◆ 北海道に万字温泉という温泉があった。何度か行った。ある温泉ガイド(2006年2月20日改訂第5版発行)の記述によれば、
◇ 炭鉱の閉山で経営者は何度も変わった。現在は、5代目館主・高橋史郎さんが病気療養中のため、高橋さんのお母さんが施設を守っている。
本多政史 『札幌から行く日帰り温泉223』 (亜璃西社,p.32)
◆ だが、今年の4月29日に訪れたひとの日記には、
◇ 夕張市街を抜けて道道をしばらく走り続けて、目的地である万字温泉に到着。が、、、、、、、、、、、その万字温泉の旅館。。。閉鎖されています。。。冬季閉鎖・・・と言う感じでもなさそう。。。なんとなく廃業した感じに取れるんだけど。。
www5a.biglobe.ne.jp/~yama283/hokkaido/2007-hokkaido/07_gw-haru_hokkai_2.htm
◆ また、ある掲示板には、
◇ 2007/04/11(水) 20:09:44 今日万字温泉へ行ったら、なんか除雪もされておらず閉鎖されてたけど、万字温泉って潰れたの? 誰か事情知ってる人いますか?
hokkaido.machibbs.com/bbs/read.pl?BBS=hokkaidou&KEY=1174219044
◆ 1年前、2006年4月15日の夕方、その万字温泉に友人と3人で行った。客はほかにだれもいなかった。この時期客はほどんどいない。この日も玄関で何度声をかけても誰も出て来ず、あきらめて帰ろうかと思ったときに、ようやく従業員のオジサンが顔を出して、困ったような顔をした。「いや、だれも来ないと思ったもんで」、風呂の湯を半ば抜いてしまったという。こちらも悪いとは思ったが、せっかく来たので、風呂の準備をしてもらって、ぬる目の湯につかり、それから鴨鍋を食べた。それが最後に万字温泉に入った日。というのも、後日友人からメールが来て、
◇ 先日万字温泉に3人で行った数日後、翌週の水曜日の早朝、一台の救急車がうちの前を登って行ったので、また誰か死んだのかと思い救急車の行方を目で追ったら人家を通り過ぎて行ったので、また万字温泉で心臓マヒかと思ってたらなんと犠牲者は万字温泉の女将(Kさんが風呂場で会った人)だった。本当に心臓マヒで亡くなった。近所の親父らから得た情報によると温泉は廃業するらしい。売りに出すという事だがあそこを買い取る物好きもいないと思うので、もうかも鍋は食えん。ひょっとしたら俺達が最後の客だった可能性がある。
◆ 翌週の水曜日というと、行ったのが土曜日だったから、わずか4日後のことだ。まったく、あきらめて帰らなくてよかった。そんな感想しか浮かばないのがやや薄情な気もするけれど、風呂に入り鴨鍋を食べておいてよかったな、と単純にそう思う。来るのが1週間遅かったら、あきらめて帰るほかはなかったのだから。たまたまコトの前後がこちらにとってよい順番であっただけだが、われわれが 「最後の客」 だったかもしれないという想像が、万字温泉の記憶をより印象深いものにしたことは間違いがない。
◆ とはいえ、だれか新たなオーナーが見つかれば再開する可能性もあるわけだから、のんびりと待つことにしよう。
◇ 万字温泉は、おばあちゃんが亡くなって経営ができなくなった、おばあちゃんの調理した鴨なべの味付けは、やさしく心身あたたまるものだった、人柄も・・・毎年、山菜取りに出かけ帰り道、りんご風呂の温泉でゆっくりと時間を過ごした想い出は忘れない。
www2.machibbs.com/bbs/read.pl?BBS=hokkaidou&KEY=1101726098
◆ 温泉の思い出はなぜだかいつでもあたたかい。