MEMORANDUM

  神輿振り

みこしふり【神輿振り】《「みこしぶり」とも》
1 祭礼のとき、担いだ神輿を威勢よく振り動かすこと。
2 昔、比叡山延暦寺の僧徒が、朝廷に強訴するとき、日吉(ひえ)神社の神輿を先に立てて入京したこと。

小学館『大辞泉』

◆ 2は固有の歴史的事件にたいする用法で、『平家物語』(巻第一「御輿振」)にも出ているが、それはさておき、1の用法の「神輿振り」。

〔祭りだ!山車だ!:祭辞典〕 神輿振り(みこしぶり) 渡御で神輿が氏子に担がれて町内を練り歩くのは、神さまに町内を見ていただくためといわれている。この渡御中に神輿を上下左右に振り動かして荒々しく扱うことがあり、これを「神輿振り」という。これは、神輿に御座されている神さまの「魂振り」(たまふり)で、これにより神さまの霊威を高め、豊作や豊漁、疫病が退散するとされている。
park2.wakwak.com/~hero/05-dic/ma-mi.html

◆ 南千住の素盞雄神社の天王祭で、この「神輿振り」というのを初めてみた。

◆ 正確に書くと、天王祭期間中だった南千住の素盞雄神社に寄った帰りに、たまたまオミコシの列を見かけて、ちょっと見ていたら、ときどきオミコシを左右に揺するのがおもしろい。はて、これはなんだろうと思って、帰ってから調べてみて、「神輿振り」というコトバを初めて知った。それで、「この『神輿振り』というのを初めてみた」と、書いたのだが、覚えたてのコトバを初めて使うときには、いつだって喜びと不安が同居している。

◆ 「ミコシ」というものはもちろん前から知っているけれども、これを漢字で書いたことはこれまでにあっただろうか? 「神輿」というのと「御輿」というのの2つの書き方があるようだけど、ワタシはなんとなく「御輿」のほうが好きだな、とか。けれど、これだと、「オミコシ」の場合には「御御輿」になって、ちょっと具合が悪い感じもするなあ、とか。「ミコシ振り」の場合には、「御輿振り」と書くと、「御輿振」で『平家物語』のタイトルになっていることもあって、歴史的事件のほうを思い浮かべてしまう可能性が高いかもしれないから、やっぱり「神輿振り」にしておいたほうが無難か、とか。じっさい、「ミコシ振り」は「御輿振(り)」ではなく、「神輿振り」と書いているひとが多い。

〔荒川区公式ホームページ〕 6月の第一土曜日と日曜日は、素盞雄(すさのお)神社の天王祭が行われます。三年に一度の大祭では、担ぎ棒二本の二天棒で千貫もある神輿を、左右に振りながら担ぐ神輿振りが見られます。
http://www.city.arakawa.tokyo.jp/kanko/miryoku/omatsuri.html

◇ このお祭りでは「神輿振り」というものが特徴で、渡御の途中で神輿を左右に大きく揺らします。(舟の横揺れのような感じです。)
blogs.dion.ne.jp/viktonie/archives/cat_333926-1.html

〔Wikipedia:素盞雄神社 (荒川区)〕 例祭「天王祭」は、都内でも珍しい二天棒の神輿で神輿振りをする事で知られている。
ja.wikipedia.org/wiki/素盞雄神社 (荒川区)

◇ ここの祭は近隣でも珍しい神輿振りというものが名物で、神輿を左右、路面ギリギリまで倒すということをするもので、通常行われているような担ぎ方とはまったく違う様相となります。これのおかげでよく見るような担ぎ棒が4本ではなく、長く2本のみという特殊形状。
jureidou.blog21.fc2.com/blog-entry-975.html

〔レッツエンジョイ東京〕 神輿の担ぎ棒は四本や六本を井桁型に組んで担ぐことが多いですが、当社は二本のみで担ぎ、神輿を左右へ倒して激しく振る「神輿振り」が特徴です。
www.enjoytokyo.jp/amuse/event/591886/

◇ 天王祭は東京都荒川区南千住に鎮座する素盞雄(すさのお)神社の祭礼で、【神輿振り】と呼ばれる担ぎ方が有名なんです。神輿振りというのは、お神輿を担ぐ長い2本の棒を左右に大きく傾ける独特の担ぎ方で、傾けすぎて崩れてしまいそうになることもあるダイナミックな担ぎ方なんですよ。
www.stepon-contents.jp/hc/kokodake/archives/9000/9001/index.html

◇ 天王祭は「二天棒」(担ぎ棒が二本)で神輿を大きく左右に振ることが最大の特徴です。かって畦道で神輿を担いだ工夫が今に生きているようです。 その勇壮な神輿振りのため、天王神輿を担ぐと体中痛くて1~2週間は元に戻らないといわれています。
www.arakawa-dream.com/newpage16.html

◇ 普通の神輿は、担ぎ棒が井ゲタに組まれているが、天王祭は、約八mの担ぎ棒が2本あるだけ。担ぎ方も独特で、神輿を左右に激しくふる「神輿振り」をします。
www.bekkoame.ne.jp/~minoru-y/maturi.htm

◇ 二天棒神輿といわれる珍しいもので棒を軸にして神輿を左右に激しくゆさぶる担ぎ方(神輿振り)は天王祭独特のものです。
senbun.exblog.jp/4958102/

◇ 素盞雄神社の神輿振りは二天棒で行われる。神輿を地面すれすれまで左右交互に倒し、振り合う大変荒々しく勇壮で豪快なその奉納主役は宮元七ヶ町の大神輿。
rekishi-roman.jp/maturi-10/page-12.html

◇ 祭神「すさのおのみこと」は荒っぽく扱うほど霊力が高まると信じられ、これが神輿を左右に揺さぶる独特の神輿振りの所以と言われる。
members2.jcom.home.ne.jp/ichikondo/06 tennousai.html

◆ たくさん引用したが、これくらい「神輿振り」の用例を読むと、ワタシも安心してこの「神輿振り」というコトバを使えるようになる。と同時に、余計なことにも気がついてしまう。

◇ 素盞雄神社の天王祭は、二天棒で神輿を左右に大きく傾けながら担ぐ神輿振りが最大の特徴です。

◆ この下線・太字部の読み方には2通りある(英語の関係詞の制限用法と非制限用法の対比を考えればわかりやすいかもしれない)。

*(全国にはいろいろな神輿振りの方法があるけれども、)天王祭の神輿振りは「二天棒で神輿を左右に大きく傾けながら担ぐ」というというところに特徴がある。
*天王祭の特徴は「神輿振り」で、神輿振りというのは「二天棒で神輿を左右に大きく傾けながら担ぐ」ことである。

◇ 上御霊神社の神輿三基が140年ぶりに京都御苑に巡行しました。 京都御所北門に当たる朔平門(さくへいもん)前で神輿を差し上げて揺らす「神輿振り」を披露した。
homepage3.nifty.com/suehiro-mikosi/movie.html

◆ じっさいには、全国各地で「神輿振り」が行われていて、「神輿振り」はなにも天王祭の専売特許ではないのだが、東京では「神輿振り」というと、素盞雄神社の天王祭のものがよく知られているから、「二天棒で神輿を左右に大きく傾けながら担ぐ」という神輿振りの一種を「神輿振り」そのものだと考えるひとがいてもおかしくはないのだろう。そのようなことを考えながら、「神輿振り」の用例を読み直すと、それはそれでおもしろい。判断のつかない微妙な例もいくつかある。

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