MEMORANDUM

  土星を見るひと

◆ だれも土星のことなんか気にしてはいないだろう。

◇ その後何年かして友達の兄に三脚つきの本格的な天体望遠鏡を覗かせてもらったことがあったが、その時も土星は見つからなかった。友達の兄は大きな木の箱の中に沢山のレンズを持っており、どのくらいの倍率のものがあるか、ということをうるさいほど説明していたが、惑星をあまり捜そうとはせず、月の噴火口ばかりを「どうだすごいだろう、あのひとつひとつのクレーターが後楽園の球場ぐらいあるんだぞ」といって何度もそれを見せるだけであった。
椎名誠 「土星を見るひと」(『土星を見るひと』,新潮文庫,p.179)

◆ さいきんは、経済不況やら新型インフルやらでいそがしいので、星空を眺める余裕のあるひとはおそらく少ないだろう。個人的にも、なんにもいいいことはないので、いや、コンパクトデジタルカメラで小さなものを撮るのがおもしろいので、下ばかり向いて歩いている。ときには、「星を踏む」ことぐらいはしているだろうが、夜空を見上げることがめっきり少なくなった。まあ、東京で夜空を見たところで、おもしろくもなんともないんだけど。

◆ ニューヨークのアメリカ自然史博物館(American Museum of Natural History)で、「土星:カッシーニ・ホイヘンスからの画像」(Saturn: Images from the Cassini-Huygens Mission)という特別展示が開催中らしい。カッシーニ、ホイヘンスというのは、土星探査機の名前。7月26日まで。おヒマなかたはぜひどうぞ。土星に行くことを考えれば、ニューヨークなんて目と鼻の先だから、ちょっと行ってみようか。でも、新型ウィルスがなあ。

◆ カッシーニ&ホイヘンスは、とても勤勉で、土星のステキな画像を休むことなく地球に送り続けている。たとえば、こんなの。

◆ な、わけないか? 上の画像は《NASA Jet Propulsion Laboratory》からでした。

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