◆ 先日、こんなニュース記事を目にした。《長岡市の男性が毒草食べ死亡》(新潟日報 2007年4月16日) ◇ 県によると、男性は12日、市内の妻の実家の畑で栽培されていたイヌサフランと山菜のギョウジャニンニクを採取。翌日夜にいためたりして食べた後、下痢や嘔吐(おうと)の症状が出た。長岡市の病院に入院したが、16日午後4時すぎ、血液低下と多臓器不全で死亡した。一緒に食べた妻は病院で治療を受け、既に回復している。 ◆ で、ギョウジャニンニク。北海道ではアイヌネギとも呼ばれる。《北海道雑学百科 - ぷっちがいど》 には、 ◇ ヒトビロ、キトピロとも言うものの、それよりも 「アイヌネギ」 と言うのがメジャーな北海道を代表する山菜、それが行者大蒜、つまり 「ギョウジャニンニク」 であります。ちなみに、道産子にとって 「アイヌネギ」 が一番言いやすく使い慣れていることもあって、よく聞きますが、差別用語だと主張する方もいるため、ギョウジャニンニクに統一したいと思います。 ◆ 2006年4月15日、万字温泉で食した鴨鍋のなかにギョウジャニンニク。その日の PhotoDiary のキャプションは 「アイヌネギ」 としたのだが、その後、もしかしたら不適当なコトバである可能性もあるから、ギョウジャニンニクに訂正したほうがよいのだろうか、などとあれこれ考えてはみたが、結論が出ぬままそのままにしてある。 ◆ 北海道観光連盟の 《アイヌ文化理解の手引き》 には、 ◇ 正式名称はギョウジャニンニク。「中国茶」 「タイ米」 のように国や地域の付いた呼び名は多く、その意味ではアイヌの人々の長年の食材のひとつをアイヌネギと呼ぶこと自体は、本来は悪いことではない。しかし、「アイヌは汚い、くさい」 などと差別を受けてきた人々の中には、強い匂いをもつものをアイヌネギと呼ぶことに対して差別の意識をもっての発言であるとして不快感を持つ人が多い。従って、こうした差別が解消されるまでは、アイヌネギという言葉は避け、ギョウジャニンニクと呼ぶ方が良い。なお、北海道内のスーパーなどでは 「きとびる」 「ひとぴろ」 等の名称で売られていることもある(どちらも日本語の 「祈祷びる」 からきている)。 ◆ ワタシも 「中国茶」 「タイ米」 のような組み立てのコトバとしてアイヌネギを理解していたが、考えてみれば、アイヌは地名ではない。エゾネギではどうだろう? 蝦夷も蔑称か? 関係ないが、支那そばにシナチク。 ◆ 2006年9月16日、旭岳温泉の食堂で注文したキトピロラーメン。PhotoDiary には 「キトピロとはアイヌ語でギョウジャニンニクのこと」 と書いたが、これは間違っているかもしれない。上記の引用では語源を日本語としている。が、「祈祷びる」 というのもよくわからない。「ひる」 は蒜(ひる)だが、祈祷とはなんだろう? ◆ アイヌ語にはプクサというコトバもある。 ◇ ギョウジャニンニクのことを沙流川ではプクサといい、旭川や阿寒のアイヌはキトというが、プクサという言い方でもわからないことはないし、二風谷アイヌもキトという言い方は知っている。 ◆ 面倒だから、とりあえずは標準和名のギョウジャニンニクを用いておけばなんの問題もないのだが、それでもひっかかるのは、この山菜が、 ◇ ニンニクと言うよりは、ネギとニラを足しような感じ。 ◆ であるところ。ニンニク、ネギ、ニラ。これも考えてみれば、どれも似たような植物で、食用にする部分が、ニンニクとネギ・ニラでは違うというだけのこと。そういやニンニクの茎も喰うもんなあ。とやっぱり結論は出ない。とりあえず、食中毒にはご用心。 |
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