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◇ 名刺と定期とテレビ。これまで一度も持たなかった。たぶん一生、持たずに終わるだろう。 ◆ これを書いたのが元東京大学文学部教授のドイツ文学者であるからといって、ことさら驚いてみせたりするのは、たとえば名刺がいらない理由として、 ◇ 人とのまじわりは肩書きで始まったり続いたりしないものだ。 ◆ と、ごくふつうに綴ることができる著者に、自分がいかにも俗物であることを思い知らされるようで、あまり気分のいいものではないけれど、正直なところ、不意打ちのように驚いた。でも、考えてみれば、ワタシも似たようなもので、いまのところ、名刺も定期もテレビもない。 ◆ 名刺についても定期についても、それらを必要とするような環境にいないので、これまであまり考えたことがなかった。考えてみると、あれこれおもしろいように思うけれども、長くなりそうなので、やめておく。 |
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◆ 7月になった。ラニーニャ現象(La Niña)とかで、今年の夏は暑いらしい。さて、どうなることだろう? ◇ 夏じゅうは団扇(うちわ)を使うのと、汗を拭くのとで、両手がふさがっていたから、原稿が書けなかった。 ◆ と、なんともスゴイ文章を書くひとがいたものである。原稿が書けないとどうなるか? ◇ それで見る見る内に身辺が不如意になり、御用聞や集金人の顔がささくれ立って来た。 ◆ そりゃそうだろう。で、しかたなしに百鬼園先生は原稿を書いたかというと、これが書かない。ではどうしたか? ◇ 仕事をする時候ではないけれど、お金はいるので、錬金術を行う事にした。 ◆ 錬金術とはなんのことかというと、 ◇ 原稿料の前借りをしたり、印税の先払いをして貰ったりした。 ◆ それで、こと足りたのかというと、 ◇ しかしそうして心を千千(ちぢ)に砕いて見ても、矢っ張り足りない。 ◆ ふと、「アリとキリギリス」 の物語を思い出して、ちょっと考える。 ◇ 〔Wikipedia〕 夏の間、アリたちは冬の間の食料をためるために働き続け、キリギリスは歌を歌って遊び、働かない。やがて冬が来て、キリギリスは食べ物を探すが見つからず、アリたちに頼んで、食べ物を分けてもらおうとするが、「夏には歌ってたんだから、冬には踊ったらどうだ?」 と断られる。 ◆ ワタシにはなんの(錬金術師的)才能もないので、いまさらキリギリスに憧れたりはしない。働きアリでもいいけど、ただ夏と冬を取り換えてほしい。アリだって一年中働いていたわけではない。冬になったら、死にものぐるいで働くから、とりあえず夏はひと休みしたいなあ。とまあ、そんなことを暑い夏が来る前に思ってみたのでした。やれやれ。 ♪ 夏が来る きっと夏は来る 頑張ってるんだから絶対来る ◆ 来なくていいよ! |
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◇ 旧制高校の寮では毎年寮歌を作成する伝統がありました。その伝統の中から生まれたのが 「嗚呼玉杯に花うけて(旧制一高)」・「紅萌ゆる(旧制三高)」・「都ぞ弥生(北大予科)」 で、これらは三大寮歌と呼ばれています。 ◇ 〔Wikipedia〕 三大寮歌 旧制一高 『嗚呼玉杯に花うけて』、旧制三高 『紅萌ゆる丘の花』、北大予科 『都ぞ弥生』 ◇ 旧制高校と寮歌は切っても切れない関係にありますが、三大寮歌といえば「嗚呼(ああ)玉杯(ぎょくはい)」 (一高)、「紅萌(くれないも)ゆる」 (三高)、「都ぞ弥生」 (北大予科)というのが定説です。 ◇ 〔北大寮歌祭〕 寮歌の中でも一番広く歌われている寮歌、明治四十五年度寮歌 「都ぞ弥生」 は、旧制第一高等学校寮歌 「嗚呼玉杯に」、旧制第三高等学校寮歌 「紅萌ゆる」 と共に日本三大寮歌と言われており、 ◆ 東大、京大、北大。選曲にかんしては、みな一致している。けれど、曲名には少々ぶれがある。東大(一高)は、「嗚呼玉杯」、「嗚呼玉杯に」、「嗚呼玉杯に花うけて」。京大(三高)は、「紅萌ゆる」、「紅萌ゆる丘の花」。考えてみると、これらの 「曲名」 は、もともと曲名として付けられた曲名ではなく、歌いだしの歌詞の一部なのだった。寮歌には、そもそもタイトルを付さない伝統があるようなのだった。《Wikipedia》 も 「寮歌の一覧」 を作成するにあたって、 ◇ 歌の題名として、原則として歌い出しの文句を挙げている。 ◆ つまりは、寮歌の曲名はどれもみな、「春のうららの」 式の、「インチピット」 (incipit)なのだった。 ◇ The incipit of a text, such as a poem, song, or book, is its first few words or opening line. Before the development of titles, texts were often referred to by their incipits. Incipit comes from the Latin for "it begins". ◆ なお、フランス語の “incipit”は、冒頭の数語(最初の一行)にとどまらず、冒頭の数文、数ページをも指すことがある(そうだ)。 ◇ Un incipit est le début d'un texte, en général d'un roman (du latin incipio, is, ere : « commencer »). / À l'origine, on désignait par ce titre la première phrase d'un roman, aussi nommée phrase-seuil. Il est cependant commun de nos jours de le considérer plutôt comme ayant une longueur variable. Il peut ne durer que quelques phrases, mais aussi plusieurs pages. |
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◆ 小谷野敦のブログにこんな記事。 ◇ 〔猫を償うに猫をもってせよ〕 佐々木倫子の 『動物のお医者さん』 (単行本は1989-94)は、当時私も楽しく読んだものだが、その中に、二十代後半と思しい院生の菱沼さんが、年下の男と恋愛関係になりそうな時、札幌オリンピックの主題歌で、トワ・エ・モワが歌った 「虹と雪のバラード」 を知っているかどうかを目安にするエピソードがあった。 ◆ 『動物のお医者さん』 の 「虹と雪のバラード」 のエピソード。 ◇ 札幌の歌も、例えば佐々木倫子 『動物のお医者さん』 で男子高校生に突然求愛された女子大学院生が、その男子が 「虹と雪のバラード」 を歌えないようでは私の相手にはなれない、と突き放す(or諦める)エピソードがあるように、この都市の幸福な過去のシンボルとして生き続けているようだ。 ◇ 1972年に開催された札幌オリンピックをご存知ですか? そのテーマソングが 『虹と雪のバラード』 (歌 トワ・エ・モア)です。といっても、どんな曲か私は知らないのですが。コミック 『動物のお医者さん』 (著 佐々木倫子)の中のあるエピソードに登場するので、名前だけは知っていました。昨夜、彼と話をしているとき、なぜか 『虹と雪のバラード』 の話になり、知らないという私に歌って聞かせてくれました。 ◇ 札幌オリンピックと言えば、トワ・エ・モアが歌った 「虹と雪のバラード」 が好きだった。希望と明るさと切なさの入り交じった曲だったように思う。佐々木規子の 「動物のお医者さん」 の中で、天然キャラの菱沼聖子が、彼女に憧れる高校生に 「虹と雪のバラード」 を歌えるかと、ジェネレーションギャップのネタにしていたのが笑えたなぁ・・・(笑)。 ◇ で、そんな私が、『オリンピック』 と言われて最初に思い浮かべたものは、『虹と雪のバラード』。『動物のお医者さん』 で、菱沼さんが、年齢判定のために某高校生に歌わせようとした、あの歌でございます。私自身、札幌オリンピックは、ジャネット・リンさんが活躍した大会だということくらいしか知らないのですが、(なんか、転倒知らずの彼女が本番で転んでしまって、その後のインタビューで、『転倒した時も、私が笑っていられたのは神様のおかげです』 とか何とかおっしゃったらしい)(ということを、竹宮恵子さんの 『ロンド・カプリチオーソ』 で読んだ)、正直な話、高校生だろうが小学生だろうが、札幌市民なら、あの名曲は知っていて当然だと思ってました、私。 ◇ ひさびさに 「動物のお医者さん」 を読んだら、前に読んだときはせいぜい終盤のハムテルと同年代くらいだったのに、いつの間にか菱沼さんの方が近くなっている。虹と雪のバラードは歌えないが。 ◇ 本を読んでいて音楽が出て来ると気になる。知ってる曲だとイメージしやすい。一つ気になっていた歌がある。「動物のお医者さん」 で菱沼さんが歌う 「虹と雪のバラード」。前後から札幌オリンピックのイメージソングだった事は分かる。札幌オリンピックは1972年。あたしが生まれるずっと前だ。知ってるはずもない(そのくせ違うのはたくさん知ってるがね)。その歌がTVでやっていたのよ。んとね~。知らない方が良かったかも。すごいパワフルな曲調を想像してたんだけど…。普通のフォークだったさ。だから耳リセットして聞かなかった事にします。笑 ◇ 「虹と雪のバラード」 トワエモア。北海道冬季オリンピックのテーマ。生きてないがな(笑)。なんで好きになったのかというと、すんごい曖昧な理由が最初で、大好きな漫画の動物のお医者さんの菱沼さんが雪に埋まってしまって助けを求めるシーンで 「あたしは北海道オリンピックのテーマ歌えるんだからね!」 というのがあって、レコードを探した(バカ)。レコードがやっと見つかったのは、其れから5年。途中、合唱でどうしてもやりたいと志願して、楽譜とかは手に入れたが、どうしても聴きたくて。テレビのなつかし系で流れたりはしてたんだけど。ちなみにゲットしたのは、北海道の穴場レコード屋(また行きたい)。 ◆ 『動物のお医者さん』 の 「虹と雪のバラード」 のエピソードにまつわる個々人のエピソードも数多くあることだろう。数年前、「虹と雪のバラード」 の歌碑が大倉山にできたらしい。 ◇ 〔Wikipedia〕 2005年9月、札幌オリンピックジャンプ競技の舞台となった大倉山ジャンプ競技場に、歌碑が設置された。除幕式にはトワ・エ・モワの2人も参加してこの歌を熱唱した。 ♪ 生まれかわるサッポロの地に ◆ 余談だが、冒頭の引用は 「もてない男」 の小谷野敦だった。 ◇ 〔やじうまWatch〕 ベストセラー 「もてない男」 で知られている、評論家の小谷野敦さんは、ネットでも活発に活躍されている。はてなダイアリー 「猫を償うに猫をもってせよ」 は頻繁に更新、「猫猫先生」 との愛称もある。 〔中略〕 その小谷野さんが4月に結婚したというニュースが、ネットを駆けめぐっていた。週刊新潮7月5日号154ページに、おふたりの写真入りで紹介されている。お相手は21歳も年下の東大院生とのことで、きっかけはブログとメールの、典型的なネット恋愛だったという。 ◆ 結婚相手が 「虹と雪のバラード」 を歌えるかどうかが、ほんのすこしばかり気にかかる。 |