◆ もうひとつ、《内田樹の研究室》 のブログからの引用。タイトルは 「どうして仏文科は消えてゆくのか?」。
◇ かつては文学部の看板学科だった仏文科の廃止が続いている。
神戸海星女子大に続いて、甲南女子大も仏文科がなくなる。
東大の仏文も定員割れが常態化している。
blog.tatsuru.com/2006/12/01_1257.php
◆ 神戸海星女子大の仏文といえば、そういえば、あのひとはいまごろどうしているだろう、というような、はるかむかしの個人的な思い出はさておき、そういえば、とまた別なことを思い出した。いつだったか、「フランス語は数を勘定できない言語」 だと発言した知事がいて、フランス語関係者が名誉毀損で法廷に訴えたことがあった。あの裁判の判決はどうなったのか? 気になって調べてみると、今月14日、「<石原都知事>仏語侮辱発言で賠償請求を棄却 東京地裁(毎日新聞) - Yahoo!ニュース」 という記事。
◇ 石原慎太郎・東京都知事のフランス語侮辱発言で名誉を傷付けられたとして、フランス語の学校経営者や研究者、翻訳家ら91人が知事と都に計2120万円の賠償などを求めた訴訟で、東京地裁は14日、請求を棄却した。笠井勝彦裁判長は「関係者に不快感を与える配慮を欠いた発言だが、原告の名誉棄損には当たらない」と述べた。
石原知事は04年10月、都立大などを再編した首都大学東京の支援組織設立総会で「フランス語は数を勘定できず国際語として失格」と発言した。都立大のフランス文学教員らが再編に反対したことが背景にあった。
headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071214-00000127-mai-soci
◆ 解体されつつある東京都立大のフランス文学教員のひとりが個人サイト《菅野賢治の研究室》にこう記している。
◇ 2007年9月21日(金) 13:30~
石原都知事フランス語訴訟 原告本人尋問
霞ヶ関 東京地方裁判所 第627号法廷
○第二次訴訟ならびに東京都に対する国賠訴訟の原告として、勤務先の東京都立大学にはきちんと「欠勤届」を出した上で、原告本人尋問のために出廷しました。
以前にもここに書いたとおり、私は、この訴訟への参加を、ある学術の場で現実に起こった出来事を司法という公の場に知らしめ、公文書として歴史に残すという意味において、一個の歴とした「学術活動」とみなしている。「フランス語は国際的に失格しており、東京都の大学においてフランス語の需要はもはや存在しない」という都知事の公的発言は、純粋なる虚偽であり、そんなものを日本の首都の教育行政史の一ページとしてそのまま放置するわけには絶対にいきません、ということ。
その上で、もう一度、確認しておきましょう。マリック・ベルカンヌ氏が東京で経営を続ける民間学校の長として、明治大の小畑先生が同僚の先生方をまとめあげて、私が東京都立大学(旧制度)の仏文専攻を代表するような形でして、そして、ほかの原告、賛同者の方々が個人の資格で抗議活動を続けてきましたが、東京で(あるいは東京を首都とする、この日本という国で)フランス語に深く携わっている他の機関、組織、団体から、公の場での意思表示はいっさいなされなかったということ。私は、そのことの意味をしっかりと心に刻んで、これからの余生を過ごしていこうと思うわけであります。〔下線は引用者〕
www17.plala.or.jp/kenjikanno/katsudou.html
◆ この明らかな 「負け戦(いくさ)」 を誠実に戦っておられる方々に心からの賞賛を。