MEMORANDUM

  服と家

◇ 「衣・食・住の三つのうち、食はちょっと特別だけど、衣と住は、どう区別できる? 答えられる人はいますか?」
森博嗣 『詩的私的ジャック』(講談社文庫,p.19)

◆ 公園のベンチにすわって読んでいた推理小説に、そう書いてあった。衣と住に違いについて。でも、答えは書いてない。「ねえ、キミは、家に住んでるのかい? それとも服を着てるのかい?」 そばにいたカタツムリに聞いてみても、いそがしいようで答えない。しようがないので、自分で考えよう。

◆ しばらく考えて、こんな結論を出した。

◇ 服は自分のためだけのもの。家は自分とだれかのためのもの。

◆ なかなかわるくない、と思うんだけど、どうだろう? 自分の服を自分で着てもさみしくはないけど、自分の家に自分だけで暮らしてるとちょっとさみしい。でも、だれかってだれかな?

◆ さて、とベンチを立とうとしたときにカタツムリが言った。「さっきの質問だけど、オレのこの殻は、家でもないし服でもないと思うんだ。ヤドカリじゃないんだから、とりかえることができない。あえていうと、皮膚だな、これは」 なんだ、ちゃんと考えてくれてたんだね。どうもありがとう。

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