◆ 9月4日、洗足池のまわりを散歩していると、ふと目にはいった看板に、「さくらのなかにはいらないでください」と書いてあった。桜の中に? どうやって? と思う間もなく、ああ柵の中か、とアタマのなかで訂正してしまったが、散歩とはぼんやり歩くことなので、こうしたピンボケの世界にもう少し浸っていてもよかった気がする。
◆ 桜の樹のどこかに、秘密の入り口があって(ウロだろうか?)、導かれるように足を踏み入れてしまうと、二度とこちらの世界には戻って来れません。だから、「桜の中に入らないでください」。この看板を撮ろうとしたとき、すぐそばにかくれんぼをしていた少年がいたので、カメラを向けるのにやや躊躇した。そのようなことがあったが、そういえば、あの少年はどこへ行ってしまったのだろう? しめしめ、いい隠れ場所が見つかったとばかり、どのようにしてだか、桜の中に隠れてしまってはいないだろうか? 今でも? 鬼は少年を探すのに飽いて、仲間といっしょに帰ってしまった。もうすぐ日が暮れる。
◆ この看板の左右には、クロマツとシダレヤナギ。サクラではなかったのが、ちょっと残念だが、散歩は楽しい。