MEMORANDUM

  地元の醤油

◇ 町で食事をしていて気がついた。キッコーマンがおいてない。味噌醤油がすべて当地産なのだ。経済的自給自足が可能なので、近代資本に牛耳られずに百数十年前の面影を完全保存していられたのだろう。
種村季弘 『日本漫遊記』 (筑摩書房,1989,p.189)

◆ 「キッコーマンがおいてない」 という簡潔な表現がいい。醤油のブランドを色・香り・味だけでソムリエのように区別する能力が著者にあったというわけではないだろう。そうではなくて、食事をした町の食堂のテーブルには、あの全国どこにでもあるキッコーマンの卓上ビンがなく、そのかわりに地元メーカーの醤油の卓上ビンが置かれていたということなのだろう。卓上に置かれていたのが 「ふつうの」 の醤油さしであったなら、その中身を確かめようがない。もちろん、キッコーマンの卓上ビンにべつな醤油がいれてあったり、その逆もあったりするかもしれないが、そんなことまで考えていては食事がまずくなる。このキッコーマンがない町は、東北の小京都と呼ばれる角館。

◇ 角館にはいささかおどろいた。町そのものが博物館である。町全体が観光化しているという意地の悪い表現は当たらない。
Ibid.

◆ 角館にはずいぶん以前に一度訪れたことがあるが、キッコーマンのあったかどうかの記憶はない。そもそも食事をしたのかどうかの記憶がない。そのかわりといってはなんだが、さいきん喜多方で同じようなことを考えた。

◆ 大安食堂という店でラーメンを食べた。そのテーブルの上にあったのはキッコーマンではなく、ヤマジョウ醤油だった。確かめたわけではないが、

◇ 喜多方のラーメン屋さんの多くで使用されている
www.akina.ne.jp/~kanechu/html/3-7zoutouhin.htm

◆ そうだ。味はというと使ってないからわからない。あれこれ調べるとキンタカサゴ醤油(会津坂下)というのも喜多方ラーメンではメジャーらしい。喜多方の町を歩くと、造り酒屋も多いが、味噌・醤油屋がとにかく目につく。

◇ 蔵の町・喜多方を古くから支えてきたのは、味噌、醤油などの醸造業。長い伝統の技から生まれる喜多方の醤油は、それぞれの醸造元ごとにじっくりと蔵の中で熟成され、独特の色・香りを持っています。
www.bpf.or.jp/sanpin2003/category/miso-1.html

◆ 醤油を地酒のようにあれこれ飲み比べてみるというふうにはなかなかいかないのがちょっと残念。

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