MEMORANDUM

  駅の掲示板の写真ニュース

◇ 駅の掲示板に貼ってあるニュース写真を見るのが好きだ。

◆ と、川上弘美が書いている。

◇  ときどき私は、息苦しくなる。知らないということによっておかされるあやまちは多いのだから、情報は多いにこしたことはないのだが、こんなことは知らなくてもいいのに、というような情報までが満ち溢れているようにも思うのだ。むろん数ある情報の善悪を勝手につけるつもりは、毛頭ない。情報というものは薬と一緒で、使う本人のやり方次第で役にも立ち毒にもなるのだろうから、どんな情報だって、それが特定の個人をはなはだしく傷つける場合以外は、どんどん流れるべきものには違いない。ただし、この情報過多の時代にどうにも息苦しさを感じてしまうのも、事実なのだ。
 そういうときに見る掲示板のニュース写真は、いい。そこにただある写真。ほんの少しの文章。むろんそこにも無限の物語が隠されているはずだが、あえて物語を語り起こそうとしない潔さが、掲示板のニュースにはあるように思う。

川上弘美 『なんとなくな日々』(新潮文庫,p.134-135)

◆ 駅の掲示板の写真ニュース、ワタシもときどき見るが、ほかに見ているひとをほとんど見かけない。

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