◇ 「私ねえ、本は読まないようにしているの」 閑(ひま)さえあれば寝っころがって本を読んでいる私はびっくりして、 「どうして」 と聞いた。 「だって、おばあさんになって老人ホームに行った時、普通の人と話が合わなくなると思うから」 佐野洋子『ふつうがえらい』(新潮文庫,p.234)
◆ なるほど。それもひとつの見識だろう。「敢えて~しない」という決断は目に見えないから、傍目からは「~しない」と見分けがつかない。でも、注意深いひとなら、どこかの筋肉に微妙な強ばりを見出してしまうかもしれない。「敢えて~しない」を続けていると、そのうち「~しない」と完全に区別がつかなくなって、そのころにはかつて「敢えて」という決断をしたことも忘れてしまっているだろう。そうなればいい。
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