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  湖海河川

〔朝日新聞〕 大相撲の賭博問題で、NHKは6日、名古屋場所の中継放送をテレビ、ラジオとも行わないことを決めた。再発防止に向けた日本相撲協会の取り組みが不十分で、中継をすれば受信料を支払う視聴者の理解が得られないと判断した。一方で相撲ファンに配慮し、幕内の取組を紹介するダイジェスト番組を午後6時台に20分間放送する。
www.asahi.com/national/update/0706/TKY201007060426.html

◆ ゴタゴタ続きの大相撲。2年前、露鵬・白露山の大麻問題で北の湖親方が日本相撲協会の理事長を引責辞任。そのあとを引き継いだ武蔵川親方(元横綱・三重ノ海)はただいま体調不良で静養中とか。北の湖と三重ノ海。

〔東京新聞:筆洗(2010年6月28日)〕  大鵬時代からの大相撲ファンで、テレビ中継はずっと見てきた。忘れがたい勝負がいくつかある。全盛期の横綱北の湖に勝てなかった大関三重ノ海が仕掛けた奇襲はその一つだ。
 立ち合った瞬間、三重ノ海は横綱の目の前で両手をパチンとたたいた。相手をひるませ、有利な体勢に持ち込もうという作戦は、その名も「猫だまし」。しかし、北の湖にはまったく通じなかった。
 大関を陥落しながら、横綱になった三重ノ海は前さばきがうまく、速攻が魅力だった。親方としても多くの弟子を育て、不祥事で辞任した北の湖前理事長の後を引き継いだが、野球賭博をめぐる対応はあまりにもお粗末すぎた。

www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2010062802000054.html

◆ 三重ノ海は三重県松阪市の出身だそうで、「三重ノ海」とは伊勢湾だろうか? 三重の海の伊勢湾と北の湖の洞爺湖では、もちろん伊勢湾のほうが大きいのだろうが、海よりも湖のほうが巨大であるようなイメージはなかなか消せない。

◆ 「武蔵川」という川はどんな川だろうと思って調べてみたが(といってもウィキペディアを見ただけだが)、よくわからない。

〔Wikipedia〕 武蔵川(むさしがわ)は日本相撲協会の年寄名跡のひとつで、初代・武蔵川が四股名として名乗っていたもので、その由来は定かではない。
ja.wikipedia.org/wiki/武蔵川

◆ その代わりといってはなんだが、こんなハナシはどうだろう。

◇  私の知人で、英語が上手なためにときどき無料通訳をたのまれるという家庭婦人がいる。あるとき京都の小型タクシーに、カイロ大学の総長さんと医学部長さんを詰めこんで、彼女が助手席に乗って、三条大橋にさしかかった。
「この橋の下を流れるのが、日本でもっともエレガントな川といわれております鴨川であります」
 というと、後ろの座席の大男二人は車がゆれるほどに犇(ひしめ)きあって大笑いし、やがてミセス・コバヤシはすばらしいユーモリストだ、と激賞してくれた。ミセス・コバヤシはしばらくその意味がわがらなかったが、やがて、自分が鴨川のことを river といったために獲ちえた褒辞であることがわかった。大男たちの river の概念はナイル河で出来あがっており、海のように大きい。river ! river ! と大男たちは叫び、車が三条大橋を渡りきるまで笑い続けていたという。

司馬遼太郎『街道をゆく 1』(朝日学芸文庫,p36-37)

◆ いつの日か、「ナイル河」(どのような漢字をあてるのがよいのだろう)などという大男のエジプト人力士が大相撲の土俵に上がっていたりはしないか。そのとき、偶然のように「鴨川」というひょろひょろの日本人力士がいたなら、ぜひともそちらを応援したいものだ。

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