MEMORANDUM

  熱発

◇ たとえば、九州の島津薩摩守様は、この川崎宿にお入りになると決まって熱発なさる……
井上ひさし『四千万歩の男(4)』(講談社,p.198)

◆ 発熱ではなく熱発(ねっぱつ)。ワタシはこれを競馬用語だと思っていた。たとえば、

〔日刊スポーツ〕 今週日曜の「第68回オークス」(G1、芝2400メートル、20日=東京)の1番人気候補だったダイワスカーレット(牝3、松田国)が17日に、熱発が発覚。出走を回避することが決定した。管理する松田国師は「前日の体温は37度8分~37度9分を維持していたのに、17日の朝は39度を超えていた。輸送もしなくてはならないし、これでは全能力を発揮できない。だから競馬を使わないことに決めて、獣医に速やかに処置をしてもらった」と明かした。[2007年5月17日11時35分]
www.nikkansports.com/race/f-rc-tp0-20070517-200014.html

◆「競馬を使う」(レースに出走する)なんてのもビミョウに競馬用語であろうけれど、「熱発」もまた同じ。

〔競馬用語辞典〕 熱発【ねっぱつ】 風邪などの原因で馬が発熱すること。
www.kappagi-keiba.net/dictionary_view_word.php?wordid=318

◆ けれども、この「熱発」、競馬用語にとどまらず、医学用語でもあるらしい。

◇ 昼間まで元気だった妹が熱出してます(’・ω・) 熱発ですねー(医療用語だと、「発熱」じゃなくて「熱発」なんですよねー)
miuyumimiyu.cocolog-tcom.com/coco/2007/01/post_452e.html

◇「熱発」という言葉、懐かしいです。友達が看護士してるんですが、昔よく「ねっぱつ」と言っていたのを思い出しました。医療系に携わる方は大体そうおっしゃいますよね。
kazu-rerere21.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/post_452e.html#comments

◇ 普通の人は「発熱」って言うんでしょうが、こういう医療的・介護的な仕事してると、熱が出ること「熱発」って言います。とは言え、ここのところ私の熱発は正直珍しいことではありません。
ricordi.blog.ocn.ne.jp/treasure_of_life/2007/06/post_5220.html

◆ また、軍隊(自衛隊)用語でもあるらしい。

◇ 軍隊では発熱することを「発熱」とはいわずに、「熱発」(ねっぱつ)という。
www.srif9920.net/senzin/index.asp?sdid=6

◇ ちなみに・・・戦中派の父は、“洗面器” を “面洗器”、“発熱” を “熱発(ねっぱつ)”・・・
bbs3.sekkaku.net/bbs/?id=siritori2

◇ パラオ仮入隊中悪寒戦慄し四十度近い熱発ありマラリアではないかと心配したが検査の結果マラリアではなくデング熱らしいとの事であった。
www.saganet.ne.jp/critical/senkizumosaburou.html

〔自衛隊用語集〕 熱発就寝(ねっぱつしゅうしん) 読んで字のごとく、熱出して寝込んでること。点呼のときなど、欠席者の内訳を報告するときに「○○一士熱発就寝!」などと報告する。一般の看護婦さんとかも使う言葉である。
mokei-albion.net/jieitaiyougo.html

◆ また、沖縄方言でもあるらしい。

◇ あとさ、沖縄の人は熱が出たら、熱発っていうさ~。本土は発熱。。。。最初、熱発っていってたら、みんな、はぁ~~?状態。。。。でも、この前、医者のカルテみたら、熱発ってかきよった!!! 沖縄の人かね~~~???
plaza.rakuten.co.jp/yutoyonohaha/diary/200511050000/#comment

◇ ちなみに熱が出ることを沖縄では、熱発(ねっぱつ)と言います。「今日、熱発なので、会社を休ませてください。」 こんな風に使います。
www.melma.com/backnumber_42572_3571471/

◇ ネイティブ沖縄の皆さん 「熱発」は標準語ではないよ 方言です 正しくは「発熱」ですからね
blog.livedoor.jp/kai_kuboi/archives/cat_731478.html

◆ というわけで、だれかの日記に、たとえば「ちょっと前から熱発して、呼吸もだんだん苦しくなってきた」とあるのを読んだ場合に、その作者が、なにゆえに「熱発」というコトバを用いているのかを知るのはそう簡単なことではない。競馬好きなのかもしれないし、医者なのかもしれないし、自衛隊員であるかもしれないし、沖縄出身者であるかもしれないし、あるいは?

◇ 午後四時半体温を験す、卅八度六分。しかも両手なほ冷、この頃は卅八度の低熱にも苦しむに六分とありては後刻の苦さこそと思はれ、今の内にと急ぎてこの稿を認む。さしあたり書くべき事もなく今日の日記をでたらめに書く。仰臥のまま書き終る時六時、先刻より熱発してはや苦しき息なり。今夜の地獄思ふだに苦し。雨は今朝よりふりしきりてやまず。
正岡子規『墨汁一滴』(青空文庫

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