◆ またまた、『西の魔女が死んだ』から。野イチゴでジャムをつくるエピソード。
◇ そこまでぼんやりと歩いてきて、まいは思わず、あ、と小さく声をあげた。木のまばらなその林の床一面、真っ赤なルビーのような野いちごの群生で覆われていたのだ。
梨木香歩 『西の魔女が死んだ』(新潮文庫,p.39)
◇ 赤い野いちごの緑の茎には、ひっきりなしに黒い蟻が登ったり降りたりしている。その実を口に入れると日向臭い甘味があって、プチプチと何か舌に触る。
Ibid., p.40
◆ 「真っ赤なルビーのような野いちご」のうえの「黒い蟻」。宝石を食べる。赤と黒。この野イチゴの場面のリアリティーを支えているのは、おそらくアリだろうと思う。アリがいなければ、(コブクロの歌詞とかわりはない?)