◆ 雪が降っている。本のなかでは雪が降っている。林芙美子の『放浪記』。十二月×日。 ◇ 雪が降っている。私はこの啄木の歌を偶(ふ)っと思い浮べながら、郷愁のようなものを感じていた。便所の窓を明けると、夕方の門燈(あかり)が薄明るくついていて、むかし信州の山で見たしゃくなげの紅(あか)い花のようで、とても美しかった。 ◆ 「この啄木の歌」というのが、 さいはての駅に下り立ち ◆ で、ズレてないひとならば、当然、この歌の「さいはての駅」とはどこの駅なのか、「さびしき町」とはどこの町なのか、ということに思いをめぐらせることだろう。はやりのご当地検定のひとつに「道産子検定」というのがあるようで、その過去問のひとつに、 ◇ ●第4回上級より
◇ 釧路へ着いたのが八時頃で、驛を出ると、外國の港へでも降りたやうに潮霧(がす)がたちこめてゐた。雨と潮霧で私のメガネはたちまちくもつてしまふ。帶廣から乘り合はせた、轉任の鐵道員の家族が、町を歩いて行つた方が面白いですよと云つて、雨の中を子供を連れた家族達が私を案内してくれた。 ◆ 夕焼けの牛の鳴き声のような霧笛、か。翌日(六月十六日)、 ◇ 山形屋の拂ひを濟ませて道路へ出ると、宿の前がさいはての驛であつた。山形屋へ泊つたこともいゝではありませんかと、いまは肥料倉庫のやうなさいはての舊驛を眼前にして、私は啄木の唄をまるで自らの唄のやうにくちずさんでゐた。 ◆ 1908年に啄木の降り立った釧路駅は、旧駅。 ◇ 〔Wikipedia〕 1917年(大正6年)12月1日 - 現在地に移転、貨物の取扱を廃止(旅客駅となる)。旧駅は貨物駅の浜釧路駅となる。 ◆ 真夏の東京で、もしかしたら少しはこの灼熱も和らぐのではないかと、林芙美子に倣ってワタシも「雪の頃のすがれたような風景」を「眼の裏」にイメージしてみようとしたが、能力不足でいっこうに涼しくはならない。どうしたものか? 真冬の南半球にでも行くしかないか? そうしよう。しかし、 ◇ 〔朝日新聞〕 冬の南半球。南米各地では、寒波で少なくとも200人以上の死者が出ている。ボリビアでは過去に降雪記録がない地域で雪が降り、チリでは各地で吹雪による停電で交通が止まり、町が孤立した。アルゼンチンでは寒さで少なくとも14人が死亡、ホームレスの人を屋内に収容するなどの対策に追われ、ガス需要が増えたため炭で料理するレストランもあるという。ペルーでも、標高3千メートル以上の地域で零下24度を記録し、政府が緊急事態宣言を出した。
◆ ところで、フエゴ島は過去に流刑地であった歴史があり、島の中心都市ウシュアイアも囚人たちの労働によって建設された。というようなコトを知ると、思わず口ずさんでしまうのは、 ♪ 遥か 遥か彼方にゃ オホーツク ◆ となると、さっきの道産子検定に戻って、答えは、Dの網走駅でどうだろう?
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納涼メモランダムにご紹介ありがとうございます!
わたしはきのうまで下北半島にいて、本州の「さいはて」大間崎から灯台を眺めました(大間埼灯台は小島に建っていて「本州」ではなかった!)。
ではまた。
rororo さん、
またまた納涼気分が味わえそうで、旅行記楽しみにしています。次は灯台めぐりの記事でも書こうかな。