◇ 〔朝日新聞〕 「原稿をあまり見てしゃべることをしないということが大きいと思います」。麻生首相は15日のNHKのテレビ番組で、演出家のテリー伊藤さんから、漢字の誤読の原因を問われ、こう答えた。テリーさんは、定額給付金の「さもしい」発言などを例に「しゃべりの脇が甘い」と指摘。首相は「もう少し原稿に目を落とすようにしないといかんのかな、という感じは反省としてある」とも語った。 ◆ というニュース記事を読んで、「原稿をあまり見てしゃべることをしない」の意味がすぐには理解できなかった。 ◇ 〔日本経済新聞〕 「原稿をあまり見てしゃべらないのが大きい」 ◇ 〔時事通信〕 「原稿をあまり見てしゃべらないからというのが大きい」 ◆ 副詞「あまり」の位置がおかしいのでは、と思った。次のようにすれば、どうだろう? ◇ 〔毎日新聞〕 「原稿を見てしゃべるようなことはあまりしないから」 ◆ この方がいい、と思った。では、さらに次のはどうか? ◇ 〔サンケイスポーツ〕 「原稿をあまり見ていないからというのが(原因として)大きい」 ◆ こちらの方がわかりやすい、と思った。で、もう一度よく考えてみると、この「あまり~ない」という構文でなにが否定されているのかが、よくわからなくなった。いっそのこと、次のように、 ◇ 〔内外タイムス〕 「原稿を見てしゃべるということをしないというのが大きい」 ◆ と「あまり」を取ってしまえば、疑問に思わなかったかもしれないが、せっかく気になったので、あれこれネットを検索していると、《庭三郎の現代日本語文法概説》というサイトに、似たような例文があった。 ◇ 次の例は複文ですが、「あまり~ない」のかかり方の解釈が難しい例です。/ あまり力を入れて握らないでください。/ の「あまり」は「あまり・・・握らないで」ではなく、「あまり力を入れないで」の意味です。つまり、「力を入れて握らない」のは「握らない」のではなくて、「力を入れない+握る」という意味だからです。 ◆ 「原稿を見てしゃべるということをあまりしない」「原稿を見てあまりしゃべらない」「あまり原稿を見ないでしゃべる」「原稿をあまり見ないでしゃべる」。さて、仕事に行く時間だ。今日の宿題はこれにしよう。 |
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