◆ バスの窓から外を見ていた母が、ふと娘に話しかける。
◇ 「宿泊3950円てよ! なんであやん安かと?」「ラブホテルやっけんて」「スウィートメモリーてよ」「……名前ば読み上げんでよか」「お母さん、ラブホテルて行ったことんなかー」「別に行かんちゃよかろうもん」「一回くらい行ってみたかて」。
〔出典省略〕
♪ 失った夢だけが 美しく見えるのは何故かしら
過ぎ去った優しさも今は 甘い記憶 Sweet Memories
松田聖子 「SWEET MEMORIES」(作詞:松本隆,1983)
◆ 母は73歳。松田聖子の「SWEET MEMORIES」を耳にしたことはあるだろうが、うまく口ずさむことができたかどうか。もし、目にしたラブホテルの名が「ブルーシャトー」だったなら、甘い記憶とともに、ハミングが始まっていたかもしれない。
♪ 森と泉に 囲まれて
静かに眠る ブルー ブルー ブルー シャトー
ジャッキー吉川とブルー・コメッツ 「ブルー・シャトウ」(作詞:橋本淳,1967)
◆ あるいは、「♪ 森とんかつ~ 泉にんにく~」と歌い始めて、娘の笑いを誘ったかもしれない。池袋で見かけたブルーシャトーは「宿泊5250円」とやや高めで、あたりには森も泉もありはしなかった。同名のラブホテルは、ざっと検索したところ、新潟市、福井市、福山市にもあるようだ。おひまがあれば、ぜひどうぞ。