◆ 「睡魔」のつづき。青森のねぶた、弘前のねぷた、秋田の竿燈。眠り流し。
◇ 暑さの厳しい、しかも農作業の激しい夏期に襲ってくる睡魔を追い払うための行事で村中一団となって、様々な災い、邪悪を水に流して村の外に送り出すものといわれています。
www.city.hirosaki.aomori.jp/kanko/matsuri/natsu1.html
◆ これは「弘前ねぷたまつり」についての記述(弘前市役所)。
◇ 語源は、眠り流し→ねむた流し→ねむた→ねぷた(ねぶた)と、転訛。(佞武多、禰ふた、ともいう。)
Ibid.
◆ 「眠り流し」を辞書で引くと、
◇ ねむりながし【眠り流し】 祓(はらえ)の形代(かたしろ)を流して夏の睡魔を払う行事。東北地方で盛んであるが、各地にみられる。七夕流しの行事として行われることが多い。おねんぶり。ねぶり流し。ねぶと流し。ねむった流し。
三省堂 『大辞林 第二版』
◆ 秋田には「竿燈まつり」。
◇ 眠り流し(竿燈)は、夏季の睡魔を追う行事ですが、決して「眠り病」を予防する行事ではありません。ある本の竿燈や眠り流しに関する説明のなかに、「夏になると眠気を催し、眠っている間に病魔が体に忍び入り、眠り病になると信じられていた」とあったため、眠り病を予防するための行事と勘違いをしている方やホームページなどにそのまま掲載しているものがあります。おそらく、睡魔と病魔が一緒になって、いつの間にか「眠り病」になったのではないでしょうか。なかには、眠り病を日本脳炎として論じる方も見られますが、かなり飛躍的な見解と考えられ、科学的な根拠は今のところありません。
www.city.akita.akita.jp/city/ed/ak/fm/neburi.htm
◆ 秋田に行っても弘前に行っても、「夏の睡魔」の姿かたちは一向に見えてこない。おそらく、日本の睡魔に姿かたちはないのだろう。