MEMORANDUM

◆ さいきんは「PhotoDiary」で虫の写真が増えてしまって、申し訳ない。すぐに飽きるかと思ったら、意外に飽きない。以前にも引用したが、

◇ ニョーボにとって、たいていの昆虫はゴキブリ扱いである。(^^;)
カブトムシ→角付きゴキブリ
クワガタ→大あごゴキブリ
蝶・蛾→派手ゴキブリ
コオロギ・鈴虫→鳴きゴキブリ
ホタル→光ゴキブリ

members.jcom.home.ne.jp/theshadowcity/Samejima37.html

◆ というような感覚のひとが多数なのだろうし、このサイトも個人のサイトとはいえ、できることならより多くのひとに訪れてほしいと気持ちもあるので、あまり不快な写真は載せないようにとこれでも多少は気をつかっているつもり。それが証拠にまだゴキブリの写真は載せていない(と思う)。

◆ ゴキブリはワタシも大嫌いなのだが、ふとフランス語でゴリラはゴリーユ(gorille)ということを思い出し、そういえばコキーユ(coquille)という単語もあって、これは貝殻のことだった。などとアタマが勝手に連想ゲームを始めてしまって、そのあげく、ゴリブリのことをゴキーユ(goquille)と呼ぶのはどうだろうかとひらめいて、ここに書きとめておきたくなった次第。どうですか、ゴキーユ? ちょっとはセレブな感じが? やっぱり、しない?

◆ オレンジ色した虫がいる。なぜオレンジ色なのかはしらない。きっと大事なわけがあるんだろう。

◆ オレンジ色したうさぎもいる。そういえば、「碧(あお)いうさぎ」なんて歌もあった。「オレンジのうさぎ」と「青のうさぎ」、選ぶなら、あなたはどちらが好き?

◆ 1939年ごろのニューオーリンズ。《Eugene Register-Guard》に掲載された、Madeleine Gilbert Christenson さんの投稿記事から、さらにもうひとつ。チコリコーヒー。

◇ What was served to us as coffee the first morning was like some thick, black medicine. But I am apt to be tolerant of culinary failures and I waited patiently for something better. The New Orleans coffee drinkers, however, brew the beverage from a dark roast coffee to which has been added about 20 per cent bitter chicory. They call it French drip coffee, and slowly this insidious drink grows on you and you curse to yourself because decent Maxwell House coffee tastes pale and wan. If you look like a tourist the wailtress will ask if you want "northern" or "southern" coffee.
Eugene Register-Guard - Jun 24, 1939

◆ 旅行者のあなたがニューオーリンズで飲食店に入りコーヒーを注文すると、ウェートレスが「北部風」ですか、「南部風」ですか、と問う。南部風(southern)のコーヒーを、と答えると、地元で「フレンチ・ドリップ・コーヒー」と呼ばれる、なにやら黒くどろっとした薬のような液体が出てくることになる。20パーセントのチコリ入りだ。チコリは、

◇ 葉や根には独特の苦味があり、肥培した株から出させた芽を暗黒下で軟白栽培したものを、主にサラダとして賞味するほか、根を炒ったものをコーヒーの風味づけや代用品にも使う。
ja.wikipedia.org/wiki/チコリー

◆ つまり、チコリコーヒーには2種類あって、コーヒー豆に根チコリを加えたもの(もともとは水増しのため、また風味づけとして)とコーヒー豆を使わず根チコリを焙煎したもの(代用品)。

◇ Root chicory (Cichorium intybus var. sativum) has been in cultivation in Europe as a coffee substitute. The roots are baked, ground, and used as a coffee substitute and additive, especially in the Mediterranean region (where the plant is native), although its use as a coffee additive is also very popular in India, parts of Southeast Asia and the American South, particularly in New Orleans. Chicory, with sugar beet and rye was used as an ingredient of the East German Mischkaffee (mixed coffee), introduced during the "coffee crisis" of 1976-9.
en.wikipedia.org/wiki/Chicory

◆ ニューオーリンズのチコリコーヒーのチコリは、コーヒーの substitute(代用品)ではなくて、additive(添加物)ということになる。いまでも、ニューオーリンズではチコリコーヒーを飲むことができて、なかでも「Cafe Du Monde」というコーヒーショップが有名だそう。そのうちいつか、ニューオーリンズに行くことがあったら、ぜひ飲んでみたいものだ。と思っていたら、このカフェデュモンド、

◇ 1990年にダスキンの経営により日本進出。日本国内では33店舗(2008年3月現在)を展開している。
ja.wikipedia.org/wiki/カフェデュモンド

◆ あら、日本でも飲めるのね。《Cafe Du Monde》のホームページに、チコリコーヒーの歴史が書いてあったので、これも引用。

◇  Coffee first came to North America by way of New Orleans back in the mid-1700's. It was successfully cultivated in Martinique about 1720, and the French brought coffee with them as they began to settle new colonies along the Mississippi.
 The taste for coffee and chicory was developed by the French during their civil war. Coffee was scarce during those times, and they found that chicory added body and flavor to the brew. The Acadians from Nova Scotia brought this taste and many other french customs (heritage) to Louisiana. Chicory is the root of the endive plant. Endive is a type of lettuce. The root of the plant is roasted and ground. It is added to the coffee to soften the bitter edge of the dark roasted coffee.

cafedumonde.com/coffee.html

◆ しばらくゴリラを見ていない。先の記事のタイトルを「鹿に注意」にしたことで、ブラッサンスの「ゴリラに御用心」を思い出した。シャンソン好きの歌人、塚本邦雄に『薔薇色のゴリラ』という楽しい一冊があって、そこで覚えた(探してみたが、見つからない)。原題は「Le gorille」(ゴリラ)だが、歌詞の一節から「Gare au gorille!」(ゴリラに気をつけろ!」)とも。「gorille」はゴリーユ。「famille」がファミールでないのと同様、ゴリールではない。

◇ 「童貞」「強姦」「さかりのついた」など、およそシャンソンに使われることのない単語が続出し、動物園のゴリラが檻から抜け出し判事を犯すという歌詞で観客を仰天させた1曲です。
www.hakusuisha.co.jp/france/200811.php

◆ 歌詞、訳詩は《kamp's hahaha: 続・ぶらっとブラッサンス》で読める。あと、《週刊フランスのWEB》でも。

◆ 道路標識で思い出した。「鹿」の標識。左は北海道の「鹿」。右は奈良公園の「鹿」。「鹿飛出し! 走行注意」と「鹿の飛び出し 注意」。表記が微妙に違う。いや、それよりも、北海道と奈良ではシカの種類が違うのではと思ったが、エゾシカ(Cervus nippon yesoensis)とホンシュウジカ(Cervus nippon centralis)は、体の大きさをのぞけば、たいした差はないらしく、どちらもニホンジカ(Cervus nippon)の亜種扱い。ヒグマとツキノワグマほどの違いはない。

◇ 日本国内に棲息するニホンジカはエゾシカ、ホンシュウジカ、キュウシュウジカ、マゲシカ、ヤクシカ、ケラマジカ、ツシマジカの7つの地域亜種に分類され、北の方のものほど体が大きい(ベルクマンの法則参照)。南西諸島の3亜種は特に小型であり、オスの体重で比較するとエゾジカの140kgに対してマゲジカとヤクシカで40kg、ケラマジカでは30kgである。
ja.wikipedia.org/wiki/ニホンジカ

◆ エゾシカにはこんな記述も。

◇ アイヌはシカ(エゾシカ)はイヨマンテなどの儀礼に使用せず、アイヌ文化においてはシカの神(カムイ)が存在しないと言われている。シカは単なる食料の対象であったと見られている。
ja.wikipedia.org/wiki/エゾシカ

◆ ネット上の文章を引用するさいに、もちろん、いちいちキーボードで入力したりはしない。コピー&ペーストすれば、それで済む。ときには勝手に修正することもある。てきとうに、誤字(誤変換)を訂正したり、余分な改行をなくしたり。以前は、勝手に修正することに多少の抵抗もあったが、考えてみると、ブログや掲示板の文章は、ユニークな表記法が多く、なかば「手書きの」文章なので、それを「活字の」文章にするには、多少の変更も許されるのではないか、とテキトウに思うようになった。ようするに、あまり好ましいことではないかもしれないが、自分のスタイルに合うように修正を加えているわけ。

◆ 判断に迷うものもある。そのひとつが「!」。たとえば、以前に引用した《虫同盟》というサイトの書き込み。

◇ 「虫大嫌いです☆蝶々やトンボでさえ許せねぇ!!笑」 「虫嫌い!網戸とかにはりついてて足の付け根とか見えたら吐きそうになる!!(ぇ)」 「虫だいっきらいです!!見るのも嫌です。もうこの世からきえてほしいです!」 「虫大っ嫌いです!日光行った時は、とんぼがもぅ。。。」 「蛾がだめすぎです!キモチワルイ、本当に。寒気がするんです(泣」
www1.odn.ne.jp/~cby89520/mushi.htm

◆ 「!」のオンパレード。半角(!)と全角(!)の違いはさておいて、どれも感嘆符のあとにスペース(空白)がない。これが気になる(ときがある)。「虫大っ嫌いです!日光行った時は、とんぼがもぅ。。。」なんかは、「虫、大っ嫌いです! 日光行った時は、とんぼがもぅ・・・」とでもしたくなるが、「虫大嫌いです☆蝶々やトンボでさえ許せねぇ!!笑」になると、「☆」と「!!」が絶妙のバランスで並んでいるので、そのままの方がいいかな、と思ったり。一筋縄ではいかない。そんなわけで、これは原文のママ。

◆ この道路標識は「その他の危険」というのだそうで、

◇ この標識は、若い頃、幽霊が出るところに有るんじゃ、ドライバー等が不意にそういうものと遭遇して事故を起こさないように、警告してるんだ。とよく噂しておりました。それだけに、コレを見つけた時はぞぞ~っとした記憶があります。
dt50.blog.so-net.ne.jp/2008-02-18

◇ その他・・・いったい何なんでしょうね。危険だから注意しなさいと言われても、危険である理由が「その他」だったら、気をつけようがありません。「その他」という理由で納得のいくことってあるのでしょうか? 「その他の罪で逮捕する!」と言われて納得する人がいるでしょうか。サッカーをやっていて、「その他の反則を犯したため退場しなさい」といわれて納得するでしょうか。「その他の理由でお金をあげます」というのなら喜んで貰いますけどね。(それでも、やっぱり納得はいかない)
aym.pekori.to/koneta/archives/2004/06/post_22.html

◆ 分類するということが苦手で、ここ「MEMORANDUM」に書いた文章をカテゴリー分けしようかと思ったことも何度かあったが、うまくいきそうもないので、ほったらかし。無理して分類するなら、ほとんどの文章が「その他」に分類されることになるだろう。この記事もまた同じ。「その他」というのはずいぶんと便利なものだと思う。

◆ 2009年8月14日の「天声人語」に柚子坊のつづき。

◇ そのアゲハの幼虫、柚子坊(ゆずぼう)のことを先日書いたら、思いのほか多くの便りをいただいた。「緑濃き下蔭(したかげ)を舞ひ黒揚羽(あげは)〈危険な関係〉を愉(たの)しむごとし」と、東京の篠塚純子さんはかつて詠んだ歌を送ってくださった。庭では毎年、アゲハが生まれるそうだ▼仙台の池沢祐子さんからは、羽化した黒アゲハの美しい写真が届いた。庭木の柚子坊が次々に鳥に食べられるのを見かね、5匹を網の中へかくまってユズの葉を与えたそうだ。育った蝶は外へ放したという。嫌われがちな柚子坊も、やさしさに感謝だろう▼便りは女性からが大半だった。昆虫といえば少年の専売のようだが、王朝文学の「虫めづる姫君」のDNAが連綿と流れているのだろうか。とはいっても、客観写生を説いた俳人の虚子に〈命かけて芋虫憎む女かな〉の一句もあるから、世の柚子坊よ、油断は禁物かもしれぬ▼わが家の鉢植えミカンの柚子坊は、鳥の目をかいくぐってサナギになり、地震で揺れた朝に羽化した。黒地に黄色のナミアゲハだった。ナミは「並」。ありふれたゆえのやや失敬な名だが、蝶のあずかり知らぬことである▼柚子坊を育て上げた木は葉がだいぶやられた。ピンポン球ほどの青い実を涼しげにぶら下げて、ひと仕事を終えた風情で日を浴びている。
www.asahi.com/paper/column20090814.html

◆ 読者の短歌に「緑濃き下蔭を舞ひ黒揚羽」。2009年8月3日の「天声人語」に「わけても日盛りの黒アゲハは神秘的だ」。クロアゲハは(川上弘美のように)日陰を好むので、読者の短歌の方がより写生的であるということはいえるだろう。

◆ 「虫めづる姫君」のDNAの継承者のひとりに柳美里がいる。

◇ ご存じのかたもいらっしゃるとは思いますけど、わたくし、大の虫好きなんでございますのよ。小学生のころは、「虫博士」と呼ばれておりました。将来は、昆虫に携わる仕事をしたいと思っていたものです。いつか、余生といえるような時間が訪れたら、昆虫採取に没頭したい。
www.yu-miri.net/blog/050522.htm

◆ 「命かけて芋虫憎む女」も数多くいることだろうが、蓼(たで)食う虫も好きずきで、

養老 虫好きの女の子って、意外にたくさんいるんだけどね。つい二、三日前、「ゲジゲジは可愛い」とか言う子がいて、びっくりした。
池田 足がいっぱい生えているのが好きだっていう子と、足があるのは嫌で、芋虫みたいのが好きだっていう子がいる。毛虫好きはあまりいないけど。女の人は、チョウとかガとか成虫が嫌いで、幼虫が好きな人が多いですね。鱗粉(りんぷん)が嫌いなんでしょうね。
奥本 チョウはいいけど、ガはダメとか。
池田 そうそう。幼虫は好きだけど、成虫は嫌いとかね。幼虫が好きな女の人って、けっこういるんですよ。
奥本 そりゃ、本物だな。
池田 うちの女房も幼虫好きですよ。可愛いからって、幼虫を飼っていた。ツクツク、プリプリしていて赤ん坊の足みたいで、触り心地がいいらしい。

養老孟司・池田清彦・奥本大三郎 『虫捕る子だけが生き残る』(小学館101新書,p.15)

◆ 「うちの女房」、五感のうちでも触感を重視するあたりが女性的であるのかもとも思ったり。とはいえ、いちばん多いのは、やっぱり「虫めづらない姫君・たち」だろう。