◇ 普通、言語というのは、呼気音を使って音を出します。それが自然だし、その方が楽だから。まれに吸気音を使う言語もあるらしいですが、少なくとも、標準的な日本語や英語にはありません。 ◇ 謝るときに吸気音 [s:] を使えばよいという指摘はおもしろい。『言語学大辞典6 術語編』 の 「吸気音」 にも記述( 「日本人はあらたまった席で話をするような場合に……」 )があります。ほかでも読んだかもしれませんが忘れてしまいました。一方、元アナウンサーの鈴木健二氏が、この 「スー」 は下品だからやめるべきだ、とテレビで言うか著書に書くかしていたという記憶があります。日本語教師が 「スー」 を口癖にしていたため、留学生がみなこの 「スー」 を使うようになってしまった、という話もどこかで読みました。 ◇ うちの兄貴は良くため息をつくときに 「ちぇしぃーーーっ。はぁー」 と、ため息の前にtut音と、寒さに震えるときに日本人がやる 「しぃー」 という吸気音を作る。あれはあれで、弁別的な、しかも非常に意味をもった音の単位。 ◇ 外国から日本に来た多くの人が気づくことなのですが、日本の若い女の人が話しているときに、ちょっと驚いたりすると、「(ひっ)」 と息を吸ってかすかな声を出すんです。この 「(ひっ)」 は、日本語の単語には含まれていないでしょう? しかし多くの人が同じパターンの声を出すんですね。辞書を見てもそんな単語は載っていないし、まず日本語に息を吸い込む音があるとはみんな夢にも思わない。 ◆ いつか機会があったら、日本の若い女の人ととりとめのないおしゃべりをして、「(ひっ)」 という声を確認してみたいと思っているのだが・・・。 |
このページの URL : | |
Trackback URL : |