを言うのに、「佐藤、XXは馬のクソ」。昔は馬はそれくらい普通にいたんでしょう。(どこでこんな言葉覚えたんだか、記憶にない。辞典には載ってないし。) ◆ あら、こちらもやっぱり佐藤さんだ。 |
|
◇ 六、七間先に犬の糞が落ちているのが見えた。だが、傍らへよけることはできない。よけたのでは歩数がふえてしまう。ではぽんと飛び越えることは? それもできない。「二歩で一間」 という物差しをこっちから狂わせるようなものである。 ◆ さて、この 「犬の糞」 の 「糞」 という漢字は、なんと読むべきだろう? フン? それともクソ? と、またまたどうでもいいようなコトが気になってしまったのである。以前、「伊勢屋稲荷に犬の糞」 のことを書いた。 ◇ 諺ニ江戸ニ多キヲ云テ伊勢屋稲荷ニ犬ノ糞ト云也 ◆ これはトウゼン、犬のクソと読むものとばかり思っていたが、犬のフンと読むひともいるらしいことを知って、ちょっとびっくりしている。 ◇ 〔朝日放送:歴史街道〕 これらの店の多くが 「伊勢屋」 の屋号を掲げていたので 「江戸名物、伊勢屋、稲荷に犬の糞(ふん)」 と、含みのあるはやり言葉が生まれたほどだった。 ◆ テレビではクソという読みは下品なので、フンにしたのだろうか、とも思ったが、 ◇ 〔落語・講談によく出ることば 話芸“きまり文句”辞典〕 (火事に喧嘩に中っ腹、)伊勢屋、稲荷に犬の糞(いせや、いなりにいぬのふん):【意味】江戸の市中で多く目についたものの代表をいうことわざ。 ◇ 〔Wikipedia〕 又江戸では伊勢出身の商人はかなり多かったらしく 「江戸名物は伊勢屋、稲荷に犬のふん」 と言われていた。 ◆ というふうに、それ以外でもあちこちにフンが見つかるので、なにか根拠があるのかもしれない。けれども、その根拠がワタシには皆目わからない。やはり、クソという読みを “four-letter word” (忌み言葉)のようなものとして無意識のうちに避けたのではという気がする。 ◇ 火事と喧嘩は江戸の華、といわれます。こんなものがしょっちゅうあったんでは、たまったものではありませんが、その他にも江戸に多かったものを表す言葉が残っています。いわく、「伊勢屋 稲荷に 犬の糞」。都築道夫氏によると、最後のは、「いんのくそ」 と発音するのが正しいそうです。 ◆ 都筑道夫は江戸っ子らしいから、あるいはこれが正しいのかもしれないが、そうすると、また別なコトが気にかかる。イヌのクソではなくて、インのクソ。それではと、「いんのくそ」 を調べてみると、 ◇ 例えば 「大工調べ」 という落語の中で切る啖呵に 「犬のくそでかたきをとる(卑劣な手段で復讐するという意味)」 という台詞があります。これを 「いぬのくそ」 ではなく 「いんのくそ」 と発音するのが江戸訛りなんですね。 ◆ 志ん朝もそう発音したらしいから、 江戸弁では 「いんのくそ」 なのだろう。けれども、インノクソと発音するのは江戸だけではないようで、モノモライのことをインノクソと呼ぶ地域(九州)があるらしい。 ◇ 佐賀弁では、「ものもらい」 のことを、「いんのくそ」 といいます。 なんで犬なのかは残念ながらわかりません。 ◇ 一昨日から、「おひめさん」 ができている。左目に。ちなみに 「おひめさん」 とは 『ものもらい』 のことです。うちの近所では 「おひめさん」 と言います。ただ、「おひめさん」 と呼ぶと、頭にのってどんどん大きくなるので、「いんのくそ」 と呼ばなきゃいけないと近所のばあちゃんは言います。 ◆ 二番目の引用文の筆者は熊本のひと。長崎にはインノクソ横町が。 ◇ 〔「ナガジン」発見!長崎の歩き方〕 犬の糞横町(いんのくそよこちょう)/これはどこか一定の場所の地名ではなく、ある条件が当てはまるとこう呼ばれるというニュアンスのもの。西浜町や銅座町、江戸町などにこう呼ばれる道筋があったといわれるが、その条件とは、道が狭くしかも不潔な感じの横町ってことらしい。各町でそう呼び合ったというが、決して自分の町のことは言わなかったところらオモシロイ。 ◆ などなど。探せばまだまだあるだろう。 |