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  猪十六

◆ いすみ鉄道大多喜駅前の食堂「番所」。それほどお腹も減っていなかったのでそばにしたが、メニューに「大多喜名物 猪十六丼」というのがあって、それがひじょうに気になった。

〔厚木市観光協会〕 猪肉は、「牡丹(ぼたん)」「山鯨(やまくじら)」ともよばれ、主に鍋料理として古くから愛好されています。
www.atsugi-kankou.jp/eat-shishi.htm

◆ 牡丹や山鯨という隠語なら知っているけど、「十六」というのはお目にかかったことがなかった。で、「猪十六」の読み方をご主人に聞くと、「シシジュウロク(4×4=16)」との答え。なるほど。

〔中国新聞〕 万葉集には、イノシシの特別な表記法がある。「十六」と書いて、シシと読ませる。九九のもじりである。死の連想につながる四の字を重ねる「四四」と書くのを嫌ったのだ、という。
www.chugoku-np.co.jp/kikaku/ihen/4-3.html

◆ 万葉の時代にすでに九九があったということ自体が驚き。シシは猪(イノシシ)または鹿(カノシシ)。

〔日国.NET:小林祥次郎の発掘日本のことば遊び 第13回 万葉集の戯書(数の遊び)〕 四四十六によってシシ(狩りの対象となる猪や鹿)と読みます。かつてテレビのアニメ「ゼンダマン」に、ゼンダライオンという機関車が出てきて、そのプレートに「4416」と記してあり、それが出動する時には「胸に輝くプレートは、シシのジュウロク」という歌が流れました。万葉の伝統はこんなところまで続いていると言えるかもしれません。
www.nikkoku.net/ezine/asobi/asb13_04.html

◆ 実例を見てみると(万葉集巻第六・926)、

◇ 朝獦尓 十六履起之 夕狩尓 十里蹋立
(朝狩に 獣(しし)踏み起し 夕狩に 鳥踏み立て)

◆ 訓み下し文は鹿持雅澄(『萬葉集古義』)。万葉仮名で書かれた原文で、シシ(猪・鹿)は「十六」、トリ(鳥)は「十里」か。なるほど、おもしろい。どうして古文の先生は教えてくれなかったんだろう。

◆ ほかに、「三五月」と書いて、モチヅキ(望月)と読ませる。3×5=15で、十五夜は満月(望月)だから。

◆ ほかに、「二八十一不在国」と書いて、ニククアラナクニ(憎くあらなくに〔憎くはないのに、の意〕)と読ませる。81=9×9というわけ。

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