◇ 子どもの絵本で『ちいさいおうち』というのがあるでしょう? 最初は緑の丘の上に家が建つ。町が発展して、だんだんまわりにビルが建って、ついにビルの谷間に埋もれてしまう。それで、最後は、もう一度田舎に移るという。
建築三酔人『東京現代建築ほめ殺し』(新潮OH!文庫,p.100)
◆ バージニア・リー・バートン(Virginia Lee Burton)の『ちいさいおうち The Little House』の冒頭はこう。
◇ Once upon a time there was a Little House way out in the country. She was a pretty Little House and she was strong and well built.
◇ むかしむかし、静かないなかにちいさいおうちがたっていました。それは、ちいさいけれどとてもがんじょうにつくられた、強いおうちでした。
バージニア・リー・バートン『ちいさいおうち』(石井桃子訳,岩波書店)
◆ 訳者の石井桃子(1907年3月10日 - 2008年4月2日)は、101歳まで生きた。原文で「She(彼女)」と書かれる「ちいさいおうち」に、訳者の姿がだぶって見える(なんてことは読んでから書くべきだろうな、やっぱり)。