◇ 〔道浦俊彦/とっておきの話:ことばの話2877「琵琶湖で海水浴」〕 琵琶湖は「海」ではありませんから、「『海水』浴」は出来ません。強いて言うなら、「湖水浴」ですが、この言葉は、こなれていませんよね。 ◆ 先にも引用したこの文章、別なことが気になったので、少しだけ。気になったのかのは『カッコ』の位置で、ワタシなら、 ◇ 琵琶湖は「海」ではありませんから、「『海』水浴」は出来ません。強いて言うなら、「『湖』水浴」ですが、この言葉は、こなれていませんよね。 ◆ と書くだろうと思う。「海水浴」というコトバの成り立ちは、「海水+浴」なのか、「海+水浴」なのか? 「海水を浴びること」なのか、「海で水浴すること」なのか? それによって、海水浴の対義語もそれぞれ異なったものになる。ひとつが「湖水浴」。 ◇ 八月最後の日にもかかわらず、海水浴に行って来たのである。海水浴と言っても、本当の海はお盆を過ぎるとクラゲの登場で、到底泳げっこない。泳ぎに行ってきたのは、滋賀県の琵琶湖である。だから正式には海水浴ではなく湖水浴だ。 ◇ それは「海水浴」ならぬ「湖水浴」。滋賀県内には真野浜、わに浜、松の浦、マキノサニービーチ等、20以上のすばらしい水泳場が数多くある。 ◇ 始めての海水浴(正しくは湖水浴ですが、何故かみんなこう言います)は琵琶湖。免許を取ったらとりあえず琵琶湖。デートも琵琶湖。とにかく暇だったら琵琶湖。京都の人間にとって琵琶湖はそういう場所です。 ◆ もうひとつが「淡水浴」。「湖水浴」もこなれていないが、「淡水浴」はさらにこなれていないだろう。 ◇ 関西出身の私は子供のころ夏は琵琶湖で海水浴ならぬ淡水浴!? ◇ 小さい時は、海水浴といったらだいたい琵琶湖のわに浜やったな。琵琶湖なら淡水浴やね。ワニがおるのと違うかとビクビクしていた。 ◇ 京都人は、海水浴ってゆーたら琵琶湖ですよね。(淡水浴やけど) ◆ 「湖水浴」にせよ「淡水浴」にせよ、引用した文章を読んでいると、書き手の脳裏にまっさきに浮かんだコトバが「海水浴」であったことはまず疑いがない。そのあとで「琵琶湖で海水浴? ちょっと変かな?」と考えて、「湖水浴」あるいは「淡水浴」というコトバを作り出す。そんなことなら、面倒だから、「海水浴」でもいいんじゃないかという気がしないでもない。 |
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