◆ 杉浦日向子は、『入浴の女王』 (講談社文庫) という銭湯めぐりの著作もあるぐらいだから、銭湯が嫌いではなかったのだろう。『東京路上博物誌』 という本に、杉浦日向子のインタビュー ( 「きき湯のすすめ」 ) が載っていて、
◇ 藤・杉浦さんは子供の時から銭湯に?
杉・今は毎日銭湯に行っています。その日の気分にあわせてどの銭湯に行くかを決めます。周りに一〇軒くらいありますので自転車をとばして吉祥寺までいったり、電車で行ったりします。今まで六〇軒くらい回りました。
藤森照信・荒俣宏 『東京路上博物誌』 (鹿島出版会,p.184)
◆ 聞き手は、藤森照信〔藤〕、荒俣宏〔荒〕、赤瀬川原平〔赤〕と錚々たる面々だが、おやっと思う会話もある。
◇ 赤・タオルなんかはどうするのですか?
杉・タオルが二〇〇円から二五〇円、石鹸が二〇円で、シャンプーとリンスが三〇円ずつです。
荒・そのタオルにはお風呂屋さんの名前が入っているのですか?
杉・いえ、入ってないです。
Ibid.
◆ この問答からしてみると、赤瀬川原平も荒俣宏も銭湯に行ったことがないのだろうか? 不思議な気がする。若いひとならいざ知らず。《教えて!goo》 にもこんな質問。
◇ 21歳、女です! 初、銭湯+岩盤浴に行くことになりました! そこで質問なんですが… 銭湯には何を持参していくべきでしょうか??
oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=2386037
◇ 銭湯ってタオルの貸し出しなどはあるのでしょうか?(もちろん有料でも構わないのですが)
oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=2187990
◆ ほかにも 《銭湯入門》 といったサイトも多い。
◇ 手ぶらでもタオル・石鹸・ミニシャンプーが売っているので大丈夫。
www3.synapse.ne.jp/kagosima1010/17jyo.html
◇ 銭湯は手ぶらでも行ける。石鹸、ヒゲソリ、タオル、シャンプーなど入浴に必用なものは番台、あるいはカウンターで購入できる。石鹸、ヒゲソリは数十円、タオルは大体250円程度。
homepage3.nifty.com/~daisy/sento/column/prepare.html
◆ で、先の杉浦日向子のインタビューに戻って、
◇ 杉・タオルが二〇〇円から二五〇円、石鹸が二〇円で、シャンプーとリンスが三〇円ずつです。
◆ 毎日銭湯に行くと言っていた杉浦日向子は、とすると、二〇〇円から二五〇円もするタオルを毎日銭湯で買っていたのだろうか? どうも気にかかる。
◆ たしかにどこの銭湯でもタオルは売っている。だからといって、それを買わなければいけないということはない。借りればいいのだ。番台のおばちゃんに頼めば、たいていはタダで貸してくれる(と思う)。東京の銭湯の入浴料は430円だが、430円の風呂に入るのに250円のタオルを買うのではあまりに不経済ではないだろうか? もちろん、洗ってはあっても他人の使ったタオルを使いたくないと考えるひとは250円で新品のタオルを買えばいい(けれど、そのように考えるひとが他人の垢にまみれた銭湯にどうして来るだろう?)。それに、せっかく手ぶらで銭湯に来たのに、出るときに濡れたタオルを手にしていたのでは、手ぶらで来たかいがないだろう(かといって、250円で買ったものをその場で捨ててしまうのも、どうかしている)。
◆ まあ、タダでなくとも、20~30円なら可とすべきだろう。
◇ 日本各地で銭湯を利用してきましたが、僕が知る限りではほとんどの銭湯に貸しタオルがありました。(20~30円程度)
oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=2187990
◆ ワタシはこの20~30円でさえも払ったことがない。一度だけ、ある銭湯で、頻繁にタオルをタダで借り過ぎたせいか、「30円」 と言われたことがあるが、「じゃあ、いらない」 と断った。
◆ 写真のように「入浴セット」 100円なら、悪くはないか。