MEMORANDUM

  けや木・やな木・木の子

◆ 「きのこのこ」という店の看板を見て、ちょっと考えた。

き-の-こ (名) 〔木ノ子ノ義カ〕
大槻文彦『言海』(ちくま学芸文庫,p.393)

◆ キノコは「木の子」。だったら、キノコの子は「木の子の子」になって、ということは、「きのこのこ」は木の孫になるのかな? でも、「木の孫」っていったいなにかな?

◆ ケヤキにキノコが生えていた。「けや木」に「木の子」が生えていた。「けや木」に生えた「木の子」は「けや木の子」? このケヤキの子はなんという名前かな?

◆ 「けや木」というレストランがあった。けや木の「けや」ってなにかな? 大槻さんに聞いてみよう。

けや-き (名) 〔良材ナレバ、貴(ケヤ)ケキ木ノ意カト云〕
大槻文彦『言海』(ちくま学芸文庫,p.470)

◆ 「やな木」というレストランはまだ見たことがないけど、やな木の「やな」ってなにかな? 大槻さんに聞いてみよう。

やな-ぎ (名) 〔彌長木ノ意カト云、或云、梁木ノ義、水邊ニ多ケレバイフト、或云、矢之木ノ轉、(又矢木(ヤギ))古ヘ、矢ニ作レバイフト、共ニイカガ〕
大槻文彦『言海』(ちくま学芸文庫,p.1175)

◆ あはは、「共ニイカガ」だって。なんだか政治家みたいだな。語源というのは、いつでも、とってもむずかしい。

◆ 「ケヤキの木」とか「ヤナギの木」っていう言い方は、「けや木の木」とか「やな木の木」ってことだから、ちょっとだけヘンかもしれない。

〔毎日jp(新潟):「ボトナムは知っている」 北朝鮮帰還事業50年(1) 植樹の日に生まれて(2009年12月09日)〕  新潟市中央区のショッピングエリア・万代シテイから新潟港へと続く国道113号沿いに、柳の木が約2キロにわたって立ち並ぶ。
mainichi.jp/area/niigata/news/20091209ddlk15040048000c.html

◆ 以前、この新聞記事を引用したとき(「ボトナム通り」)に、そのことがちょっとだけ気になったのを思い出した。

◆ ヤナギが樹木の名前だということを知らないひとは少ないだろうから、「柳の木」の「木」は余分だろうと思う。でも、ケヤキは知らないひともいるだろうから、「ケヤキの木」と書くのが親切である場合もあるかもしれない。葉の落ちた冬のケヤキの樹影はとてもキレイだ。そのシルエットを模して「欅」という漢字が作られたというハナシもある。

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