MEMORANDUM

  もろこし

◆ 富士スバルラインの終点の富士山5合目の「もろこし」。この「もろこし」というのがトウがなくてもトウモロコシのことであることは(そこで現物を焼いているので)すぐにわかったけれど、この「もろこし」という言い方は一般的なのだろうかということが気になって調べてみると、長野・山梨あたりの方言であるらしい。

〔まちBBS:☆長野県の方言~四言目~☆〕 この間、関東の方にもろこし(とうもろこし)と、うり(きゅうり)と言ったら、何で略してるのぉ~w って笑われたんです。もろこしとうりは方言なんですかね?
www2.machi.to/bbs/read.cgi/kousinetu/1116398031/

◇ えっ、「もろこし」って方言だったんですか? 知らなかった。両親の実家が山梨なこともあって、普通に「もろこし」って言ってました。
logpi.jp/higuchama/permalink/1707250

◆ 方言といっても、かたちの上ではトウモロコシの語頭のトウを省略しただけに思えるので(語源的な経緯はしらない)、その場合はくだけた俗語として長野・山梨にかぎらず全国的に用いられもするだろう(スナック菓子の「もろこし村」とか「焼きもろこし」とか)。

〔ほぼ日刊イトイ新聞-みうらじゅんに訊け! ──この島国 篇:山梨県〕 みうら ぼくは、とうもろこしが好きなことで家では有名です。じゅんはとうもろこしが好きだ、とうもろこしが入っていれば苦手なものも食う、と、評判でした。例えば、ぼくはサラダは好きじゃないですけど、とうもろこしをプラスしてもらえればとうもろこしだと思ってサラダも食べるぐらいとうもろこしが好きです。ですから、とうもろこしを焼いて売っているところでは、当然、買います。前回、富士山の5合目に車で近づいたときもそこでもろこしを焼いてることは、すぐに発見しておりました。
www.1101.com/shimaguni/jun/2008-07-06.html

◆ みうらじゅんは京都出身だから、ここはぜひともナンバと言ってほしかったが、ここでの「もろこし」を方言だとは呼べないだろう。あと、トウモロコシの方言として有名なのが、北海道のトウキビ。

◇ 札幌の大通公園は、トウキビの立ち食い風景の名所のひとつで、紳士淑女でも、だれはばからず、黄金のかぶりつきが見られる。
達本 外喜治『北の国の食物誌』(朝日文庫,p.142)

◆ さっき引用したみうらじゅんのモロコシ談義がおもしろいので、もう少し。

みうら ところでぼくは、「1もろこし、ひとり」という考えで、これまでやってきました。1本のもろこしをふたつに割って人に与えるほどの余裕はないです。もろこしは、1本まるまる自分が食う、という考えです。でも、必ず「ちょっと食べさせて」という人がいるでしょ? ぼくは「ちょっと食べさせて」がいちばん嫌いです。だったら1本買えばいいじゃないか、と思うんです。しかしどうやら、特に東京の人は、「ちょっと味見」が好きなようで、ちょっと食べる人、多いです。
www.1101.com/shimaguni/jun/2008-07-06.html

◆ 全文はコチラ。この文章を読んだあと、スーパーで1もろこしを買ってひとりで食べた。とくに好きだというわけでもないので、ふたつに割って人に与えてもよかったんだけど、あいにく「ちょっと食べさせて」と言うひとがそばにいないもので、ひとりで食べた。9月になったが、まだまだ暑い。もうすこし涼しくなったら、また1もろこしを買って食べよう。

  しんとして幅広き街(まち)
  秋の夜の
  玉蜀黍(たうもろこし)の焼くるにほひよ

  石川啄木『一握の砂』

関連記事:

このページの URL : 
Trackback URL : 

POST A COMMENT




ログイン情報を記憶しますか?

(スタイル用のHTMLタグが使えます)