MEMORANDUM

  白鷺という様な鳥はいない

◇ 美しい「花」がある。「花」の美しさという様なものはない。

◆ と言ったのは小林秀雄だが、「白鷺という様な鳥はいない」という様なことを言うひとが、なぜだか多い。

〔東京書籍:花ちゃん・オー君・モンタ博士のてくてく自然散歩シリーズ〕 「うわあー。まっ白い鳥だね。シラサギかな?」
「まっ白なサギなので、シラサギと言ったりするけど、本当はシラサギという鳥はいないのよ。白いサギはコサギ・チュウサギ・ダイサギの3種類(しゅるい)がいるのよ。」

kids.tokyo-shoseki.co.jp/kidsap/downloadfr1/htm/err40909/err44132-196.htm

◇  毎年、京都の八坂神社や東京の浅草寺などで行われる「白鷺の舞」をご存知でしょうか。白駕の装束に身を包んだ演舞者がゆっくりと舞う、なかなか優雅な行事です。シラサギというと、全身純白の姿から、気品とか優雅などのイメージを一般では持っようです。
 確かに、実際のシラサギも純白で、優雅でなかなかきれいな鳥です。しかし、考えてみるとあの白い色はかなり目立つので、かえって外敵に発見されやすく、あまり良くないのではと思えます。あんなに白くて大丈夫なのでしょうか。
 ところで、シラサギという名前の鳥はいません。コサギ、チュウサギ、ダイサギ、アマサギなどの体が白色のサギを総称してシラサギと呼びます。アマサギだけは、夏に頭から首にかけて亜麻色になります。

柴田 佳秀『ポケット図解 鳥の雑学がよ~くわかる本 ー 鳥たちの衣食住と結婚、子育て』(秀和システム,p.100)

〔あわら市のシンボル(花・木・鳥)(案)提出された意見の概要と市の考え方〕 ご指摘いただきましたように、白鷺は白い鷺の総称で、白鷺という名の鷺がいるわけではありません
 ただ、わが国では、この白い鷺を一般的にシラサギと呼称し、古くは姫路城の別称にもなっているほか、近年では北陸線の列車名にも採用され、愛されてきました。

www.city.awara.lg.jp/page/seisaku/pabcome20080110_d/fil/004.pdf

〔いきもの通信 Vol.311[今日のいきもの]シラサギという名前の鳥はいない〕  例えばまっ白なサギを見つけたならば、あなたはそのサギをなんと呼びますか?
 「コサギだ」「ダイサギだ」と言う人は、鳥についてそれなりの知識を持っているようですね。
 「シラサギだ」と言う人は、残念ながら鳥について詳しくない、というより何もわかっていないのではないかという疑念を感じざるをえません。なぜこんなことが言えるのかというと、「シラサギ」という名前の鳥は存在しないからなのです。

ikimonotuusin.com/doc/311.htm

〔姫路科学館:科学の眼 No.432〕  天下の名城姫路城は1993年12月、法隆寺とともに日本で初の世界文化遺産に指定されました。姫路城は白く美しい白壁が天を舞うシラサギのように見えるので、別名「白鷺城」とも呼ばれています。
 さて、鳥の世界では「シラサギ」という名の鳥はいるのでしょうか。残念ながら、日本には「シラサギ」という名の鳥はいないのです。それでは「シラサギ」とはどのような鳥をいうのでしょうか。

www.city.himeji.lg.jp/atom/wadai/manako/432_s.pdf

◆ 書かれていることは概ね理解できるけれども、どうしてもわからないことがひとつある。最後の引用の、

◇ 残念ながら、日本には「シラサギ」という名の鳥はいないのです。

◆ の「残念ながら」だ。白鷺が種の名前でないからといって、なにを残念がる必要があるのだろう。コサギだろうがダイサギだろうが、白鷺はあいかわらずそこにいるではないか。こんなとき、ワタシはやっぱり土星人なんだなと思って、ちょっと悲しくなる。

◆ サギ師の悲しみも、あるいはこんなものだろうか。だますつもりはなかったんです。あなたが勝手に期待して勝手に幻滅しただけなんです。それもわたしのせいですか? シラサギをサギ師呼ばわりするのはやめよう。地球人というのは勝手なものだ。勝手にシラサギと呼び、勝手にお前はシラサギじゃなかったんだねと残念がる。「残念」という気持ちから騙されたという怒りへの移行は瞬時に行われることだろう。願わくば、憎悪にまで達しないことを。

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