◆ 昨夜、パソコン(デスクトップ)のキーボードが壊れた。赤ワインをこぼしてしまったのだから、無理もない。 ♪とっても大事にしてたのに こわれて出ない音がある ◆ てな感じだったのが、しだいに ♪ドとレとミの音が出ない ◆ てな感じになり、しまいに、 ♪ドとレとミとファとソとラとシの音が出ない ◆ てな感じになるに及んで、もしかして分解してキレイにすれば直るかも、という幻想をきっぱり捨てた。仕方がないので、今日キーボードを1700円で買ってきた。ああ、もったいない! ◆ もったいないのは、キーボードではない。赤ワインの方だ。それが 「Château Mouton Rothschild」 であったりすれば。Rothschild は英語風に読めば、 ◇ 日本ではロスチャイルドの名で知られている名家ですが、一族が世界中に移り住んだことで、各国の言葉で発音されるようになりました。フランス読みではロートシルト。ボルドーにはロートシルトの名の付く格付け1級のワイナリーはふたつ存在します。ひとつは、ここシャトー・ラフィット・ロートシルト。そしてもうひとつが、シャトー・ムートン・ロートシルト。 ◆ 「フランス読みではロートシルト」 というのは間違い。フランス人は Rothschild をロートシルトとは読まない。ロ(ー)トシルドと読むことはある。でも、たいていはロ(ッ)チルドだろう。 ◇ ちなみにフランス音では 「ロッシルド」 か 「ロッチルド」 になります。それがなぜかロートシルト(ドイツ音)やロスチャイルド(英音)をごちゃまぜに使用するので素人には解らないでしょうね。ちなみにソムリエの田崎氏はフランス語のロッチルドを使用するので私もそうしています。つまり、ボルドー1級のだったら、シャトー・ムートン・ロッチルドやシャトー・ラフィット・ロッチルドですね! ◆ で、シャトー・ムートン・ロッチルド。あるいは、シャトー・ムトン・ロチルドとは、 ◇ フランスボルドーワイン格付け第1級ワインのひとつ。5つの第1級格付けワインの中で、唯一第2級から昇格したワインにもかかわらず、その知名度は高い。ワインの味わいもさることながら、毎年、ワインのエチケット(ラベル)を著名な芸術家に依頼していることでも有名。ジャン・コクトー、マリー・ローランサン、サルヴァトール・ダリ、ミロ、シャガール、カンディンスキー、アンディ・ウォーホル、キース・へリング等がオリジナルの絵を提供している。そのため、ワイン愛好家以外にもコレクターが存在し、芸術的価値も高い。 ◇ 毎年、著名な芸術家の絵で飾られることで有名な、シャトー・ムートン・ロートシルト。ボルドー1級格付けのワインのラベル画は、ムートンの紋章である羊や、ブドウ、ワインを題材とし、ピカソやシャガールなど個性溢れる巨匠によって描かれてきました。 ◆ 当代 「1級」 の芸術家によるムートンのラベル画は、たとえば 《Chateau Mouton-Rothschild - The Artist Labels》 でみることができる。 ◇ The artists are paid no money for their work, but given instead a certain number of cases of wine of two different years, obviously including the year they provided the label. ◆ ラベル画を描いた芸術家に報酬の支払いはない。その代わり、ムートンのボトルがプレゼントされるとか。 ◆ ムートンのラベル画にまつわるエピソードは事欠かない。たとえば、1993年のバルテュス。 ◇ このワインには2種類のラベルがあるのでご注意を。元のラベルはバルテュスによる、繊細だが少しもいやらしくはない少女のヌードのポートレートだったのだが、アメリカではネオ・ピューリタンの反対によって使用されなかった。結果として起こったのが、最初のラベルの思惑買い。アメリカに輸入されたムートン=ロートシルトの「公式」ラベル、何も描かれない乳白色のラベルのものより何と50ドルも高い。 ◆ 詳しくは、《ムートンに愛された画家たちを求めて - 第5回バルテュス夫妻》。 ◆ 上の画像は1964年(ワタシが生まれた年)のラベル。イギリスの彫刻家ヘンリー・ムーアの作品。パーカーによれば、この年のムートンは 「大失敗作」 だとか。残念。 |
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