MEMORANDUM

◆ おともだちの霧さんがこんなことを書いている。

◇ 古本屋で買った文庫を読んでいると、半分くらいのところに 「搭乗口案内」 と書かれたレシートが一枚挟まっていた。「コシバトシアキ」 さんが12月13日に福岡行きのANA251便を予約した際のものらしい。搭乗口は58。座席番号は19G。コシバさんは飛行機の中でこの本を読んだのかなと思いつつ読み進めていくと、後半の頁にもう一枚のレシート発見。12月8日付のブックキヨスク新大阪店。買い上げは文庫1点で、本書の値段と一致する。本書 『市民ヴィンス』 は昨年の12月発行。出張か、旅行か、帰省か。大阪で買った新刊を移動のお伴に持ってきて、福岡の古本屋に売ったということなんだろうな。二枚の紙切れから、自分とは関係のない人、今後交差することもないだろう未知の人のほんのひとときが窺える。古本を読んでいてこういうものにぶつかると、なんだか嬉しくなる。
01.members.goo.ne.jp/home/fog_horn/diary/a/985.html

◆ 古本といえば、こんなことがあった。2003年10月23日、久里浜。通りすがりに入った古本屋の棚をのぞいていると、あとから10歳くらいの女の子を連れた若い母親がやってきて、こどもがあれこれおもしろそうな本をひっぱり出し始めるとすぐに、こう言った。

◇ 「ここの本はキレイじゃないのよ。ばっちいの。さあ行きましょ」

◆ 「ばっちい」 というコトバが標準語かどうかいまひとつ確信がもてないので、念のために書き添えておくと、「ばっちい」 とは汚いという意味であるが、古本屋の本が汚いというなら、古本屋になんか来なければいいのに、と思ってしまった。まあ、店に入るまでは、古本屋だとは思わなかったのだろうけれど。

◆ 古本を読むと、ときにおまけがついてくる。それは霧さんが書いていたようなことで、喫茶店のレシートとか、病院の診察券とか、まにあわせのシオリのようなもの。他人の痕跡。あるいは、個人の蔵書印が押してあったり(まれには、公共の図書館の蔵書印であったりもするが)。

◆ あるいは書き込み。赤鉛筆でやたらに傍線を引いてあったり、「?」 で疑問点を記してあったり、余白いっぱいに細かい字で感想を書き連ねてあったり。参考になることもある。

◆ 図書館の本も、新着図書を一番に借りるのでなければ、みな古本である。もちろん、個人の所有物ではないのだから、書き込みをしてはいけない。だが、よく見かける。

◆ 画像(拡大)は区立の図書館で借りてきた新渡戸稲造著、矢内原忠雄訳、ワイド版岩波文庫 『武士道』、102ページ。あれこれ黒ボールペンでの書き込みがあるが、つまりはこういうことらしい。読みのあやふやな漢字の語がある。すぐに調べがついたものには、ふりがなを振る。調べるのに時間がかかりそうな語には、とりあえず○で囲んでおいて、読みがわかった語については、○を修正液で消してからふりがなを振る。だから、○がそのまま残された語は、けっきょく調べがつかなかったということなのだろう。「門弟」 「故」 「拙者唯」、それから 「無分別」。書き込みの主がだれだかわかれば教えてあげたい。どんなひとだろう? 1ページにこんなに読みのわからない漢字があっては、一冊を読み通すのに、おそろしく時間がかかるにちがいない。ところが、書き込みはこのページを中心にわずか数ページにあるだけだ。書き込みをしたひとは 『武士道』 のその数ページだけを必要としたのだろう。大学で日本文化論を受講する留学生、そんなところではないかと思う。

  男は

♪ 男は誰もみな 無口な兵士
笑って死ねる人生 それさえあればいい

◆ 一日の仕事を終えて、疲れ切って(というほどのこともないが)、もうこのまま寝てしまおうかと思ったりもしたが、やはり風呂に入っておこうと、よたよたと銭湯に向かい、ひと風呂浴びて、いくぶんか元気を取り戻して、脱衣場でくつろいでいると、女湯の脱衣場のほうからの会話が聞こえる。会話と書いたが、ひとりの声しか聞こえない。もしかするとケイタイで通話していたのかも。あるいはひとり言だったのかも。ありふれたオバサンの声。

◇ ・・・いまではテレビがおともだちでね。

◇ 今日なんか休みなんだから、どこかに出かけてくれればいいんだけど・・・。

◆ 話題は定年退職したダンナの日常であるようだった。あいかわらず話し相手の声は聞こえない。ひとりが一方的にしゃべりまくっている。とにかく声がでかいので、聞くつもりはなくとも聞こえてしまう。

◇ 男は、もう早く死んでもらわなきゃダメだね。

◆ 風呂上りにこんなハナシを好き好んで聞きたくはないが、耳をふさぐのは手間なので、聞こえるにまかせる。そうか、早く死んでしまったほうがいい?

◆ 女湯のとなりには仕切り一枚をへだてて男湯があって、そこには見えないにしても男たちがいるだろうから、などとは思いもしない。あるいはわざと男に聞かせているのか?

  紫煙

♪ 煙草のけむりの中に
  かくれて見えない
  あなたはどんな顔で
  私を見てるの?

  五輪真弓 「煙草のけむり」(作詞:五輪真弓)

◆ タバコを吸い始めたころに、ぼけっとタバコの煙を見ていて、その煙がうすく紫がかっていることに気がついて、ちいさな感動をした。ああ、ほんとうに紫煙なんだな、と思ったのだった。

し‐えん【紫煙・紫烟】 紫色の煙。紫色のもや。また、特に、タバコの煙。「―をくゆらす」
小学館 『大辞泉』

◆ 紫煙というコトバは知っていたけれど、じっさいのタバコの煙の色を注視したのは、あとにもさきにもその一度しかない。

◆ タバコの煙がどうして紫がかって見えるのかについての説明を、タバコとはあまり縁のなさそうなところから見つけた。ネット証券会社 《マネックス証券》 の社長 「松本大のつぶやき」 から。

◇ 煙草の煙は紫煙ですが、一旦吸われて吐かれた煙は白煙です。これは気管の中で水分が煙の粒子に付着して粒子が大きくなるためです。吸う前の小さな粒子は波長の短い紫色だけを反射し、吸った後の大きな粒子は長い波長も含めて反射するので白く見えます。
www2.monex.co.jp/monex_blog/archives/000299.html

◆ 辞書にもこれくらいの説明があっていい。

◆ こんなことがあってもいいのだろうか? というほどのことでもないのだけども・・・。今日の引越の相棒が佐藤で、午前のお客さんが佐藤さんで、午後のお客さんも佐藤さん。今日はなぜだかみんな佐藤さんなんですよ、というハナシを午後のお客さんの佐藤さんにしたら、エアコンを外しに来たひとも佐藤さんだったそうな。いやはや日本で一番多い姓だとはいえ、ちょっとびっくり。ちなみにワタシは佐藤ではない。

◆ 旭川の旭山動物園。ジェンツーペンギン(右)がイワトビペンギン(左)にちょっかいを出すとどうなるか?

◆ 強いのはイワトビペンギンの方。こんなことを100回ほど繰り返して(画像も100回で止まります)、イワトビペンギンは一歩も譲らず、ジェンツーペンギンはとぼとぼと引き上げる。

◆ しばらくすると、懲りずにまたジェンツーペンギンがイワトビペンギンにちょっかいを出しにやってきて、また負ける。

  馬肉

◆ 競馬好きだからというわけではないが、馬肉は食べたことがない。

◆ と思っていたら、知らず知らずのうちにしっかり食べていたのだった。