◆ 丹那トンネル工事を描いた吉村昭の小説、『闇を裂く道』を読んだら、丹那盆地に行きたくなった。 ◇ 子供づれの女が通り、老いた男がすぎた。かれらは例外なく挨拶してすぎ、子供も頭をさげた。 ◇ 曾我は、川口の家を出ると畦道を進んだ。小川に膝まで水につかった子供たちが、大きな笊(ざる)を突き立て、そこへ魚を追いこんでいる。あげた笊の中には、川魚が何尾もはねていた。 ◆ 「別天地」あるいは「砂漠の中のオアシス」という表現でもいいが、まるで桃源郷のようなところ。かつては。 ◇ 〔Wikipedia:丹那トンネル〕 トンネルの真上に当たる丹那盆地は、工事の進捗につれて地下水が抜け水不足となり、灌漑用水が確保できず深刻な飢饉になった。住民の抗議運動も過激化したため鉄道省は丹那盆地の渇水対策(貯水池や水道等の新設、金銭や代替農地による補償等)にも追われることとなった。現在でも、完成した丹那トンネルからは大量の地下水が抜け続けており、かつて存在した豊富な湧水は丹那盆地から失われてしまった。例えば、湿田が乾田となり、底なし田の後が宅地となり、7カ所あったワサビ沢が消失している。 ◆ 正月休みの帰りに、かつては桃源郷であった丹那盆地を訪ねてみようかと思ったが、車がないときびしそうだったので、あっさりヤメにした。寒いし。暖かくなったら、また考えよう。 |
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