MEMORANDUM

  Belle Michelle

◆ 「ベル・メゾン」。どこにでもありそうなアパート・マンション名だが、さてどういう意味だろうか? 親切にもスペルが下に書いてある。「BELL MAISON」。「BELLE MAISON」であれば、フランス語で「美しい家」という意味になるが、「belle」ではなくて「bell」だから、英仏ちゃんぽんで「鈴の家(鈴屋)」とか「鐘の家(鐘楼)」? オーナーが「鈴木」さんなのかもしれない。

◆ ↑と書いた半日後に、「Belle Maison」を見つけた。やはり、どこにでもあるようだ。こちらは読み方が書いてない。「ベル・メゾン」だとは思うが、もしかしたら、「ベレ・マイソン」だったりするかもしれない。

◆ フランス語の「belle」(ベル)は「美しい」という意味の形容詞「beau」の女性形だが、名詞として用いると「美しい女性(美女)」の意味にもなる。「眠れる森の美女」は「La Belle au bois dormant」で、「美女と野獣」は「La Belle et la Bête」(英語では、「Sleeping Beauty」に「Beauty and the Beast」)。「belle」で、よく知られているのが、もうひとつ。ビートルズの「ミッシェル」

♪ ミーシェル マー ベル

◆ で始まる、ビートルズの「ミッシェル」。英語のサイトでは、「ma belle」を「my belle」と書いてあるサイトも少なくない(「my bell」と書いてあるサイトもある)。じっさいに聴いてみても、ワタシの耳では「ma(マー)」だか「my(マイ)」だかよくわからない。2つの歌詞サイトから歌詞を引用すると、

♪ Michelle, ma belle.
  These are words that go together well,
  my Michelle.
  Michelle, ma belle.
  Sont les mots qui vont tres bien ensemble,
  tres bien ensemble.

  www.lovecms.com/music-beatles-the/music-michelle.html

♪ Michelle, my belle.
  These are words that go together well,
  My Michelle.
  Michelle, my belle.
  Sont des mots qui vont très bien ensemble,
  Très bien ensemble.

  www.sing365.com/music/lyric.nsf/Michelle-lyrics-The-Beatles/4AECA612D111229D48256BC200138107

◆ となっている。さいしょの3行が英語で、つづく3行がそのフランス語訳という構成なら、1行目の「ma belle」は「my belle」(あるいは「my bell」)であってもいいような気もする。歌詞の設定としては、歌い手である英語圏の男性が、ミッシェルというフランス女性を好きになったはいいものの、フランス語があまり得意ではない。ミッシェルも英語があまりできない。覚えたてのフランス語を使ってコミュニケーションをとろうとするが、やはりフランス語ではもどかしい。で、英語だけれど、このコトバならキミにもわかると思うから、「アイ・ラブ・ユー、アイ・ラブ・ユー、大好きだ」、ってな感じだろう。このフランス語初心者の男性にとっては、「ma belle」だろうが「my belle」だろうが「my bell」だろうが、たいした違いはないだろうと思う。以下、勝手にこの男性のアタマのなかをのぞいてみると、フランス語で「ぼくの愛しい人」ってのは「マー・ベル」っていうらしいぞ、「マー」は「My(マイ)」のことで、「べル」ってのはよくわからないけど、英語の「bell(鈴、鐘)」とおんなじ発音だ、つまり「ぼくの鈴ちゃん」って覚えておけばいいんだな。妄想しすぎたか?

◆ 引用した歌詞の5、6行目は明らかにフランス語。引用した2つの歌詞には1箇所、「les(レ)」と「des(デ)」の異同がある。これは、じっさいに聴くと、ワタシには「デ」と聞こえることが多いし、フランス語としてもそのほうが自然だろうと思うが、いろいろなヴァージョンを聴くと、「レ」に聞こえるのもあって、わけがわからなくなる(参考:《paulmccartney.com :: View topic - Michelle》)。カタカナで表記してみると、

♪ ソン デ(orレ) モ キ ヴォン トレ ビヤン ナンサンブル
  トレ ビヤン ナンサンブル

◆ ぐらいになるか。このフランス語の箇所は、当然のことながら、フランス語を解さないひとにはお経を聞いているのと変わりない。日本人だけでなく、英語圏のひとにとってもそうである。お経ではなく意味のあるコトバの連なりとして聞き取ろうとした場合には「空耳」になり、「ソン・デー・モー・キー(sont des mots qui)」の部分が「Sunday monkey(日曜日の猿?)」に聞こえたりするらしい。「ミッシェル」の空耳を集めた《The Beatles - Michelle Funny Misheard Lyrics》から、一部を見てみると(5行目のみ)、

・Sunday monkeys bone Trey Brennan's son,
・Someday monkey won't play piano song,
・sunday monkey won't play piano song,
・Sunday monkeys say the end is done,
・someday Monkey Bone played piano and sung
・some say monkeys play piano well,
・Sunday Monday Tuesday Wednesday day,

◆ などなど。

〔Houston Press〕 I misheard the French-language section of "Michelle" -- "Michelle ma belle / sont les mots qui vont très bien ensemble / très bien ensemble" -- as "Michelle, my belle, Sunday monkey go play piano song, pi-a-no song," and I see from numerous Internet sites that I was far from alone. How are American five-year-olds supposed to know French?
www.houstonpress.com/2005-03-17/music/hold-me-closer-tony-danza/

◆ ミッシェルといえば、アメリカのオバマ大統領婦人の名が、ミッシェル。ポール・マッカトニーがホワイトハウスで大統領夫妻を前にしながら「ミッシェル」を歌った動画が《YouTube》にあった。ここに「日曜日の猿」がいるかどうかを一度確かめてみてほしい。

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