◆ 去年の12月13日、東大駒場キャンパスを散歩していたときのこと。イチョウ並木のイチョウの葉はほとんど落ちてしまっていたが、その落ちたイチョウの葉を拾っている若いカップルがいて、たまたまその横を通り過ぎるとき、そのカップルの男性が女性にこんなハナシをしているのが聞こえた。
◇ 「イチョウの葉には、男と女があるんだよ。知ってた?」
◆ ワタシはアカの他人なので、そのまま通り過ぎたが、そんなハナシは初めて聞いた。イチョウは雌雄異株ということで、オスの木とメスの木があるのはもちろんだが、葉っぱにまでオスメスがあるとは?
◇ この歳になって初めて知りました、イチョウの葉にオスとメスがあること。葉っぱに切れ目のようなものがあるのがオスでないのがメス。スボンみたいなのがオスで、スカートみたいなのがメスってことですね。世の中のこと、知らないことがたくさんあることは承知しているし、あらゆる変化にも対応していってないのも自覚してるけど、ふとしたことで、学ぶこともあるものです。
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◇ イチョウにはオスとメスがあり、メスに銀杏が実るというのは聞いたことがありましたが、オスとメスでイチョウの葉の形が違うことを初めて知りました。ひとつ勉強になりました。メス=女の子は扇型(スカート)で、オス=男の子は真ん中が大きく割れている(半ズボン)。ほんとだ~。
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◆ たしかにイチョウの葉の形は多様で、大まかに分類すれば、切れ込みがあるものとないものに二分することができて、そのそれぞれの特徴をスボン(男)とスカート(女)に見立てることにはなんの問題もないし、おもしろい見立てだとは思うけれど、葉っぱの「男女」と木のオスメスとのあいだにはなんの関係もない(と思う)。オスの木にスカートをはいた葉がついていることもあるし、メスの木にスボンをはいた葉っぱがついていることもある。イチョウの木などそれこそどこにでもあるのだから、自分の目で確かめればいいと思うのだけど、どうもそういうひとは少ないようだ。
◇ 先日、植物に詳しい人から聞いたのです。イチョウの葉っぱはパンタロンのがオスで、スカートがメスだと思っていたのですが、全然違っているというのです。一本のイチョウの樹の葉から、パンタロンあり、スカートあり、また違った形ありで、色んな葉っぱがあるというのです。
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◆ 東大駒場キャンパスのイチョウ並木にハナシを戻すと、イチョウの葉の男女の違いについてのハナシをしていた若いカップルは、イチョウの木の根元に落ちた葉っぱを拾い上げて入念に観察してはいたけれど、すぐそばにあるイチョウの木のまだ落ちずに残っていた葉っぱをけっして見ようとはしなかった。ちょっと頭を上げれば、そのイチョウの木に、パンタロンをはいた葉っぱとスカートをはいた葉っぱが仲良く(あなたたちのように)寄り添っているのを目にすることもできただろうに。いや、頭を上げなくてよかったのかもしれない。もしワタシがその若いカップルの女性だったとしたら、
◇ 「イチョウの葉には、男と女があるんだよ。知ってた? こんな風にスカートをはいているのが女のイチョウで、こんな風にズボンをはいているのが男のイチョウなんだ。葉っぱの形でイチョウの木のオスメスが見分けられるんだよ」
「へえ、ぜんぜん知らなかった。ほんとね、男の子の葉っぱと女の子の葉っぱがあるわ。でも、ここに落ちてる葉っぱは全部、ここにある一本のイチョウの木から落ちてきたんじゃないの?」
◆ そうして、ふたりは視線を上に向け、まだ多少は葉っぱの残っているそのイチョウの木を見ることになる。女性はこう言うだろう。
◇ 「このイチョウの木には、女の子の葉っぱも男の子の葉っぱも両方あるみたいね。じゃあ、このイチョウの木は、オスなの? メスなの? それとも両性具有ってわけ?」
◆ 男性は苦し紛れにこう言うかもしれない。
◇ 「こ、これは、このイチョウの木は、突然変異かもしれないぞ! ノーベル賞ものの大発見かも!」
◆ 女性は冷ややかに言うだろう。
◇ 「あなた、ほんとに東大生?」
◆ いや、東大構内を歩いていたからといって、この若いカップルが東大生とはかぎるまい。もしかしたら、東大生だったのかもしれないが、少なくとも男性のほうは東大生ではなかったと思いたい。しかし、こんなハナシはどこからでてきたんだろう。