◆ 蕪村の「春の海 ひねもすのたり のたりかな」の「ひねもす」を、こどものころ怪獣かなにかの名前だと勘違いしていた人がいたそうだ。怪獣にしてはなんだか弱そうな名前だけれど、どこかにいないか怪獣ヒネモス。 ◆ と思っていたら、谷山浩子に「ここは春の国」という曲があるらしい。その歌詞はというと、 ♪ あれはなんですか あれはひねもすですよ ◆ この歌詞は、彼女がDJをしていたラジオ番組でリスナーから募集したものだとか。今日、海を見た。 ◆ と、ここまでを以前(2002/09/01[2003/06/06])に書いた。はて、どこの海を見たのだったか? 以下、追加。 ◇ ひねもす… 思えば不思議な言葉だ 「ヒネモス」…昔の人は一体何を思って「終日」と書いて「ヒネモス」なんて読んだのかな…ヒネモス その単語から連想できそうなものなんて普通化け物の類いくらいだろう ◆ ヒネモスを生き物だと想像するひとは意外に多いようで、その場合、ヒネモスは怪獣であるよりも海獣であるかもしれない(というわけで、初出のタイトル「怪獣ヒネモス」を「海獣ヒネモス」に改題)。 ◇ 「春の海 ひねもすのたり のたりかな」 一度は聞かれた事があるのでは? そうです蕪村の俳句です。私が初めて聞いたのは、小学生の頃だったと思います。その時に先生が句の意味を説明されたと思うんですけど、興味を引くためか「とある大学生が、この俳句を説明する時に、ヒネモスと言う怪獣がのたりのたりと波間を漂っている情景と言った事があるんですよぉ」という話しをされ、その時点で私の頭の中ではネッシーのような怪獣が波間に見え隠れしている情景が記憶領域のほとんどを占めてしまいました。そのため、後の説明を全く聞いておらず「ひねもす」がなんなのかそれ以来の謎となってしまったのです。 ◇ 多くの人がこの「ヒネモス」をイルカの仲間だと勘違いしているようだけど、知ってる人は知ってるようにヒネモスはイルカではなくアシカ科の海獣です。春になると黒潮に乗って日本の沿岸の浅いところまでやってくるので相模湾でも今の季節はよく見かけます。 ◇ 糸井重里はアタマが良い。知識も豊富である。海の生物にも造詣が深い。『私は嘘が嫌いだ』という著書には、春の海で一日中プカプカ浮いているだけという謎の生物「ヒネモス」についての記述があるが、この『ペンギニストは眠らない』にも、香川県堂浦沖の「ナルト」について触れている文章がある。この「ナルト」の生態もまた、海に浮かんで昼寝をしているとのことなので、「ヒネモス」と同類である可能性もある。 ◇ 春の海には / おかしな動物がいて / 穏やかな波にねそべって / ひなたぼっこをしている / 鰭を口にあてて / あくびなどもするから / 魚類ではないらしい / おっとせい? / 似ているが / ちがう / あれが / ほら / 南蛮から漂流してきた / ヒネモスだ / (春の海ひねもすのたりのたり哉) ◆ 春以外の季節、ヒネモスはどこにいるのだろう? 春になったら、ヒネモスのいそうな海に行って、ヒネモスが波間に寝そべっているのをぜひとも写真に撮りたいものだ。 |
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