MEMORANDUM

  ひまつぶし

◆ つくづく安上がりな生活(人生)だと思う。もちろん、ワタシ自身の生活のことだ。とくに欲しいものも思いつかないので、消費者と名のるのが気恥ずかしいほど、モノを買わない。一日を過ごすのに、たいしたモノはいらない。たとえば、こんなイメージがひとつあればこと足りる。一日、それどころか一週間、あるいは一ヶ月を過ごせるかもしれない。ちょっとした曲がり角の隙間にはめ込むようにして作られた小さな公園。一本の木の周りに木の座布団を載せた円い石の椅子が七つ。手前には、もうひとつ椅子が置けそうな空間がある。本来は八つ椅子があったのだろうか? その痕跡のようなものもある。だが、他の椅子の根元のようには、舗石が円形に切り取られてはいない。やはり、元々七つしかなかったのだろうか。だとすると、この隙間はなにを意味するのか。などというどうでもいいことを考えていれば、あっという間に一日が過ぎる。

◆ ひとつ足りないもの、たとえば、皿屋敷のお菊さんの皿。10枚あるべき皿がなぜか9枚しかない。ひとつ余っているもの、たとえば、萩尾望都の「11人いる!」という漫画。10人いるべき宇宙船になぜか11人いる!

◇ 宇宙大学受験会場、最終テストは外部との接触を絶たれた宇宙船白号で53日間生きのびること。1チームは10人。だが、宇宙船には11人いた! さまざまな星系からそれぞれの文化を背負ってやってきた受験生をあいつぐトラブルが襲う。疑心暗鬼のなかでの反目と友情。11人は果たして合格できるのか? 萩尾望都のSF代表作。

◆ 10-1=9、10+1=11。日常生活においては、ほとんどの場合、誤差として処理されてしまうだろうような些細な数の不一致が人生を左右してしまうことも時にはある。

◆ そういえば、大学入試の点数が友人と2点差だったことがあった。ワタシは合格し、友人は不合格になった。その2点差がその後の人生を左右する、ということもあるいはあったかもしれない。ワタシはその大学には進学しなかったので、なんともいえないのだが。

◆ それから、じっとこのイメージを眺めていると、キノコに見えないでもない。円形に生えたキノコ。それで、フェアリーリングということばを思い出す。つづく。

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